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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
東方交易録
219/320

強さを求める者達

 俺達冒険者が強くなると、それ以上に強くあらねばならない連中が苦労する。

 衛兵の皆さん、ご苦労様です。



 元々、俺達冒険者よりも先に衛兵の皆さんはジョブ解放を行い、レベル上げを行っている。

 ぶっちゃけてしまえば冒険者という民間人が銃で武装しているような状態に対し、警察的存在である衛兵の皆さんがそんな俺達を取り締まるための武力を持たねばならないというのは、ごく当然の成り行きである。

 俺達が暴走した時に衛兵が取り締まれないようなら、そんな衛兵組織は不要という話である。


 俺達が頑張った分だけ、衛兵も頑張らないといけないのだ。



「く、そ……。さすがに、ここまで、差があるとは、な」

「あー。短期決戦なら『神竜召喚士』は最強の一角ですので。個人戦で勝てないのはしょうがないですよ」


 ただ、頑張ったからと言って結果が追い付くとは限らない。

 俺達はダンジョンという経験値稼ぎの場がそのまま資金稼ぎの場であるのに対し、衛兵というのは街の巡回という、経験値が全く稼げない場所がメインの職場なのだ。普通に働いていれば冒険者とレベル差がつくのは当たり前であるし、そうでなくてはおかしい。

 俺達冒険者は、基本的に命の危険に身を晒しているのである。



 そんなわけで、衛兵最強と名高いアゾールさんとの個人戦、一対一の召喚アリな戦いは、わりと一方的に俺が攻撃して終わる結果となった。

 空からティナが魔法を使い、その背に俺が乗る戦い方の為、アゾールさんはまともに戦えなくなる。よって対空戦を強いられて精彩を欠いた動きでは『聖楯(せいじゅん)騎士』たる俺の守りを貫くには至らず、ワンサイドゲームの運びとなったのだ。

 近距離職は、そのほとんどの場合において俺の獲物となるのである。遠距離対応を人任せにすると大体こうなるわけだ。


 相性の問題と言ってしまえばそれまでだが、アゾールさんは衛兵最強という、衛兵の顔である。それが封殺されるというのは非常に大きな問題だったりする。

 俺がバランみたいな弓兵系ジョブだったら話は変わるんだけどね。その場合はティナではなくマリーの出番になり、マリーを攻撃の要にしつつ俺が守るパターンで戦って、ようやく勝てるかどうかといった戦いになる。一応、勝ち目はゼロではない。



 アゾールさんは対人戦においてかなりの経験値を保有しており、ぽっと出の、まだこっちに来てから3年未満の俺に負けるはずの無い人間だった。

 しかし3ジョブの戦闘経験値という意味では俺に劣り、下手に1ジョブ時代の癖が出ると、いいカモになってしまうといった弱点があった。経験値が人の足を引っ張るのである。そうなると強みは弱みに裏返り、実力を発揮しきれなくなる。


 アゾールさんはまだレベル18とレベル的にも俺に劣るため、ステータス合計ではまだ俺に負けていないが、ジョブスキルの数では俺の方が上。

 さらにはジョブの性能差や相性の問題が出てくるとなれば勝ち目がないのもしょうがない。


 それに、だ。

 そもそも個人戦などあまり意味が無い。集団戦(チーム)で勝てればそれでいいのである。

 俺としてはそう思うのだが。


「いや、衛兵最強がこんな事じゃいけねぇ。もっと強くなる必要がある。

 いっぺんダンジョン籠りの許可を貰わねぇといけないな」


 アゾールさんは、冒険者の強さに危機感を抱いてしまったようである。

 レベル的に見て、『北極星』にはアゾールさんと同格以上が50人ぐらいいる。これは脅威という他無い数字である。



 俺達に感化されたアゾールさんもまた、強さを得るために動き出すのであった。

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