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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
殲滅戦争
186/320

これで3分の1

 大地の都が陥落した。

 独立勢力を率いていた者達は生首になり、その全てが王国軍に献上される事となった。


 肝心のマジックアイテムこそなかったが、それはダンジョンアタック中の連中が持ち出しているからであり、ダンジョン入口で見張ればいいという話になった。

 さすがに出てきたばかりを大軍に囲まれれば逃げ出す事もできないだろう。





 ようやく終わったお仕事一つ目に、俺は安堵からほっと息を吐く。


 一つ目とは言え区切りがついたのと、長く軍務に就いていたこともあり、上の思惑のいくつかがはっきり感じられる。



 分かりやすいのが、俺に力を持たせたくないというもの。


 俺の力を、『神竜召喚士』のスキルを使わせれば、この戦争はもっと早くに終わっている。

 超高高度爆撃をはじめ、航空兵力の強化で選択肢はかなり増える。

 兵士の被害などを抑えたいなら、空軍というのはとても有効な手段なのだ。それをしないというのは俺に手柄を立てさせたくないという事だろう。


 当たり前だが、航空兵力というか、空を飛ぶモンスターの厄介さは誰もが知る事である。



 余談ではあるが、『獣使い』を始めとした他のジョブで空軍を編成することはできない。テイムされたモンスターが従うのはテイムした『獣使い』本人だけであり、誰かにテイムされたモンスターは基本的には引き継げないからだ。

 ついでに、『召喚士』を主軸とした空軍が編成される事も無い。絶対数が少なすぎるし、そもそも人を乗せて飛べるモンスターを召喚できる奴等ほぼいないからだ。

 今でこそパワーレベリングが活発に行われているが、昔の1ジョブ状態ではそれすら厳しかったわけである。


 有効なのはわかるが、個人の能力に大きく依存した軍など編成できない。

 よって、航空戦においては俺が先行者(パイオニア)であり、最先端に所属しているという事になる。





 王国の航空事情は横に置き、分かりやすい意図はまだある。


 それは俺にコネを作らせたくないのと、王国の兵力を、戦闘能力をあまり知られたくないというもの。



 俺は何度も朝方に輸送を行っているのだが、一度たりとも交戦時に出くわした事が無い。

 行ったのが一度や二度なら偶然だが、毎回毎回戦闘中ではないというのもなかなかおかしな話だ。これはそういった状況を作るための工作が行われていると見ていいだろう。


 ある程度の力を持つものを俺に宛がう理由としては、俺が個人戦力としても強者に分類されるからだろう。「ドラゴンを召喚できる冒険者」に対し強気でいられる人間など、あまりいないのだ。弱腰の人間を使えば俺になめられるし、軽んじられることにもなるからな。軍人のプライドはそれを許容しないだろう。

 だからと言って英雄であるエンデュミオン氏を使う事で軍の面目は保てるとは言え、彼を応対役にできる状況をわざわざ作るためだけに戦闘をしないというのも変な話だ。他にも何人かは同格の者もいるだろうし。


 ならはそういった実力者を俺に隠す事と、その実力者が俺と仲良くなるのを防ぐといった目的が隠されていると思っていい。

 戦功を立てさせたくないというのも含め、俺に派閥を作ってほしくないのだろうな。





 俺に派閥を作る意図はないが、グランフィストでは(名目上は)冒険者ギルドを率いるギルドマスターであり、新興勢力のシンボルをやっている。

 それを考えると、ここでも勢力を作るだろうと警戒する方が普通だ。

 事実でなかろうと、用心深く振る舞うのは有能の証であり、怒るようなことでもない。ただ感心しておけばいい。


 俺が戦争に関わるのも今回限りで、輸送に限定される今の状況は都合がいい。

 早く戦争が終わればいいと、俺はその程度に考えていた。

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