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三話   祓魔師は奇跡と宣い機巧師は不幸と嘆く

「これだから他人は嫌いなんだ。私は人形と静かに暮らしたいのに」


 ペルシャがこの世に存在する限りは絶対に叶わない願いを口にして、エリックはイライラと部屋中に靴音を響かせる。そばに置かれた革張りのソファには、釣り上げたばかりの新鮮な魚……もとい少女が水浸しのまま横たわっている。


「死んでないだけマシじゃん。幸い夢魔に憑かれてる様子もない。目覚めたら野に放てばいい」


 保護した動物を野生にかえすような言い草をしてペルシャは鼻で笑い、指を鳴らした。

 即座に彼の指先から春の陽気のような一陣の風がうまれ、少女を包み込む。風は一定のリズムで少女の周囲で舞い踊る。

 あっという間に濡れネズミは乾き、美しい眠り姫へと変貌した。


「どうする? 自然に起きるのを待つ? それとも、耳元で呪詛を唱えるか?」

 ペルシャはふざけて彼女の耳元へ顔を寄せる。


「あれはもうやめろ。寝覚め最悪だ」

 エリックは目覚めた瞬間の肝が冷える感覚を思い出し、眉間の皺を深めた。あの瞬間は現実こそが悪夢だった。


「ペルシャ、お前この女に見覚えは?」

「無いね。この街の奴じゃないだろ」

「どこから来たと思う? なぜ水汲み人形に拾われた?」

「さあ? 俺に聞かれても」


 さあ? と向けられるガラス玉のように濁り無い赤く大きな瞳に、そりゃそうだな、と相槌を打って、エリックは少女を見下ろした。


 男性的な印象を受ける黒くいかめしいソファに不釣合いな少女は、シンプルな膝丈のワンピースを纏っている。生地も安そうで装飾も少ないアイボリー色のノンスリーブ。

 しかしその中身は、染み一つないきめ細かな白い肌、上品で小さな唇、淡い金色の髪に、赤みの戻った頬。綺麗な洋服を着せればどこか良いところのお嬢さんにも見えそうな整った顔つきだ。年は十七、八歳くらいだろうか。


 一体何者かと議論をしていると、小さくうめく声がした。示し合わせたようにぴったりと二人はそちらへ顔を向ける。しばらく注視していると、


「ん……」


 少女は少しだけ眉を下げて嗅げば甘そうな悩ましげな吐息を漏らし、寝返りをうって――


 うつ伏せでソファから転げ落ちた。



「きゃっ、痛い……。あれ……? ここは……?」


 したたかに鼻を打ち付けて目を覚ました少女は顔を上げて、見覚えの無い内装に不思議そうな顔をしている。

 きょとんとした少女の潤んだ瞳を覗き込むと、中性的な美貌の白髮と、難しい顔をしたオレンジ頭が鏡のように映し出されていた。





「君、名前は? どこから来た?」


 少女に状況を軽く説明したあと、二人は尋問を開始した。

 威圧的な態度で質問を投げかけるエリックと、ほほ笑みをたたえながらも何を考えているのか分かりづらいペルシャに、少女は怯えている様子。二人がけのソファが三人用にも四人用にも見えるほどに縮こまっている。


「わ、私は……」


 しどろもどろに視線を彷徨わせ、


「私の名前は……」


 答えようとして、


「ハックション!」


 彼女は盛大なくしゃみをした。



「こんにちは。ハックションさん」

「馬鹿!」

 

 ふざけるペルシャにゲンコツを落とそうとしたエリックは、

「おっと危ない」

 と軽々かわされて、苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

 そんな二人のやりとりをあっけにとられるように眺めていた少女は、「ふふ」と小さく笑って、膝の上で握りしめていた緊張という名の拳を緩めた。


「何を笑っている」

「ごめんなさい、怖そうだと思っていたら、意外と楽しい方達だったから……」


 虫の居所の悪いエリックに睨みつけられ、ビクっとからだをこわばらせる。狩猟者に見つかった小動物さながら。

 が、先ほどよりはリラックスした様子で、少女は語り始めた。


「名前……思い出せないんです。それに、どこから来たのか、何をしていたのかも……気がついたらここにいて、それだけです。それより前のことは何も……」


 言いながら、徐々に肩を落としていく。声もだんだんと小さくなり、最後のほうは消え入りそうなほどだった。

 しかしすぐに顔を上げ、

 

