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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者レッド=スミス
122/320

パーティ分割

 新人教育をジョン達が受け持ってくれるという話だが、最低限の面接などはこっちでやる必要がある。

 まずは2パーティ12人を追加するつもりで人を集めてみると、最近は知名度が上がったのか、すぐに募集枠は埋まった。……なぜか全員女性なのは誰かの策略に違いない。


 最低限の座学や訓練をしてからのジョブ解放がお勧めという事で、希望するジョブを聞いて回ってみたら、そのほとんどが後衛ジョブ、『魔術士』と『神官』を選び、前衛系ジョブがほぼ壊滅という非常事態になった。

 俺が欲しいのは頼れる前衛である。これは全くの想定外であった。


 彼女らに話を聞いてみると、やはりレアな『魔術士』『神官』の方が活躍できると考えていて、「まぁ、試すだけですし」と「なれたらいいな」程度の気構えで挑む者がほとんどだったようだ。

 実際、魔法系のジョブの居ないクランもそこそこの数がある。『獣使い』に『弓兵』や『冒険家』が後衛担当として頑張っている所も多いが、『魔術士』『神官』はあまり見かけない。『召喚士』などは更にレアだ。


 俺の所は逆にそっち系のジョブが過剰なので多少は中和したいところなんだけど「その時は他のクランとトレードする材料にしてください」と笑顔で言われた。

 ……ギルド全体で見れば、確かにその方がいいかもしれない。



 1週間だけ『魔術師』『神官』向けの座学講座が行われていたが、結局12人中1人が『魔術士』になっただけで、『神官』他魔法系ジョブは0だった。

 魔術師1人というのは確率的にはトントン。多くも少なくもない数字だ。他がいないというのは残念だが、俺としては都合が良いと考えておく。

 たった1人なら他所に出すことはできないので、第2パーティか第3パーティのどちらかに配属しようと思う。


 そして、そのついでに我がパーティも解散させようと思う。





「2・2・1人ずつに分けてから新人を4人加え、新しいパーティを作ろうと思う。

 組み合わせは俺と桜花、イーリスとララ、ミレニアでいく。ミレニアの所には新人魔術士を入れればバランスはとれるはずだ」


 これはすぐに行う話ではないが、今後の予定としてみんなに伝えておく内容だ。

 直前に話を振るようではみんなも対応できないだろう。


 この話をすると、桜花を含め全員が頭を抱えて悩むことになった。


「ギルマス、それって本当に必要? 今のままじゃダメなの?」

「体調不良でメンバーが欠けたときの事を考えると、フォローできる他のパーティはあった方がいい。で、それを率いるにはベテランが必要だし、先輩である俺たちのパーティがクラン幹部として動くのが間違いない。

 それに、だ。新人だけにパーティを任せると、クランとしてのまとまりが無くなる」


 ミレニアは新人追加やパーティ解散に反対の様だ。新人は新人だけでパーティを組ませ、彼らなりに動けと思っている。


「クランが1パーティだけっていうのは安定感が無いのは分かります。ですが、私とララは冒険者1年未満の新人なんですよ? ご期待に応えるのは難しいと思います」


 イーリスは単純に自信が無いだけの様だ。


「ララも無理と思うのですの。未経験者じゃないけど、初心者なのは間違いないですのー」


 ララもイーリスと同じ。彼女の方がより冒険者としての経験が浅い。自信がある方が不自然だ。


「マスター。ちなみに、いつからの話でしょうか?」


 桜花はやや冷静。

 この話はいきなりしたのではあるが、実行はまだまだ先の話である。この話が進むのは新人研修が終わってからで、ついでにみんなのパワーレベリングも終わってからである。新人はレベル9まで。彼女らはレベル12まで上げてもらう予定であった。



 そうやってこの話が実行されるまでに最低でも2ヶ月はかかる事を説明すると、桜花とイーリスは納得したような表情を見せた。

 他2人はまだ難しい顔をしている。


「そもそも私だけ1人じゃない。フォローが足りないわよ」


 特に1人の割り当てになるミレニアは不満顔だ。新人女子がどんな能力であろうと苦労することが目に見えていて、2層で稼げればいいや程度の気構えの彼女にとって、今の安定して戦えるパーティが解散されるのは特に面白くないらしい。

 最近はゴーレム石材の値段が高騰していて稼ぎが増えているので、現状維持こそ彼女のベストなのだろう。


 まぁ、俺は桜花とバラになるのを嫌がっているからこの組み合わせなのだし、彼女の言い分はワガママというほど変でもない。こちらの事情を押し付けているので少しは譲歩するのがいいだろう。


「新人選びでは優遇するから、それで我慢してくれ」

「うぅー。あとで新人のジョブを教えて。それ見てから考える」


 不満は残り、渋々とだがミレニアは納得してくれた。

 この譲歩ではイーリス達も不都合を強いられるが、彼女らは準備期間の長さでフォローすればいいからと大人の対応をしてくれた。本当にありがたい。



 こうしてギルドマスター直轄にして最弱のクラン、『北極星』が動き出すのだった。

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