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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
独立戦争
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他のダンジョン

 最近は持ち出し(支出)の多かった領主サマにしてみれば、この状態は歓迎すべきものなんだろうか?

 揉め事まで増えてしまったが、現金収入が増えたことでやろうとしている各種事業が上手くいっているように見えるし。リスク分散のために多くの事業に手を出していたわけで、成果を出すにはより多くの時間がかかる状態が思ったよりも早く終わりそうなんだよね。それでも数年かかるんだけど。


 そこまで考えて、ふと思い出した。

 火の都では近代化があまり進んでいなかったな。やっぱり砂漠の街に電線を引いて街灯を設置するのって難しいものなのかな?



「ああ、あっちのダンジョンは金属があまり手に入らないからだと思いますよ。カッパー(銅の)ゴーレム(魔法兵)とか、魔法生物関係はグランフィストぐらいしか出てきませんから。

 ティールガルドなら虫系モンスターがメインで、デザートワームやスコーピオンハンター、鳥系のシーフバードが出るみたいですね」

「詳しいね。余所のダンジョンなのに」

「え? ヤマト村のカードに書いてありますよ」

「ヤマト村のカード?」

「はい。ボードゲームと一緒に売り出した、モンスターのデータが書いてあるカードです」

「……ああ、そう言えばそんなのもあったね」


 イーリスと雑談していたのだが、火の都のダンジョンの話になった。

 そこで出てくるモンスターだが、あっちは食用可能なモンスターも多く出る、そのかわり鉱物資源に乏しいダンジョンだったようだ。


 ただ、その情報はヤマト村のプレイヤー達から齎されたもの。嘘は書いてないだろうけど、そんなところから情報が手に入るとか、あんまり考えてなかったね。今度買い漁ってもいいかもしれない。ダンジョンの特産品の情報も手に入るわけだから。

 あいつらは村を作る初期段階でいろんな所と商売をしていたっていうし。その関係なんだろうな。


 ……そう言えばあいつら、金属関係の取引はやってなかっただろうな。

 金属関係の取引は軍事力に直結するものだから、無許可でやったら重犯罪者コースだったはず。金属系ゴーレム素材はいい値段で売れるだろうけど、裏とか闇とか付く連中としか買い取り出来ない筈だし……。流石にそんな伝手は無いだろうから、やってなかったよな?





 ダンジョン関係で、自分のところ以外の情報はあまり興味が無かった。

 直接関係しないダンジョンの情報があっても役に立つとは思っていなかったからだ。そして実際に関わってくることはほぼ無い。ごくまれに、素材関係で欲しいものが出てきた時ぐらいだろう。


 ただ、今回のような騒動の中では否応にも外に目を向けた方がいいと思わされる。

 なのでヤマト村謹製、モンスターをコレクションするようなカードを買ってそこから情報を仕入れようと思う。

 全部買うと500G、一般的な庶民の給料1月分相当とかなりお高いが、現地の情報を他で仕入れようと思えばもっと高くつくし。必要経費と割り切ろう。



 最初はどこも洞窟でゴブリンとかが出てくる共通部分。2層目以降、その後の異空間的な場所がそのダンジョンの特徴になる。


 まず、火の都。

 2層は周囲と同じ砂漠が広がっており、そのどこかにあるオアシスを目指すことになる。まれに石山があるのでそこで石材を入手しているようだ。モンスターは虫系がほとんどになる。

 3層は密林になり、ここで木材を仕入れるのが冒険者にとって一番の仕事のようだ。ついでに動物系モンスターも出てくる。

 4層は密林の木が炎を纏った状態になり、精霊系モンスターがメインになる。周囲の環境を考えると、火や熱に対する耐性をそうとう高めておかないと、モンスターと戦う前に死にそうだ。


 水の都。

 2層は氷山。獣系モンスターがメイン。肉が固く食用にするのは難しいが、難しいだけで食べられないほどではないようだ。いきなり環境が厳しいとか、なかなか難易度が高いダンジョンである。

 3層はまた洞窟。ただし壁が全部氷で、やっぱり環境が厳しい。耐寒装備はより高性能なものが求められる。出てくるモンスターはフロストリザードなどの鱗系が多めらしい。

 4層になると一転して船が必須の水上ダンジョンになる。敵は魚系モンスターがほとんどで、水中戦ができるモンスターを連れていないとかなり厳しいようだ。耐寒装備は必要でなくなるが、環境の激変と言う意味ではここも他と変わらない厳しさがある。


 大地の都。

 2層は草原。次の階層に行くためにはどこかにある村を探さないといけない。基本的に見晴らしのいい場所なのだが、なぜか村の姿はある程度近づかないと見えない仕様になっており、単純に視力が良ければ真っ直ぐ次の階層に行けるという訳ではないそうだ。出てくるのはゴブリンの上位種などに植物系モンスターが加わっている。

 3層は石の都。巨人の棲家らしく、出てくるモンスターは身長4mのオーガなどより更に大きな、10m級の巨人族が敵になる。魔法を使う個体はレアらしいが、いないわけではないようだ。金属装備を持っている巨人がいないため、巨人から金属を得る事は出来ないらしい。

 4層は不明。情報が無かったようである。もしかしたら石の都の貴族街と言ったオチがありそうな気もしたが、それならそれでスタートラインが変わるし、気が付かないなどありえないか。





 手に入ったモンスターの情報を見てまとめただけだが、これだけの事が分かった。

 何割かは推測も混じるが、そこまで大きく外れている事は無いだろう。


 風の都の魔法生物ダンジョンがアタリかハズレかは横に置き、それぞれ特徴があり癖の強いダンジョンのようだ。

 俺は寒いのがあまり得意ではないので、北にある水の都は絶対に行かないだろう。王都を挟んで反対の大地の都にも行かないだろうけど。



 欲しい物は……思いつかないな。こっちで手にはいる物で今は満足しているから。


 こんな事にならなきゃ興味を持つ事も無かった他の都市。

 ままならないね。俺が何か悪い事をしたってわけでもないのに、周囲の変化はガンガン俺を巻き込もうとしているようで。

 俺はゆっくりそこそこの生活ができればいいだけなんだけど。

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