表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
101/320

魔導書の効果

 生産ジョブ『筆者』は意外と数の少ないジョブである。

 『錬金術師』は人気ジョブだが、『筆者』になろうとする者が少ないのが理由だ。初期は自分用の物しか作れない『筆者』じゃなくても魔術師のブースト装備を作れるので、『魔杖士』などもっと他に応用のきくジョブに就く者が多いのだ。


 逆に人気があるのはポーション系を始めとした薬品の専門家、『薬剤師』である。名前から行けば薬剤師の方が下のジョブに見えるのだが、『錬金薬術士』がその上にあるので気の利いた名前が付かなかったのだろうと俺は思っている。

 他の人気ジョブは『魔宝士』という、宝石に魔力を付与するジョブだ。初期は宝石という高価な品を消耗品扱いするため、人気のわりに出番の無いジョブだと言われているが。


 ただ、魔導書の性能を考えるとやはり『筆者』が一番都合が良いと思うのだけどね。

 金稼ぎのために選ぶなら別の選択肢を取っただろうけどね。





 魔導書『ティナの書』『マリーの書』の2冊は、どちらも青い表装の本である。

 サイズはA4、厚みは5㎝ぐらいだ。羊皮紙が分厚いため、どうしても厚みができてしまう。なので、今回は2冊だけで止めておいた。

 けして、もう羊皮紙に何かを書くのが嫌になったとかではない。



 俺は休みの日に桜花を連れて郊外に出てきた。魔導書の試運転をする為である。


 MPはそれなりに成長しているが、それでも戦闘状態では1日25分ぐらいしか召喚を維持できない。単独移動だけなら2時間は持つが、俺が騎乗しているともう少し早くMPが減る。

 それがどこまで伸びるのか。期待に胸が(はや)る。


「≪召喚≫ティナ」


 魔導書を手に、俺はティナを召喚する。

 いつものような魔法陣が地面に描かれるのに加え、その上にもう一つ同じ大きさの魔法陣が描かれた。

 二つの魔法陣は光の柱で結ばれ、その間にティナが召喚され、魔法陣は消える。


 ティナが召喚されると、手にした魔導書にぼんやりとした光が(とも)った。

 感覚で分かる。この魔導書を経由してMPが消費されていくのが。

 普段であれば直接MPがティナへと向かう。その時にできる繋がりが召喚士の俺と召喚モンスターのティナを繋ぐ絆のようなものなのだが、それが魔導書を介することでより鮮明になり、強くティナの存在を感じるようになった。



 おそらく、魔導書は増幅器(アンプ)のようなものなのだ。もしくはノイズ除去装置(フェライトコア)か。

 俺からティナへと向かうMPの通り道をすっきりさせることでMP効率を上げているのだと思う。



 その後、1時間ほどティナと遊んでからマリーも召喚してみる。マリーとも1時間遊び、それから送還する。

 マリーの時も同じ感覚があり、同じ効果の魔導書であれば同じ結果になる事が分かった。

 戦闘行為をしていないのでMPは半分しか減っていなかったが、合計2時間の召喚と考えれば普段の倍である。戦闘をしても50分は持つようになったかもしれない。


 そうなるとダンジョンでもティナやマリーの出番はもっと増やせるという事であり、気軽に召喚していいという言い方もできる。

 今は自分用の魔導書しか書けない俺だが、レベルが上がれば桜花用の魔導書を書く事も可能になる。そうなればパーティの戦力はさらに上がる。


 今後の戦力強化を考え、俺は思わずほくそ笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