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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
ポーション問題
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真実に至る一歩

 わざわざ出向いたヤマト村への相談事が不発になってしまったので、変に時間が空いてしまった。

 一緒に行った文官なども帰りの馬車で「彼奴らは礼儀を知らんのか」と文句をこぼしていた。少なくとも、作法に疎くとも礼儀さえしっかりしていれば頭を下げる場面であったのは確かである。そう考えれば軽んじられた、馬鹿にされたと思うのは当然であり、彼らが怒るのも無理はないと言えた。俺自身、ちょっと怒っている。

 少なくとも、最初に頭を下げてくれてさえいれば、ここまで拗れる事はなかっただろう。



 ただ、それだけで本気で怒る気もならない。

 むしろ、戸惑いの方が大きい。


 今日のヤマト村の連中は、何故か俺に敵意を抱いていた。

 これまでの交流で僅かであったがわだかまりが減り、隔意はあっても敵意を抱いてなかった連中までもが、である。

 つまり、俺の知らない所で何かあったと考えるのが妥当だろう。



 では、俺は何をするべきだろうか?


 最初に考え付くのは情報収集だ。

 ダンジョンで攻略に失敗したとか、誰かが死んだとか。そんな事があったなら、冒険者の誰かが気が付いているはずだ。

 だから、ギルドの中で情報を集めてみるといいだろう。





「あー、ずいぶん前だけど、相川だっけ? そいつらとお仲間がすっげー落ち込んで帰ってたのを見たっすよ。

 戦争前で、確か、2~3ヶ月は前の話っすけど」

「連中、ここ数日はダンジョン前にはあまり来てないはずですよ。少なくとも俺は見てないです」

「彼らはあまりクエストを受けてくれませんよね。……ええ、台帳でも彼らには仕事を出していないとなっています」


 プレイヤーご一行の仕事ぶりを調べてみたら、ほぼニート状態という結果になった。

 ここ最近どころか、戦争が始まる少し前からダンジョンに行かなくなったようである。



 ダンジョン攻略に失敗し、攻略の目途が立たなくなった?


 最初に思い浮かんだのはそれであるが、なんとなく、違うと思う。

 もしも攻略に失敗したとなれば、レベル上げに勤しむのが建設的であり、目標達成への最短ルートだ。少なくとも、今までの相川らならそうやっていただろう。


 もしかして、他に引っ越しを考えている?

 それも、たぶんだけど、無いな。

 ダンジョンはそれぞれに特徴があり、レベルだけでごり押しできるようにはできていない。ダンジョンにあわせて成長してきたメンバーが必要で、俺だって他のダンジョンを攻略できるなんて妄想は抱いていない。



 そうなると、だ。

 あまり考えたくはないが。

 ダンジョンの攻略に成功したとして。


 日本に帰れなかった?


 うわ。

 最悪だ、それ。

 怖くて事実確認はできないが、理由はどうあれ「日本に帰れない」って、あいつらのモチベーションを根っこからへし折る最悪の展開じゃないか。


 あんまり考えたくないけど、この考えが一番しっくりくる。



 それと俺が睨まれる事に関連性は無いように思えるけど、“また”八つ当たりって可能性もあるし。

 しばらくは独り歩きができないなぁ。

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