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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
なんちゃって錬金術士
100/320

魔導書作成

 錬金術師のジョブチェンジ先。その一つが『筆者』だ。

 簡単に説明すれば、魔法使いの持つ『魔導書』を書くためのジョブである。


 武器系装備アイテム『魔導書』は、各種魔法を強化・補助する為の装備だ。

 似たような装備に『魔杖』というのがあるが、魔導書と比べると性能は僅かに落ちる。


 魔導書と魔杖の差は、特化型と汎用型の差だ。

 魔導書は特定の魔法を先に登録してその魔法のみを強化するのに対し、魔杖は魔術士の能力をブーストする方に重きを置いている。特化した分だけ魔導書の方が性能が高くなるのは当然と言えた。

 もっとも、人間の手は2本ある。右手に杖を、左手に書を持つこともできるけどね。





 そんな訳で、さっそく≪召喚≫用の魔導書を書こうと思う。

 欲しいのはティナとマリーのMPコスト削減用の魔導書だ。俺の錬金術のレベルがまだ低いのでコストは1段階カットが限界だが、コレがあれば30分以上召喚を維持できる。



 用意する各種素材は時間経過で劣化するものを除き事前に発注しておいたので、ギルド内で購入すればそれで事足りる。何の問題も無い。


 使うのが植物系素材で作る紙ではなく、羊の皮を使って作る羊皮紙である。これは別の人に作ってもらった。人間の処女の皮を使って作る人皮紙なども素材の一つとして挙げられるのだが、さすがにそんなものはギルドで取り扱っていないし、ゲームの時もプレイヤー側では使用禁止の敵が使う素材である。

 インクは木炭を溶かして作る液体(・・)なので、≪ポーション(液状薬品)作成≫の範囲である。自前で用意できる。

 で、物が用意できればあとはスキルに導かれるまま書き連ねればいいのだが。


「ギャー!? また書き損じた! もう削れねぇよ!!」


 羊皮紙へインクで文字や図形を書くという事は、鉛筆やシャーペンで髪に書くのやパソコン上のそれとは全く違う。消しゴムも無いし、リテイクが難しい。ミスした部分を削ってどうにかするのだ。

 まぁ、1回2回であれば問題ないのだが、3回4回と続けて同じところを削れば、さすがに羊皮紙が駄目になる。慣れない作業に、俺は涙目だ。

 だったら練習すればいいと思われるだろうが、その場合はスキルのアシストが消え、何を書けばいいのか分からなくなってしまう。練習は出来ず、常に本番だ。


 一回でも成功すればそれを参考に書けばいいので、1冊書き上げるまでこの苦行に挑戦しないといけない。

 ……魔導書は消耗品ではなく使い減りしない装備品なので、あまり意味は無いのだけど。



 悲しくなるのは、こういった作業で失敗を何度もするのは俺ぐらいという話を聞いた時だ。普通の筆者はここまでミスをしないらしい。

 不器用、ここに極まれり。


 俺のステータスはMP特化、次にINTであとはHPやVITに割り振っている。DEXはそこまで高くない。

 今度は絶対、DEXを伸ばそう。

 俺は涙目でそう誓うのだった。

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