対人戦の戦績
召喚士系ジョブは、総合力を見る限り1対1の戦闘では最強である。特に俺のようなドラゴン特化は本当に強い。
理由はわりと簡単で、数の暴力である。ついでに召喚モンスターの質も高いが。
他にも人形遣いや獣使いといった別系統の、モンスター使役ジョブは存在するが、互いに万全であれば1対1の戦闘に限れば召喚士の方が強いと断言できる。
これはMPを消費して短時間しかモンスターを使役できない召喚士に対するボーナスのような話で、常日頃から傍にモンスターを侍らせる事ができる他ジョブとの差別化とも言う。
それぐらいのボーナスが無ければ召喚士が最弱確定なのだ。
今のところ、個人の最強はジョンとバランの一騎打ち状態だ。
相性で言えば、ジョンの様な近接型であれば初期配置、互いの距離だけでどちらが勝つかが決まる。
初手をどちらが取るかと言えば確実に弓兵系のバランなのだが、2撃目が届く前にジョンが距離を詰めればそれで片が付く。少なくとも、殺し合いではない試合形式であれば武器破壊ができるジョンの方が強いという見方がある。
さすがに殺し合いまで認めると話がいくつも変わってくるので、正式にどちらが強いという結論は出していない。
だが死者蘇生を前提に最強を決めさせてほしいという嘆願が出て来るあたり、ここは異世界なんだなぁと思う。
おまいら、もっと命を大事にしろ。
蘇生費用は安くないんだぞ。
ついでに蘇生役の人達のMPだって馬鹿食いするんだから、気軽に言うな。
集団戦になると、ウチのパーティもかなり上位に入る。
ダンジョンで言えば5層に届く連中が最強となるのはまず当然の話であるが、俺達もそこと同格といった扱いを受ける。
集団戦では召喚魔法の制限もないし、神竜状態のティナやマリーが解禁になるだけで戦力にはかなり大きな差が出てくる。
さすがにジョンやバランに届く事はないが、それでも善戦は出来るし、何人か倒すことも不可能ではない。今のところ、集団戦なら俺達は4位か5位の戦績を収めている。
人数同数制限の戦いなら、本当にいい勝負ができるのだ。
総合力が試されるシチュエーション戦になると、ティナに乗っての移動が禁止される。やってしまえばどんな戦場からでも離脱できる機動力があり、逃げに専念するなら俺は最強という扱いだ。見事殿堂入りを果たしたといえる。嬉しくないけど。
あとは不意打ち対策さえしておけば万全であり、時々コンピューターゲームで見かける即死回避系の装備でもあればまず死なないと思うのだが。残念ながら、「七鍵世界TRPG」にはその手の装備品が無かったりする。ダメージの移し替えとか、別ゲームなら割と多くあったんだけどな。TCGでも死亡回避系の魔法やアイテムはそこそこあったんだけど……TRPG化した時にオミットされたりデータ改変や制限付けされて消えてなくなったんだよ。
結局、他の仲間に≪カバーリング≫してもらうのが精々であり、そこに防御力上乗せスキルを足すしかない。もうちょっと防御力を増やした方がいいかな、俺。
俺の事は横に置き、シチュエーション戦では長年冒険者をやっていた連中が上位に食い込んでくる。経験が浅い俺達はわりと下の方になる。
連携の質と、冒険という行為に対する経験値はステータス上に表れない。ジョブスキルだけでなく冒険スキルがあるけど、それだけでは測り切れないリアルスキルが重要になるのだ。システム的なフォロー無しに気配を探れる人も結構いるし、直感の一言で隠形を見破るHENTAIまで冒険者をやっているので、俺のようなシステムに詳しいだけの元一般人が太刀打ちできないのはしょうがない。。
今は負けている事を認め、積極的に学ばせてもらうとしよう。主に、襲撃者として。
けして、ティナ無しでは勝てず負けている事を根に持っている訳では無い。学ぶためには試練の難易度を高めに設定すべきというだけである。他意は無い。
俺達の訓練は、そうやって熱を高めていくのであった。




