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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
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レベルアップ(寄生)

 人間とはどんな環境でも生きていけるんだと、つくづく思う。

 死ぬ思いをしながら行うパワーレベリングも慣れてしまえば脅威ではなくなる。死の恐怖は常に感じ続けられるほどのものではなかった。


 思い返せば学生時代、車の免許を取りに行った時。

 初めて運転する車は恐怖以外の何物でもなく、事故を起こさないかとビクビク怯えていた。

 それも最初の数日だけ、時速80㎞も出せば事故で死ぬかもしれないというのに、何も気にならなくなった。

 今の俺はその時の自分に似ている。


 ゆとりのある心でいれば、周囲を見渡し落ち着いて行動できる。

 ワンミスで死ぬのは車の運転も冒険者稼業も同じ。だったらミスらなければいいだけだし、そのための環境に身を置いている。死の恐怖に怯え身を竦ませるなど、自身を死に近づける愚かな行為に他ならない。

 そのことをようやく思いだせた。





 俺の実力が足りなかろうが、パーティの戦力(レベル)は足りている。

 つまり、何も恐れる必要はない。

 ただ全力を尽くせばいい。



「マリー!!」


 閉所での近接戦闘ではマリーの方が強い。ティナは機動戦であり、空が広い場所でこそ真価を発揮する。

 よって召喚すべきはマリーであり、壁役を任せるのである。


 ジョン(前衛)をすり抜け(後衛)に強襲を仕掛けた男性型の魔法生物バトラー・サーヴァント。その凶手が俺に届く前にマリーを割り込ませ、時間を稼がせる。

 さすがに宮殿エリアの敵はレベルが高く、庭園で戦ったメイド・サーヴァントよりも危険度が高い。マリーも1対1でようやく時間を稼げるといった塩梅だ。ぶっちゃけ、俺と並んで戦おうと、いずれ押し切られる可能性の方が高い。


 だが、すぐにフォローが入る。


「退け!」


 バランの声がかかると、マリーは上手く相手を誘導し、バトラー・サーヴァントとバランの間に射線を通す。あとはバランが一撃で射殺すだけである。

 俺達は時間を稼ぐだけで十分なのである。





 パーティの中での立ち位置を理解し、それを受け入れ、出来る事をやる。足手まといの寄生冒険者であろうとそれぐらいはやってみせる。

 俺が努力すべきは生き残る事で、敵を倒す事じゃない。余計な行動はせず、守ってもらう人間としての心構えを持つべきだろう。


 その事に思考が至れば、俺は俺の役割を果たすだけで楽ができる。命がけの戦場で楽という言い方も変だが、絶対に守ってもらえる安心感と守られる側の自覚を忘れなければそれでいい。

 そうやって経験値を稼ぎ、DEXを伸ばし、レベルを上げていく。



 パワーレベリングから2ヶ月が経つ頃には、俺はレベル13になっていた。


 竜召喚士のレベルが5で残りが4なのだが、諸事情により次も竜召喚士のレベルを上げる予定で動いている。

 そうなったら俺は一足先に4層に足を踏み入れる事になっている。


 実力はレベル相応とは言えないけど、2回目のジョブチェンジをすればボス戦で何もできないと言う事はないだろう。

 みんなも頑張っていて桜花とミレニアのレベルは11になっていたけど、中層、今の言い方では2層のボス戦をするのはまだ先だ。俺は一足先に4層の景色を見てくるよ。



 ……新人のドラゴンパピー、全く育ててないのはどうしようね?

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