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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
ターニング・ポイント
154/320

5層

 理不尽過ぎる嫁選びが終わり、婚約だけしておくことになった。

 実際に結婚するのは俺が15歳になるまで待ってもらうとして、あと3年。特に何も無ければ婚約破棄はしない。俺も腹をくくったよ。



「これから末永く可愛がってくださいね、旦那様」

「3年後からね」


 勝ち抜いたのは、同じパーティの『料理人』でイリスイリアス、16歳。

 ステータスを見るとINT以外バランスのいい彼女は中途半端と称される事もあったけど、今回の様に総合力を見る場面ではそれが有効に働いたようだ。大きな失点が無いのは強みである。

 料理については審査委員長である俺の好みを知っていたのが大きい。最高得点を出せたのは、料理人ジョブと関係ない素の実力である。



 勝ち抜けた彼女はとても上機嫌で体を寄せてくる。

 他の女性陣もそれを当たり前のように受け入れているので、そういうものなのかと考えてしまう。この世界の男女間の距離感が今一つ分からない。


 ただ、嫁試験に落ちた他の11人と仲がギクシャクしていないのは救いだった。

 ああいった試験で合否を決めたのが良かったのか、そもそも俺に恋愛感情を抱いていなかったのが良かったのか。イリスイリアス、面倒だからイリスと呼ぶ事にした彼女も含めて未だに新人12人は仲が良い。

 詰んでいるとか最大の難関だと思っていた人間関係も、俺が気にし過ぎていただけなのかもしれない。


 やってみると何とかなる事は意外と多い。

 もしかしたら俺が問題に気が付けていないだけかもしれないけど、プラス思考の方がストレスレスでいいんじゃないかな。





 そんなこんなで時間は経っていたのだが、4層をジョン達のパーティが攻略したという報告が入る。

 今回は、4層は相性の問題で遠距離攻撃が得意なバラン優勢と誰もが思っていたが、それを覆してのジョン先行である。


 俺達もそろそろ4層を目指し3層を攻略しようとしていたが、かなり先行された。

 また「早く4層に来い」と言われるだろうから、本当に急がないといけないかもな。


 この話を聞いた時は、その程度にしか考えていなかった。



「――という訳だから、本当に4層の攻略を急いでほしい」

「はぁ!?」


 今回も「どっちが先に4層を突破するか」の賭けで大儲けさせてもらった。それで気分よくジョンとの情報共有に向かったわけだが。

 続く5層の「攻略情報」に俺は頭を抱える事になった。


 5層はこれまでの6人1パーティの条件を緩和し、18人3パーティが攻略の前提条件になる。

 もちろん「破魔の剣」は単独で18人を捻出できるし、「夜明けの光」も同様だ。


 しかしパーティに端数が出るので、できるだけ多くのクランに5層到達してもらい、攻略のための連合を組むように呼びかけている。

 可能なら、俺達に3番目の5層到達をお願いしたいくらいだという。主に権威付けのために。



 当たり前だが、相当な無茶振りである。

 俺達は3層をこれから突破するところで、4層攻略などまだ当分は先の話だ。既に4層には他のクランも到達しているし、3番目はまず不可能だ。


 無理な物は無理。

 俺はそう言ってジョンを説得するのだった。

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