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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
復讐者の権利
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攻略者

 いい加減ダンジョンの4層で経験値を稼ぐのに飽きた。

 そして飽きるほどの戦いを経験してしまったため、経験値が入手できなくなった。


 そろそろ先に進んでも良さそうである。



 何気に、ダンジョンの4層の攻略開始から半年以上も経っていた。

 ジョンやバランが3パーティ推奨の5層についてからなら、1年近く足踏みしていたようである。


 こうなるとジョンやバランは自身のクランを強化して3パーティを集める方が早かったのでは、などと考えてしまう。

 まぁ、実際に6パーティ分の人員を確保できたようであるが、そこから先に進めたという話は聞かない。

 レベル的な問題は起きていないようなのだが、どうやら冒険者としての限界にぶち当たった連中が増えてきたのが原因である。





 日本にいた時、人間には才能の限界ってモノがあった。


 例えばスポーツで努力したところで身に付くかどうかは人の持つ器とか才能によって決まっており、才能の有る・無しが人の運命の半分を決めていた。

 要は、努力する天才に凡人が勝てる道理はない、と言う事である。

 いくら努力しようが、凡才では天才に勝てないのだ。なぜなら天才も同様に努力しており、努力しない天才に勝てる事はあっても、努力している天才に勝てないのは何の不思議も無い話だからだ。


 ゲーム(この世界)に例えれば努力による経験値効率が違うとか、選べるスキルの数が違うとか。そんな理不尽な仕様で半分が決まっていた。

 ただし努力の有無は本人次第なので、そこだけは自分の選択で決まる部分だとも言っておこう。



 こちらの世界で言えば、ジョブが選択できる・できないは横に置き、保有しているジョブが全てを決めると言っても過言ではない。

 だから俺はこの世界はある意味誰にとっても平等で、不公平な世界だと思っていた。

 この世界の人はジョブを選べないが、そのジョブを成長させるかどうかを自分で決められるし、少なくとも経験値で成長させるステータスやレベルアップで獲得できるジョブスキルは才能を問わずどこの誰でも同じなのだから。



 しかしステータスなどに無い、人の能力はそうではなかった。

 俺は子供の身体でいた時、腕の長さ(リーチ)歩幅(コンパス)で色々と不利益を被った。ステータスが同じでも、腕が短ければ届く距離に差が出るし、歩幅が小さければ移動の際は走らなければ仲間から遅れてしまう。

 他にも心の問題もある。勇気を振り絞る理由を落ちあわせていない奴だっている。人の相性もある。


 ステータスやスキルが同じだからと言って、誰しも同じ事ができるとは限らないのだ。

 努力する才能(・・・・・・)も含めて、結局は才能とか言われる物で全てが決まる。



 もっとも、それこそが正しい平等で、何の間違いも無い公平なのかもしれないが。





 だから『夜明けの光』や『破邪の剣』といった大きなクランでも、本当に有用な人を揃えるのは難しかったりする。

 とにかく数を揃え、その中で最善を(パーティを)選ぼう(シャッフルする)とすれば、最低でも3倍、9パーティ以上は欲しいというのが彼らの判断。


 俺達を加えても7パーティにしかならないが、イーリスやミレニアも続けば目標の9パーティである。

 そうなればきっと5層の初攻略も叶うだろう。

 俺も神様のクエストをこなしてチートな報酬をゲットできる。

 孫に囲まれて往生とか、そんな幸せな老後も夢ではない。



 ほんの少しヨコシマな、だけどちゃんとした形のある目標を胸に、俺達はまた一歩、先に進む。

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