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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者レッド=スミス
129/320

俺と相川①

 プレイヤー冒険者を返り討ちにした俺達は、けじめを付けに日本人村に行くことにした。


 俺達は鬼じゃない。

 関係者に、正当防衛の結果であるが、お前らの仲間が馬鹿をやって死んだのだと伝えておこうという心遣いだ。

 面倒だが、こういった事をやっておかないと後で面倒な事になりかねない。けして奴らから慰謝料を巻き上げようという訳では無い。慰謝料や馬鹿ども自身の装備その他で回収済みなのだ。二重取りは駄目なのである。


 具体的な目的としては、≪死者蘇生≫の手段(スキル)を奴らが手にしていた場合の牽制である。

 MPを鬼のように使うし、使用者にも蘇らせる対象にも思いペナルティを科すので軽々に使えない手段ではあるが、出来ないとは言わない。


 そうやってペナルティ覚悟で≪死者蘇生≫をしてくれないかという淡い期待がある。

 ≪死者蘇生≫という保険が無くなれば奴らの冒険も滞るだろうし、有力なヒーラーである『聖癒神官』を冒険に行けなくなる。

 こちらとしては有利になる点が多いので、今後の為にもやっておくべきだろう。





「止まれ! グランフィストの冒険者が、何用だ!」


 日本人村に着くと、村の門で足を止められた。一丁前に門番を置いていたらしい。レベル10ぐらいの、それなりに強そうなのが詰めていた。

 なお俺は変装しているので、日本人冒険者・レッド=スミスだとバレていない。


「今日、前らの仲間に襲われた。同行していたレッドを狙っての凶行だ」

「なんだと!?」


 今回の交渉者は、他所のクランのパーティリーダーだ。

 俺に奴らを煽るように命令した男だが、こういった交渉など駆け引きの場面で優秀なのだ。そういった人の機微に(さと)い人だからリーダーをしているとも言う。


 門番と少し交渉をして、俺達はそのまま村の中に入る。

 案内が付けて余計な所に行かれないようにするなど、村には見られたくない物が多そうだ。こっちもわざわざ波風を立てたいわけでもないので、周囲に目を向けず大人しくついて行く。



 俺達が案内されたのは門から少し歩いたところにある、そこそこ大きめの、2階建ての建物だった。

 1階にある広い部屋に通され、そこで座って待つように言われた。お茶とお茶菓子を出されたので、俺が代表してそれを口に(どくみ)しながら交渉相手を待つ。


 しばらくしてやってきたのは、何度か見た事のある相川だった。

 奴は俺を見ると、驚いた顔をしてみせた。


「レッド、お前は何をやっている?」

「周囲と揉めない様に、変装しているんだよ。実際、ここまでにバレた様子は無さそうだ」

「……変装? それを言うなら女装だろう」

「低い身長を誤魔化すにはこの方がいいんだよ」


 相川は俺の顔を何度も見たことがあるので、一発で俺の正体を見破った。変装(女装)はしても顔を変えたわけではないので、見破るのはそこまで難しくなかっただろう。もしかしたら冒険スキルの≪看破≫を持っているのかもしれないけど。

 俺はカツラを外し、胸の詰め物(ニセ乳)を抜き取って男の姿に戻る。



 相川は俺の正面向かいに座ると、俺たちの顔を見渡してから口を開く。


「さて、早速だが細かい話を聞かせてもらおうか」


 こうして俺達は相川と対峙するのだった。

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