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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
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錬金術の基礎

 ドラゴンは空を飛べるのか?


 物理的な話をするのであれば、不可能の一言で済む。

 体重と骨格、翼の面積を考えれば誰でも同じ結論を出す。


 それでもティナやマリーは風属性のドラゴンとして鳥たちよりも早く飛べるし、中にはペガサスのようなもっとバランスの悪い、物理学に喧嘩を売るような飛行系モンスターもいる。



 では、なぜ飛べるのか?


 そんなものは、「魔法があるから(ファンタジー)」とでも言っておけばいい。世の中とはそういうものだ。


 念のために確認したが、ティナの翼と体重の比を参考に、人間が翼を広げたら何とかなるかという実験は失敗に終わった。

 物理学は日本のそれとあまり変わらないらしい。ちゃんと仕事をしているようだ。





 さて。

 錬金術師と言っても、俺の担当は「ポーション」「紙(植物製)」「本」の3種だけである。

 しかもスキル頼りで物を作ろうとするときは、体がオートで動くようなものなのだ。決められた手順があり、こうすれば上手くいくと何となく分かるので、その通りに動こうとするだけである。


 どこぞのVRMMO系小説を参考に、薬草を乾燥させたり分量を増やしたりといったアレンジを加えた事があるが、それらはすべて失敗作を作るだけに終わっている。

 何が言いたいのかと言うと、レシピ以外の物は作れない。それが俺の認識だった。



「いえ、スキル頼みは普通失敗しますわ。

 本職の錬金術師であれば、スキルはお手本でしかありませんの。それを元に、スキルに任せず物を作れるようになって一人前ですわ」

「スキルに任せずって言っても、アレンジをした時は盛大に失敗したんだけど?」

「スキルは手順の一つを教えてくれるだけですわ。アレンジなどといわず、最初から最後まで自分の手で物を作ろうとするのが大事ですわよ」

「ごめん、差が分からない」

「スキル頼みの製作は、誰かに体を動かしてもらいながら物を作ると言う事ですわ。そうですわね、剣を振る練習のとき、指導される方が腕に手を添えていると思ってください。その武器を剣から槍に替えたとして、同じようにできると思います?」

「……何となく分かったよ」


 スキルを使うのは基本中の基本、その練習用だったようだ。

 俺のアレンジは剣を振るモーションで矢を振るっていたようなものだと理解した。弓に射るための矢を剣のモーションで扱っていれば、それは失敗してもおかしくないよな。


 スキル頼みで『治癒の薬』を作り、次にスキルを意識的にオフにしてから『治癒の薬』をもう一度作る。

 できた物は品質が悪く売り物にならないが、何度か繰り返せばスキル無しでも普通の『治癒の薬』を作れるだろう。



 他の冒険者と一緒にダンジョンに行く事はあっても、他の錬金術師と一緒に研究室にこもるなんてしてこなかったからな。スキル通りにやれば物は出来ていたんだし。


 俺はもうちょっと視野を広げた方が良さそうだ。

 手にした治癒の薬(ポーション)を手に、俺は苦笑いをするのだった。

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