ソラカナ
まず、≪製紙≫スキルの応用で『風精竜の翼膜』を使えるようにする。
叩いて均一な厚みにするだけとも言うが。
一応は風を受けて舞うイメージを固定化しているので、
『嵐竜の剛爪』は骨組みの一部に使うだけ。
正直、爪は小さいので骨組みそのものとして使うには長さが足りない。骨組みそのものではなく、骨と骨を組みつける留め金として使っている。
使っている事実が大事なのです。
翼膜を翼の部分に使い、骨組みに張り付ける。
『ゴーレムのコア』を使い、魔法生物化させる。
他にも色々と工夫を凝らし、なんとかドラゴン素材をふんだんに使った魔法生物式グライダーが完成した。横に長い二等辺三角形の翼を持つ、シンプルな
……一人用だけど。
素材、使い切ったけど。
1人用とはいえ、グライダーは出来たのだ。時間がかかるだろうが、また素材を溜めれば2号機3号機と作る事も可能になるはずだ。計算では都合良くいっても3ヶ月ぐらい。運が悪くても半年以内に何とかなるという試算が出た。
ならばそれまでの間、やるべき事はただ一つ。
グライダーの試運転である。
いつまでもグライダーと呼んでは恰好が付かないので、これに『ソラカナ』と名前を付けた。空の彼方まで飛ぶ翼、略してソラカナ。単純ではあるがこの名前は言いやすく、みんなに受け入れられている。
で、ソラカナで浮遊島を飛ぶとしても、いきなりあの場所で練習するわけにもいかない。落ちたら死ぬのだから慎重になるのは当然だ。
そんな訳で、グランフィストをぐるりと囲う外壁までやってきた。
外壁から空中を通って外壁へと移動する練習だ。
高さはそこそこあるが下に受け止める人を配置したので、落ちたとしても死なない。たぶん。
「レッド、行きまーす!」
どこぞのロボットパイロットのネタを言ってみるが、当然、誰にも通じない。
分かっていてやったが、ちょっとは後悔している。
体重の軽さからテストパイロットに選ばれた俺だが、こんなことをやった経験はどこにも無い。本当に体重の軽さだけで選ばれたクチである。
もしミスって落下した時、戦犯は俺への賠償が発生する。だから素材の受け渡し元の俺がやった方が都合が良いという話かもしれないが。
ソラカナを手に、壁の向こうに向かって飛び立った。
足が壁から離れ体は宙に舞う。
翼は風を受け、天高く舞い上がり、100m先の壁どころか遥か先まで飛んでいこうとした。
それを何とか軌道修正し、最初に飛びったった所から100m離れた壁の上――すら越えて、更にその先へと向かってしまう。
「いかん……飛び過ぎだ」
通常のグライダーであれば環境を整えない限り高度を上げるなど不可能なのだが、ソラカナは魔法生物であり、物理法則を無視した推力を持つ。俺達はそこを上手く計算できていなかったようで、飛び過ぎてしまったのだ。
そこは今後の調整として。
「どうやって降りよう?」
ソラカナ試作一号機。
残念ながら、研究データを得る以上には使えないかもしれない。
まだまだ改善の必要があるね。




