『神竜召喚士』
現状、チビ竜騎士でしかない11歳な俺は「格好いい」ではなく「可愛い」としか見てもらえない。
俺達のレベルなどを考慮してもらえれば一般的には超人クラスの強キャラのはずだが、見た目の与える印象はどうにも拭い去れないものらしい。解せぬ、と言いたいが、分かってしまうこの悲しさよ。
この世界には、銀の鏡がありますので。
低レベルなレベッカ達とは違い、ティナとマリーはレベルアップに伴い体が少し大きくなっている。
ドラゴンを始めとしたモンスター専用となる種族スキルの一つに≪巨体≫というスキルがあり、それを伸ばすことで体が大きくなるのだ。HPやSTR、VITにAGIといった身体ステータスも高くなるので、前衛としてはかなり優秀なスキルである。
当たり前だがその分だけ被弾しやすくなるし、範囲魔法の被害も大きくなるという欠点があるのだが。戦士系の≪大斬破≫など、≪巨体≫対応スキルまであるしな。
大きくなる事で強くなるのは間違いないが、強くなるばかりでもないのだ。
成長は、計画的に。
目に見えて強くなっていく新顔に比べ、ティナやマリーの成長は鈍化してきた。
俺がレベル14になり、『竜召喚士』を『神竜召喚士』に成長させたことで、その壁を打破しようと思う。
召喚士系ジョブの2段階目は属性、方向性を種族的に絞るというものだ。
3段階目は、更にその上。「数の暴力」か「質」の2択となる。
もう一つあった選択肢、『竜群召喚士』は今まで召喚できるようになったドラゴンと同レベルのドラゴンを複数召喚できる≪竜群召喚≫のスキルを得る、数の暴力を体現した選択肢だ。
『神竜召喚士』の場合は召喚するドラゴンの底上げをする≪神竜召喚≫のスキルを得る。≪神竜召喚≫は召喚するドラゴンの種族の格を上げるスキルだ。「ドラゴンパピー」から「ドラゴン」への種族的なランクアップが可能になる。
これまでのティナたちは、赤ちゃんだけに同レベルプレイヤーよりやや強い程度の能力しかなかったが、一端のドラゴンとなる事で同レベルプレイヤーより明らかに上の戦闘能力を得ることになる。正直、同レベルならプレイヤー3人までを相手にできるスペックになった。
もちろん召喚コストは今まで以上に重くなるし、こちらのスキルを使うのは決戦など格上に限定される。だが、今の俺にはかなり有用なスキルだと思う。
余談ではあるが、『竜群召喚士』の≪竜群召喚≫方が普段は使い勝手がいい。≪竜群召喚≫は単純に召喚した数でコストが倍加していくだけだから、3体呼べば≪神竜召喚≫と戦力的にトントンとなるのだ。≪神竜召喚≫は最低でもコスト5倍になるので同格の相手がたくさんの場合にはあまり意味が無いとも言われる。
ただし、格上には質の方が重視される場面が多く、いざという時に頼りになるのは≪神竜召喚≫の方だと俺は思っている。
≪竜群召喚≫はスキルのレベルが上がると同時に呼べる数が最大20まで増え、≪神竜召喚≫は最大3ランク上のドラゴンを召喚できるようになる。その意味は、差は、果てしなく大きいのだ。
それにしても。
≪神竜召喚≫目当てでジョブチェンジを優先したけど、『盾騎士』『筆者』のジョブも早くジョブチェンジしたいな。単純に、目に見えて強くなるのは楽しい。
こういったところは俺もゲーマーだと思う。
だけど、どちらもまだレベル4だからレベル6が遠くて遠くて。
これからどれだけ死線を潜り抜けなきゃそこに辿り着けないのかと思うと、泣けてくるね。




