増産計画 その1
回復ポーションの『治癒の薬』。
その必要数について。
まず、冒険者『北極星』に所属する冒険者の数はおおよそ1000人ぐらいである。
冒険者以外にも商人や事務員などが多数在籍し、総員で言えば3000人ぐらいになる。
冒険者の倍もその他の数がいるのだが、普通はそんなものである。
装備を整えるための人員や、営業をする者、生活を支える者。そういった様々な業種に手を出しているため、冒険者の倍というのは少ない方なのである。
例えば国の純粋な兵力は、諸説があるが全人口の3%ぐらいが適正値とも言われている。つまりあらゆるジャンルに手を出せば33倍ぐらいが正常な値と思ってもいい。
では、『治癒の薬』の備蓄はどの程度にするべきだろうか?
現状では、最低値を500本とし、1000本をキープするようにしている。細かく補充をかけているので正確な数字ではないが、平均すると1100本ぐらいになると思う。
冒険者は、全員が常にダンジョンに行く訳では無い。俺達もそうだが、3日のうち1日は休みを取る。病気や怪我の影響で休みを多めにとる事も少なくない。
結果、ダンジョンに向かうのは大体500人ぐらいである。
そしてダンジョンに向かえば怪我をする事は当たり前。『治癒の薬』はできるだけ節約しないように使わせている。
当たり前だが、人間は怪我をしたら怪我の分だけ能力値が落ちる生き物なのである。傷みで気が逸れる事もあれば骨が折れて上手く動けなくなる事もある。だから現在HPは常に最大HPに近い数字になるように注意する。
ケチったら死ぬ。
安全マージンはHPを最大値で保つところから始めるのである。
節約は五体満足で生き残るのが最低条件。『治癒の薬』代より死ぬ方がよっぽど多きな損害なのだから。
そうやって湯水のように『治癒の薬』を使うようにしているため、1日当たり150本は消費される。多い時は300本ほど消える。
ダンジョンに行く冒険者の数と比較すればまだ少ない数だと思う。
冒険者500人という事はだいたい100近い数のパーティがいるわけだが、使わずに済ませるパーティもそこそこいるのだ。使う事になるパーティは2~3本は使う事の方が多いし。
まぁ、『治癒の薬』は日に150本以上、多めに見積もって200本ほど補充すれば大丈夫という計算になる。
そして『北極星』の『治癒の薬』生産力は200本を平均値とし、最大450本まで増やすことができる。
俺もそうだが、『治癒の薬』を作れる冒険者がわりといるので、生産者の休みを削り冒険者を動員すれば日に250本の増産が可能になる。
現在は『治癒の薬』が残り200本まで減少し、『病気用ポーション』が10本しか残っていない。
冒険者すべてを休ませるわけではないし、全員を生産活動に向かわせるのは場所の問題でデメリットが大きい。増産の幅は100本に留めておこうと思う。材料の仕入れの問題もあるし。
備蓄分として『治癒の薬』の3000本、『病気用ポーション』500本、売却用に『病気用ポーション』500本を想定しているので、ギルドとして約3800本を今から生産することになる。
日数にして38日。多少の変動があると思っても、45日あれば終わる仕事だ。
1ヶ月強、最大でも2ヶ月未満。思ったより時間はかからないな。
材料の入手さえ、安定していれば。