「あの、何か思い出せるまで、ここに置いてくれませんか? 行くところもないし、困っているんです」

「無理だ。出て行ってくれ」



 そう頼まれるのを予め予測していたかのように間髪入れず、エリックは少女の頼みを一刀両断した。


――彼は、静かに暮らしたいのだ。それが望みなのだ。


「まあそう言うなよ、置いてやりゃあいいじゃねーか」


――その望みをぶち壊すのが、ペルシャの趣味なのだ。




 ね、お嬢さん? と、ペルシャは器用によそ行きの顔とエリック向けの顔を切り替える。


「またお前はそうやって他人事だと思って……」

 エリックはうんざりと眉を下げた。

 毎度毎度厄介事に首を突っ込んで、一体何のメリットがあるのだ、と、人目がなければ小言が続くだろう。


「違うね、心配してやってるんだ。こんな無駄に広い屋敷に野郎がひとりぽっち。あとは味気ない機巧だけ。可憐なお嬢さんが居れば陰鬱な幽霊屋敷にも明かりが灯るってもんさ」

 

 ウィンクを飛ばすペルシャの援護に、少女も勢いづく。


「決してあなたのお邪魔はしませんから。家事だってやります、ほら!」

 そう言って、指を鳴らす。


 その瞬間、活動を停止していた数十体の機巧人形が、一斉に動き出す気配がした。

 ガタガタ、カタカタ、と、不協和音を奏でる物音と歯車の音。ひとつひとつは小さくても、数十体分となるとそれなりの音量になる。

 まるで、少女の指先をスタートの合図として、屋敷の中で機巧大運動会が開催されたような騒々しさ。


「あ、あれ!?」


 戸惑う少女を置いて、二人は見合わせて部屋を飛び出した。




 裏口では水汲み人形が本日二度目の道程を歩みはじめていて、廊下では掃除人形が雑巾の足で這いながらせっせと箒をかけている。キッチンでは料理人形が少し早い夕飯の支度を開始して、寝室ではベティちゃん(ベッドメイク専用人形。エリックはこの機巧人形が一番のお気に入り)が乱れたシーツを直して枕カバーを替えている。さらに薪割り人形は薪を割るし風呂焚き人形は風呂を沸かすし洗濯人形も草むしり人形も――

 

 屋敷中を駆けまわって全ての人形が起動していることを確認した二人は、スタート兼ゴールに戻り噛み付く勢いで少女に詰め寄った。


「お前、一体何をした!?」

「いえ、その、私はただ漠然と、『家事』と魔法に願っただけで……何が起こっているんです?」


 どうやら自分が引き起こしたらしい騒音が響くなか、少女はオロオロと釈明する。

 信じられないという風に、男二人は目配せした。




「ペルシャ、視られるか?」

「やってみる」


 全ての人形の動きを強制的に停止したあと、静かになった屋敷のなかで、再び二人と一人は顔を突き合わせている。

 基本的にエリック以外の人間には優しい微笑みを向けて体裁を保つペルシャも、今ばかりは厳しい表情で、右目を封印している眼帯を解いた。

 現れた金色の瞳は飲み込まれそうに妖艶な輝きをもって、正面の少女を見据える。


深蝕エクリプス幻視ヴィジョン


 静かに呪文を唱えて指を鳴らすと、手先から青白い光がほとばしる。光は一本の筋となって吸い込まれるように瞳に収束。そこからゆるやかに広がって眼球を覆い、オーラのようにたゆたいはじめた。


 不思議な光を宿し少女を映すペルシャの瞳が、驚愕を示すように一瞬大きく見開かれる。



「お嬢さん、魔法を使うときはいつもあんな大雑把に?」


 輝く波のような眼に射るように見つめられ、少女は狼狽し、恐る恐る答える。


「ごめんなさい、おっしゃる意味がよくわかりません」

「意味が分からんという意味が分からん!」


 魔法が使えない私でも原理くらいは理解できているというのに! と割って入ろうとするエリックを手で制して、ペルシャはわかりやすく噛み砕いて話す。


「さっき君は、『ただ家事と願った』と言ったけど、普通、人が魔法を使うときには、もう少し細かな命令を念じるんだ。例えば、僕が濡れたタオルを乾かしたいとしよう。そうすると、『暖かい温風を濡れたタオルの周りに出して乾かしたい』と念じるわけ。これは誰に教えられるでもなく、おそらくほとんどの人が本能で察して実行していることのはずだ」


 こういう風にね、と言って、ペルシャは温風を起こし、少女の髪を撫でた。


「でも、今君がやったことは『乾かしたい』の一言だけの命令を発したということになる。『どのような手段で』が抜けているんだ。『家事』としか念じなかった。普通の家庭ならまあ、それでもどうにかなるのかもしれないけど……なんというか、この屋敷はちょっと普通じゃなくてね。ぐうたら男が家主なせいで、家事をする為の機巧人形が山のようにある。お嬢さんの『家事』という命令に反応して、それらが一斉に動き出してしまった、というわけ」


