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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
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 空中を移動する手段。

 ロープを張るのでは危険度が高すぎるという判断は間違っていないと思うが、そんなものを俺に求められては困る。


「空中で戦うモンスターをテイムするのが一番分かりやすいと思いますけどね。もしくは俺みたいに≪召喚≫するとか」

「それも考えたんだけどね、私達のパーティには該当するジョブの持ち主が居ないんだよ」

「クランの中にもいねぇな。『獣使い』『召喚士』のジョブの奴はいたが、そこまで育ってねぇ」

「と、言うより全く想定していませんでした。これまでは天井のある制限された空間内での戦いがメインでしたから、飛べるモンスターをどうにかしようとは思っていなかったのですよ」


 ここに来て、彼らは大きな壁にぶつかったようだ。

 途中で庭園エリアがあったが、それ以外は狭い地下通路や宮殿といった屋内戦がメインだ。そちらに特化していけば空に対する関心は薄れ、飛行手段など必要ないと切り捨てていた訳だ。

 そして、メンバー全員が高レベルと言う事は、逆を言えばもう後戻りできないほど屋内戦に能力が偏ってしまったという事でもある。


 レベル制ゲームにおけるベテランゆえの欠点だった。





「なら、人間大砲やカタパルトジャンプでも実用化しますかね? 浮遊島の距離がどれくらいかにもよりますが――って、どうしました?」

「我々とは逆に、空に特化した『竜召喚士』ですか……」

「レベルぐらい、1年も鍛えれば何とでもなるか? 経験不足は補えば済むし、悪くねぇ」


 俺は代案を考えるが、飛行機や飛行船といった乗り物は実用的でないと考え、むしろネタ枠の人間大砲などを使えないかと検討してみた。

 その為の情報を貰おうとジョンさんバランさんやその仲間に話を振ってみたのだが、何故か俺の背筋に冷汗が垂れた。


「ちょっと、みなさん? 何を――」


 何を考えていますか?

 そう言いたかったのだが、思わず途中で言葉が止まる。これ以上喋ったら何か嫌な事が起きるというか、肉食獣から隠れてやり過ごす草食獣の気分というか、とにかく冷汗が止まらない。


「なんかよく分かりませんけど俺はこれで――」

「まあ、待ってくれないかな?」

「そうそう。ちょーっとおじさんらとイイ事(レベル上げ)しようってだけだからな。レベルなんざ簡単に上がるって」

「ははは。バラン、彼の事は私に任せてくれないかな? 君のやり方ではレッド君が壊れてしまうかもしれない」

「おいおい、こっちだって新人教育ぐらいするっての。むしろ若いのはこっちの方が多いぜ? レベル7まで半年ってとこさ。賭けに負けたジョンちゃんにそれが出来るってのか?」

「ははは」

「くくく」


 逃げようと椅子から立ち上がろうとしたが、その前に2人から肩を押さえられた。立ち上がる事も出来ない。

 そしてそのまま二人のクランリーダーは俺の頭上でにらみ合い、牽制し合う。


 言いたいことは分かる。

 俺のレベルを上げて浮遊島の間を行き来する足にしようと言う事だろう。

 ある意味、俺の専門分野に近い。レベルが上がり体が大きくなっているとはいえ、今のティナでは最大2人までしか運べない。ただ、レベルを上げればもっと多くの人間を運ぶほど大きくなれるだけで。マリーも同時に召喚できるようにスキルを取れば、移動はもっと楽になるだろう。

 魔導書を用意してMP効率が良くなった事も計算に入れれば、そこまで無茶な話でもない。


 ただし、俺は中層の冒険者で、4層どころか元下層にすら足を踏み入れていないというだけで。



 うちのパーティは性別を理由に休みが多めである。

 その休みの大半を、俺はパワーレベリングに充てられることになった。そのうち4層にも連れて行かれるようだ。


 マジですかー。

 死なないよな、俺。

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