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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者レッド=スミス
138/320

竜召喚士の休日

 完全に何も仕事が無い日というのは、かなり珍しい。

 普段であればダンジョンに行かない日も他の誰かに掴まってちょっとした頼みごとをされるので、前日に宿屋を使い、ギルドハウスから逃げてみたのが良かったらしい。

 ギルドハウスの自室で寝泊まりしているとどうしても頼みごとをされるのだ。


 主に書類関係を早く処理するためにちょっと見てほしいだとか、細かい相談事だとか。

 簡単であまり時間を使わない仕事だから少しぐらいいいだろう、そんな軽い考えで俺の休日が潰れるのを厭わず頼む。休日の概念があまりな異世界とはいえ、まったく、嘆かわしいとは思わないか?



 今日は1日オフだと言う事で、桜花を連れてグランフィストを歩こうと思う。

 最近のグランフィストは公共事業による好景気のおかげか、娯楽関係に力を注いでいるようなのだ。この世界の劇とか、ちょっとぐらいは興味がある。美味しい物も探してみたいと思うし、やりたい事は色々ある。

 今日は何を食べようかな?





 街に出ると、活気のある雰囲気に包まれる。

 グランフィストは石とレンガでできたヨーロッパ風の街並みであるが、市場などは簡単な、屋台のような店が多く並ぶため、俺には中東系の街並みという印象だ。ゴチャゴチャした感じがするからね。ヨーロッパ系の街並みはもっと整然としていて、静謐な雰囲気があると思う。


 市場で売られる物を見て回るが、朝はゆっくりしていたので食料品関係の店はすでにほぼ無い。あるのは生活雑貨などがメインだ。

 家具やらなんやら、大物はちゃんとした店に出されるが、椅子や机でも持ち運びがしやすいサイズであればここに売りに出される事もある。毛皮でできたカーペットなどもあるし、食器の類も木製ならそこかしこで見かける。この辺りが主な販売物の様だ。

 金属製品をあまり見かけないのは残念だが、鍛冶師が手作業で作るのがこの世界の金属製品だ。あまり数が出回らない分、こういった場には置かれないのだろう。


 値段が1Gからスタートの物ばかりになる為か、セット販売が目立つ。もっと細かい単位のお金があれば売り方も変わるのだろうが、この世界ではそんな物は無い。

 日本なら円に対する銭、アメリカならドルに対するセント、他の貨幣単位でも小銭は別単位で存在するんだけど、本当にゲーム同様、そういった単位のお金が無い。

 まるでゲームにあわせたようだと思わなくも無いが、「ゲームでは語られていないけどこういう単位のお金があったんだよ」と言ってくれれば済む話だと思うんだが。


 まぁ、リアルなんて得てしてそういう合理性を欠くモノなのかもしれないけど。



 市場を見て回った俺は適当な、そこそこ綺麗な店構えの飲食店に入る。

 俺も桜花もこの辺りの店に詳しいわけじゃない。選んだ理由は店が綺麗なら儲かっているだろうから、だ。あとは何となくである。


 そう言えば飲食店がこうやって軒を連ねるようになったのは近代からだったと思いだす。

 TVで聞いた話では、フランスの革命以降に王侯貴族が雇っていたシェフが職を失い店を開いたのが始まりらしい。


 だったらこの世界で飲食店があるのはおかしいのだろうか?

 貴族がまだ健在なので、シェフも貴族の厨房を守っていると思うのだが。



 そんなどうでもいい事(トリビア)をネタに桜花と話をしているが、俺達程度に正解が分かるはずもない。

 出された飯が旨い事に喜び、その日の休みは特に何か起きることも無く終わった。

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