 分かった? と最後に付け加えると、少女は、


「はい。なんとなくは……。私が、眠っていた人形を起こしてしまった、というのは分かりました」


 と自信なさげながらも首を縦に振った。


「よろしい」


 少女の返事に、やや尊大にペルシャも頷いた。

 そうして満足したらしい彼が瞳に纏うオーラの端をつまんで引っ張ると、糸が解けるように光は霧散した。


「これは、私が記憶を失ってしまったから、ということなのでしょうか?」


 自分が今まで、どこで、なにをして、どんな風に生きてきたのかを思い出せない少女は、そのうえさらに、生活に必須である魔法までうまく使えなくなってしまったのか、と心細さを前面に押し出してペルシャの顔色をうかがう。

 

「いや、これは記憶うんぬんの話ではなく本能の問題だから……きっと君は元からそういう人だったんだと思うよ。たまにいるんだ、体内の魔法回路系統に異常があるせいで、うまく魔法を扱えない人が」

「ええ~……」


 衝撃の見解に、少女は両手で顔を覆って悲嘆した。その落ち込みっぷりたるや、記憶が無いという境遇よりも可哀想に思わせるほどだった。


「いいじゃないか。ドジっ子属性ってやつだと思って、チャームポイントにしなよ。一部の人にウケるよ」

「そうでしょうか……」

「いや、そういう問題ではないだろう!」


 励ましのつもりなのかからかっているだけなのか、詐欺師のような笑顔を貼り付けてうまい具合に丸め込もうとするペルシャと、納得しかける少女。

 放っておくとズレたまま話が終わってしまいそうになって、エリックは慌てて軌道修正をはかる。


「この女に回路異常があるのは理解した。そのせいで魔法が下手なのも。しかし、おかしいじゃないか! こいつの使った魔法は、あまりにも広範囲に影響しすぎている。この屋敷丸ごとを包む範囲の魔法など……」

「それなんだが、エリック。このお嬢さん、魔法回路が常人の二倍ある」

「そう、人間離れした回路が無いと……って、え!? 今なんと言った!?」

「二倍あるんだ、エリック。この俺よりも多い。お前の何倍だ? あ、ゼロには何を掛けてもゼロだったか」


 ペルシャの煽りも耳に入らないほどのショックを受けたと見える。エリックはあんぐりと口をあけて、珍獣を見るような目を少女に向けた。


「たまに心臓が二個のような、内臓が人より多い人間の話は聞いたことがあるが……魔法回路が二倍……とは……」


 穴が開くほど見つめられ、少女は顔を赤くして俯いた。


「これは俺の予想だけど、大方、どこかで魔力暴走でもさせて追い出されたさすらい人、なんじゃないかな。このお嬢さんは」


 そこでペルシャは立ち上がる。


「ああ、なんと痛ましい身の上! こんな不幸な少女を、よもや着の身着のまま追い出すなんて極悪非道な行いを、俺の相棒がするわけないよな?」


 両手を広げて天に向かい声を張り上げたかと思えば、ふらふらとその場に膝をつく。演劇か何かのように大げさな身振りで、わざとらしく。最後は、な? と、床から祈るようにエリックを見上げて。


「しかしだな……」


 納得いかない様子のエリックの服の裾を、ペルシャが少女に見えない位置からひっぱった。その仕草にいつものおふざけとは違う真剣な何かを感じ取ったエリックは、ひとまず渋々了承するしかなかった。


「仕方ない。では少しのあいだの滞在を許可しよう。ただし、絶対にこの屋敷では魔法を使うな。これが条件だ。破ったら即刻出て行ってもらう」

「ありがとうございます!」


 少女は桜色の瞳を輝かせ、大きくお辞儀した。




「いつまでも、君、や、お嬢さん、じゃあ味気ないね。何か呼び名をつけよう。なんて呼ばれたい?」


 立ち上がり膝を払うペルシャ。


「何と呼んでいただいても構いません」


 少女の返事に軽く悩んで、室内を見回す。


「スパナさんとかペンチさんなんてどう?」

「せめて人の名前にしてやれ」


 たまたま目に入った物の名前をいいかげんに発するペルシャに、さすがのエリックも少女が不憫になった。この少女もしばらくすれば、自分のようにペルシャに振り回されるおもちゃにされてしまうのだろうか? と考えると、哀れみの視線を向けずにはいられない。

