表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
独立戦争
168/320

火の都(後)

 日本が、世界が北朝鮮に経済制裁をしているのは特に問題ない。

 北朝鮮の国力ははっきり言って大したことが無く、例えば北朝鮮という国一つが文字通り何一つ無くなったところで世界には「軽微な影響しかない」からだ。

 いや、全く影響がないと言い切っていいだろう。


 世界に占める北朝鮮の国力が小さすぎるのが理由だ。

 人口が少ない、目を見張る技術が無い、資源が無い、重要な役割を果たしていない。


 これが日本やインド、アメリカなどであれば大問題になるだろう。気に喰わないが、中国だって大国なので無くなった時の影響は考えたくも無い。

 もしも北朝鮮が無くなって問題になる事があるとすれば、国の枠だけが無くなった時だろう。大量に発生する難民を抱えるのが難しいと、ただそれだけである。





 さて。

 翻って、独立した3都市を見てみよう。


 ティールガルド他2都市周辺と王都周辺の人口比を比べてしまうと、王都の方が人口が多い。グランフィストを足してトントン(同じぐらい)といったところか。

 世の中、大体そんなものである。だからこそ王都は王都だと威張っていられるのだ。数の力は偉大である。



 では、4大都市と王都の経済活動を封鎖すればどうなるか? 国力が同じという前提を忘れなければ、どうなるか。


 簡単だ。


 どう考えても、破たんする。

 王都を切り離してやっていけるだけの体力が、あるはずなど無い。

 細かいことを言えばグランフィストは他のどことも切り離されていないので完全につながりが消えたわけでもないが、それでも無理が生じて駄目になる事は商売に関わっていれば子供でも分かる。

 これはこの世界の支配者層なら誰でも分かる単純な話だ。



 だからこれはチキンレースである。

 どちらが先に破たんするか、どちらが立て直しのきかないダメージを受けるか、競い合っているのだ。

 そして先に降りた方が要求を取り下げ、相手の要求を聞く。


 経済メインの戦争という訳だ。

 戦争なので人が死ぬことに変わりはないのが難点だが。



 他所でやれよと言いたいが、近場でそんな事をやっていれば俺も状況が気になるわけで。


 とりあえず一番行きやすかったティールガルドを見てみれば自分の考えが間違っていなかった事がよく分かる。

 経済戦争なんて言ってはいるが、このまま行けば普通に兵士と兵士をぶつけ合う戦争になるのは目に見えている。その場合は王都がどの都市をピンポイントに狙っても他の都市も参戦するわけで、国中を巻き込んだ大戦争になるのが分かり切っている。

 付け加えるなら他国も参戦するだろうし、最悪は国が消える事になるだろう。今は内乱という形で他国を跳ね除けているが、それだっていつまで持つか分からないのだ。独立都市を国と認めてしまえば大義名分はいくらでも作れるのだから。だからこそ、他国との取引を増やせない(・・・・・)んだ。


 減ってしまう国力と、今後の成長のバランスをどうやってとるのか、俺には分からない。

 ただ、こんなやり方で独立をしたこいつらが馬鹿だって事はよく分かる。外部の救援があるのが前提の戦いを単独でやっている連中に未来が無い事も。

 スペインの独立騒動だって外部の協力があってこそ成り立つ方法なんだぞ。


 命綱無しのバンジーをやらかしたアホ共は、地獄に落ちた方がいいと思う。お前らの暴走に庶民を巻き込むなと言ってやりたい。

 活気の無くなった街を見れば本気でそう思う。

 俺やグランフィストはこんな連中の命綱ではないのだ。



 詰んでいる。

 この盤面をひっくり返すために、グランフィストがどう動くのか。それとも静観するのか。俺は巻き込まれずに済むのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