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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
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止まる足

 空中移動用のグライダー、ソラカナは作ったばかりの試作品である。

 つまりは初代ガンダ○。生産性に劣り、総合力でガン○ム・マ○インダストリーことG○には敵わない。あれはパイロットが優秀なだけで、能力を見れば「堅い」だけなのだ。性能的にはそう劣る物ではない。


 他所の話は横に置くとして、問題はソラカナ量産計画である。

 俺は最初、人数分を見て6台あればいいと思っていたが、ジョンとバランから「途中で壊れたら詰むだろ」というごくごく当たり前の指摘を受けて追加生産の予定を立てる事になった。

 2パーティ分、予備も含めて18台の生産が求められるようになったわけだ。


 その場合、素材が集まるまで最低でも1年以上。下手すれば2年3年とかかる大口の仕事となった。

 無茶を言い過ぎである。



 しかし、そういった問題であれば別口の解決方法があった。


「いよぉーし! じゃあ、ドラゴン退治の遠征だ!」

「使うのは風属性のドラゴンの素材ですよね? 近場で済むのはいいことです。東の山脈にドラゴンが出たという話がありましてね

「安心していいぞ。今回、レッドの出番は無いからな」

「ええ。ドラゴン退治は我々だけで動きます。ですから、あなた方はパーティの皆さんと3層を目指すといいでしょう」


 ティナの翼膜に頼るのではなく、外のドラゴンを狩って入手しようというごく自然な発想である。

 ダンジョン内にはドラゴンが居ないので、ドラゴンの目撃情報がある場所まで遠征に行こうという話になった。


 一応、遠征は俺の出番はない。

 俺も彼らと組む事に慣れたと思うが、それよりも優先すべきは普段組んでいる仲間だ。桜花たちとのパーティに俺が必須でないとしても、それでも俺は桜花たちを優先する。


 ジョン達もその事は分かっているし、桜花たちを優先するようにと言っている。

 桜花たちも遠征に連れて行けばと思わなくも無いが、相手がドラゴンとはいえそこまでするほどでもない。

 だから俺はグランフィストに居残りをするのだ。



「2ヶ月もあれば戻ってこれます」

「お土産には期待しろよ!」


 こうしてトップのクラン、『破魔の剣』『夜明けの光』は仲間を連れて遠征へと向かった。

 残った俺は仲間と2層の攻略準備に取り掛かるが、一つだけ気が付いてしまった事があった。


「俺、別に無理をして3層を目指す必要が無いんだよな……」


 もともと安定した生活、老後の資金を稼ぐためにやっていた冒険者稼業である。

 すでに目的は達成したとまではいかないが、ダンジョンに潜り命がけで戦う理由が薄れている。このまま2層でそこそこの額を稼いでいるだけでも充分で、錬金術師としても稼ぎを期待できるようになっているのでさらに冒険する理由が薄れている。



「このまま続けて、惰性で冒険をするのか?」


 ダンジョン攻略の報酬だって全く期待していない俺である。

 ダンジョンに潜る理由が、全く無かった。

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