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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
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パワーレベリング

 俺も男の子だし、みんなよりレベルが一つ低くなっていたことは置いて行かれたようで気にしていた。

 だがそれは一時的なもので、他の誰かが経験値を得られないタイミングでも俺が経験値を得る可能性は僅かだが存在するため、ちょっと焦ってはいたが気長に頑張るつもりだった。


 基本的に俺はチキンなので危ない橋を渡りたくないのだ。コツコツやる方が性に合っている。


 だからまぁ、現状は恐怖以外の何物でもない。





「はあぁっ!」

「喰らいやがれ!」


 気合一閃、ジョンさんの剣が目の前のゴーレム――大きさが5mオーバーで金属製の体を持った魔法生物――を叩き切った。

 俺の隣ではバランさんが空を飛ぶモンスター、ガーゴイルを次々に射落としている。鉄の(やじり)とはいえ、普通の矢ならモンスターの身体を貫通しないと思うんだ……。


 今いる場所の適正レベルは最低でも14ぐらいだと思う。もしかするとレベル16が適正なのかもしれない。

 レベル9の俺には刺激が強すぎる場所で、なんか涙が出そうである。隣に居るのが最強クラスの冒険者であっても、心が全く休まらない。



 俺がいるのは下層であり、宮殿エリアだ。

 宮殿エリアは思ったよりも広く、吹き抜けもあって空を飛ぶモンスターも結構いた。これでなぜ空という選択肢を捨てられるのかは分からないが、そこは個人の判断なので批判しないでおこう。

 問題とすべきは、俺を簡単に殺せるモンスターが徘徊するエリアに無理やり連れ込まれている事だ。命の危険がとても近くにあるため、非常に怖い。


 かつてイーリスにやったことがそのまま俺に返ってきているだけなので、そこだけ見れば因果応報と言うかもしれない。

 でも俺は相手の同意を得てからやっているので、ニュアンスどころか本質が全く違う。一緒にしないでほしい。





 ジョンさんたち2人が俺のパワーレベリングをする理由は2つある。

 ティナとマリーを足にできるまで育てるのと、4層を直接見せる為だ。


 なので大人しく参戦してティナとマリー共々レベル上げをしているが、怖いというだけであまり嬉しくない。レベルは上がるが、寄生しているようで強くなった気がしない。実際、戦闘経験という意味では強くなっていないと思う。


 今回の目的は4層を見ること。そっちがメインだと思う事にしておく。



「ははは。1回で元下層、3層を攻略すると思わないでくださいね。ちゃんと何回かに分けて、ゆっくり慣らしながら進まないと我々が居ても危険ですから」

「おう、いくら俺達が居てもほんの1回2回で攻略できるほど3層は甘くねぇ。死んでも生き返れば済むっつっても、無駄に死なせることはねぇから安心しろよ」


 2人はそう言って笑うが、俺は全然笑えない。

 2大クランのメンバー合同で俺を護衛をしているとはいえ、最大6人という人数制限は変わらないし敵の強さの次元が違う。

 そもそも俺には元下層、3層に挑む気などほぼ無かったというのに。


 人生はままならないものである。

 こんなところ(異世界)にいる事も含めて。

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