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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者レッド=スミス
118/320

パーティの意見

「私は反対ー。それならゴラオン君たちと別れた意味、無いし」

「私は強くなりたいし、先に進むのは賛成です。でも、急ぐ必要があるとは思えません」

「まだ弱っちいララがいるんだから慌てない方がいいと思いますの」


 今度は仲間と話し合う事にしてみた。

 仲間の反応は鈍く、先に進むことに対しどちらかといえば否定的な空気である。唯一前向きなのがイーリスだが、その彼女も積極的賛成という訳ではなく、「やってもいい」程度の雰囲気だった。


 なお、桜花だがについては「私はマスターの決定に従います」と賛成も反対もしない。


「満場一致っていう訳でもないけど、しばらくは2層でララのレベリングって事でいい?」

「「「はい」」」


 ……満場一致だったようである。

 しばらくはララ(新人)の経験値稼ぎを優先し、ララが10レベルになったら3層を目指す事を決めた。

 ララのレベルは現在7で、レベル10まで上げようと思えば3ヶ月ぐらいを見ていい。それまでに『破魔の剣』『夜明けの光』が帰ってくるので何か言われるかもしれないが、よくよ考えれば仲間を危険に晒すより――って。


「冒険者は続けるって事でいいんだよな? なんか話の論点がずれてたけど」

「? むしろ、なんで今、辞めるんですか?」

「ですのー。体が動かなくなる30過ぎならともかく、11歳で引退とかワケ解りませんのー」


 いやいや、本題は違うだろ。

 危険な4層を目指す方が議論の争点になっていた。


 本題は俺が冒険者を引退するかどうかであり、命がけで戦い続けるのが嫌だという話だったと思うんだけど。

 リスク回避、お金優先のミレニアですら冒険者を引退しようとは考えていなかったようであった。他の2人については言わずもがなである。イーリスとララから、本気で頭を心配するような目を向けられた。


「言いたい事は分かりますけどねー、さすがに11歳で引退は無いですって」

「でもなぁ。もうお金は稼いだし、稼げるし。命を張るって言うのは厳しくないか?」

「普通、仕事なんて選べるものでもないですのー」


 そういえば、この世界ってまだ基本的人権とか言われていない時代だったか。だったら職業選択の自由も無いし、仕事を辞めるなんて発想も出てこないか。

 あれ? そうなるとギルドや徒弟制ってどうなんだ?


 いや、今は関係ないから横に置こう。この世界では転職って珍しい。引退するにしても30過ぎが普通。その認識でいいか。





 これで話は終わりだな。

 俺がそう思っていると、ララが不思議そうにこちらを見ていた。


「そう言えばマスター、日本人はダンジョン攻略のご褒美があるって聞きましたの。ダンジョン攻略は目指しませんの?」

「あはは、冗談キツイよ。なんで命がけで挑まないといけないんだよ」


 推測推論だが、6人の仲間を集めてレベル30になって。それでようやくできるのがダンジョン攻略だろう。

 それには相応の危険が伴うだろうし、レベルを30とカンストさせても勝てるかどうかは5分5分だと思う。だったら、俺が挑む理由は無い。


 普通に生きている奴ならだれでもそうだと思うけど、命がけで挑む目標なんてそうそうないのだ。

 付け加えるなら、カミサマの手を借りて叶えたい願いは、と前に付く。スポーツなんかだと自助努力と仲間との絆で勝ちたいって奴はいても、カミサマのチートで勝ちたいって奴は少数派だと思うよ。もしいたとしても勝ちたいんじゃなくてちやほやされたいだけだと思うし、そんな奴がその為に命を賭けるとは思ってない。


「むー。面白くないですのー」


 ララは俺の回答にふくれっ面だが、俺の方が絶対に一般的な思考だ。

 誰が好き好んで虎穴に入るんだよ。

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