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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者レッド=スミス
124/320

幕間:4層攻略者たち

 プレイヤーの村。

 そこには当初のひっ迫した雰囲気は無く、賑やかで大きく盛り上がった様子であった。


 理由は単純である。

 彼らの最精鋭部隊がダンジョン4層をクリアしたからだ。



「乾杯!」

「「「乾杯!!」」」


 相川率いる最精鋭部隊は、平均レベル22のプレイヤー最強部隊である。

 教会勢力と折り合いの付かない、死に戻りができない彼らは慎重に慎重にダンジョン攻略を行っている。だというのにようやく4層を攻略し始める冒険者ギルドよりも早くダンジョンを進んでいるのは、(ひとえ)にジョブの恩恵の差であった。

 効率のいい方法を考え、最高のジョブの組み合わせで戦う彼らは、ゲーム時代の経験値をそのままリアルに持ち込める。現地人と違いプレイヤーはジョブに自由度があり、有意な成長をしている者が多いのだ。『魔術師』『神官』の確保に頭を悩ませる冒険者ギルドとは違うのである。


 そんな彼らがようやく4層のボスを倒した。

 残すところは多く見積もっても2層。ただ、キリの良さとレベル的な理由から、5層が最後であるというのが彼らの見解であった。



「これで王手だ! ようやく帰れるな!」

「ああ、もう1年以上ここに居るんだよな。これで漫画の続きが読める!」

「モン○○の新作、出てるかな!?」

「あーちくしょー! オンラインのネトゲは毎日のログインが大事だってのに! いくつイベント逃したかなんて考えたくねーよ! 復刻イベでどんだけフォローできるんだよ!」


 祭り状態の彼らの表情は一様に明るい。

 酒を飲んでいる者が大勢いるのもそうだが、良いニュースと場の雰囲気に寄っている者も少なくない。

 「日本に帰ったら何をするか」

 そんな夢のある話で盛り上がっている。



 だが、そんな明るい雰囲気とは隔絶した者達がいた。

 攻略をしてきた、相川らである。


「やはり5層は厳しいか?」

「ああ、もっと数がいる。今のままでは厳しいなんてものじゃない」


 彼らは5層の様子を見て引き返してきたのだが、その攻略難度に軽く心を折られていたのである。

 5層はなんと2パーティを基準にしているらしく、最大3パーティまで一緒に攻略する事ができるらしい。4層クリア者である彼らにはその旨のアナウンスが入っていた。


 敵の平均レベル上昇に加え数の暴力がデフォルトになるのであれば、地道にレベル上げと仲間の引き上げを行っていけばいいのだが、ここに来てもう一つの要素が彼らの想定を打ち砕く。

 それはプレイヤースキル、リアルスキルである。単純にレベルを上げてステータスを伸ばしスキルを増やせばいいという段階を超え始めているのだ。



 先へ進めば先に進むほど、才能、センス、天稟、それらが無い人間を阻むようになっていくのである。

 単純に戦闘の駆け引きもそうだが、「同じレベル同じステータス、でも出せる結果が違う」というのが常識になりつつあるのだ。


 ステータスについてはHPやMPすら同一の数字でも全く違う結果を出すようになっている。これはレベルが上がれば上がるほど違いが顕著になる。

 一番分かりやすいのは筋肉、STRだろう。同じステータスでも筋肉量に差があれば筋肉が多い方が勝つのである。

 つまり、ステータスは倍率であり、単純比較できるものではないという事実であった。



 そうなると高レベルかつ鍛えられた人間の方が有利なのは明白で、そうやって最前線に立てる人間が実は少ないというのが彼らの悩みであった。


 今後のダンジョン攻略には人数が要るのに、烏合の衆ばかり。

 相川らの眠れない夜は続く。

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