 かといって献身的に手助けをするかと言われれば、答えはノー、だが。


 比較的自信があったらしい案を却下されて、ペルシャは不服そうに引き続き視線を彷徨わせる。


 ある一点で視線を止めて手を打つと、


「じゃあ、ハートさん」

「まあ、可愛い。なぜですか?」

「ん、いま、窓の外で、洗濯人形がハート柄のパン……」

「クリス! 君は今からクリスだ!」


 ペルシャが何かを言おうとしたのを遮って、エリックはとっさに思いついた名前を叫びながらカーテンを閉めた。顔が赤い。


「部屋は適当にあいているところを使ってくれ。私は忙しい。君が無理やり動かした機巧人形達の点検にまわらねばならないのでね」


 忘れずに嫌味をつけたして、無理やりに二人を部屋から追い出そうとする。


「それじゃ、僕が日当たりの良い部屋へ案内してあげよう」


 戸惑い振り返るクリスの肩を抱いて、どうぞこちらへ、と廊下へ踏み出すペルシャが、「あとで話がある」の合図を出したのを、エリックは見逃さなかった。




*




 数時間後、エリックが玄関口で【お客様の帽子と背広お預かり人形】の調子を見ていると、いつのまにか後ろに立っていたペルシャから声がかかった。


「もうその人形、解体すれば? どうせ客なんてこねーじゃん」

「うるさいな。いつか役に立つことがあるかもしれんだろう」


 エリックは作業を中断すると、腕を組んで立つペルシャの正面の壁側に座り込み、背を預ける。


「それで? そんな話をする為にあの場を無理やりまとめたわけじゃないのだろう? もしそうだったら、この極太ネジを両方の鼻の穴に詰め込んでやる」


 ふらふらと左右に揺れながら体中からネジを弾き飛ばす、【お客様の帽子と背広お預かり人形】から飛んできたものを拾う。

 しばらく見守っていると、人形は関節ごとにバラバラと外れていき、その場に崩れ落ちた。


「やれるもんならやってみろ。ただし戦場は夢の領域だ」

「卑怯な!」

「それよりあの女……」


 くだらないやりとりからやっと本題に入り、エリックは、「ああ」と相槌を打つ。


「魔法回路が二倍、と言ったけど、実際はもう少し多い。俺が見たところ、あの小柄な体の中に、通常の回路に加えて大柄な男一人分くらいの回路が詰め込まれてる。代々祓魔師の家系だった俺の父さんで常人の一.三倍、俺ですら一.五倍程度なのに……自然にああなった人間がいるんだとしたら、とんでもない学術的発見だ。祓魔師になれば国王お抱えにだってなれる」


 それを聞いて、エリックはものすごく嫌そうな顔をした。彼の嫌いな食べ物、イカとタコとウニを全部ミックスして口の中に詰め込まれたときみたいに。


「なんでそんな面倒くさそうな女をここに置いておこうとするんだお前は……」


 想像以上に厄介そうなことが判明し、迂闊に滞在を許可してしまった後悔でもはや泣き出しそうになってるエリックを、ペルシャは一瞥して続ける。


「回路を持たないお前と、二倍の回路を持つ女。二人が巡りあう確率を考えてみろ。これはもはや奇跡だ。作為的なものすら感じる。だから俺は決めた。このチャンスを逃す手は無い」


 ペルシャは一歩進み出て、



「あの女の余剰回路を、まるごとお前に移植する」



「なっ……」


 はっきりと言い切ったペルシャに、エリックは恐怖すら覚えた。魔法回路を、人間一人分まるまる移植するなどという話は聞いたことがない。街の人からおかしい奴という扱いを受けているエリックが言えたギリではないかもしれないが、とても正気の発想ではない。


「無理だ、そんなこと……部分移植ならまだしも、まるごとだと!?」

「理論的には可能だ。お前だってよく知っているはず」


 ペルシャはさらに進み出て、エリックの心臓の辺りを人差し指で突いた。たしかに心当たりがあるはずだ、と。


「いや、しかし……そもそも、私には、回路を体内につなぎとめておく為の核も無い! 回路移植をしても、回路は体内に溶け込んで消えてしまう。あるのは、借り物が一つだけ……」


 全てを見透かしてしまいそうなペルシャの瞳から逃れようと顔をそらし、エリックは突かれた胸の前で拳を握りしめる。


 人間の体内には、魔法回路の他に、魔核、というものがある。体内で血管のように枝分かれする回路の分岐点をつなぐと同時に、魔力を生成、蓄積する為に必要なものだ。



「お前は本当に考えが足らないな。核なら……」


 ペルシャが続けようとしたとき、滅多に人が来ないはずの屋敷のドアが激しく叩かれた。


「良かったな。さっきの人形の出番だぞ」

「ほら、言っただろう。やはりこの人形は必要だ」


 原型を無くしてガラクタの山となった【お客様の帽子と背広お預かり人形】を指す二人の声に割り込んだのは、


「ペルシャ君! ペルシャ君ここに居るんだろう!?」


 という切羽詰まった男の声。


 ただごとではない様子に急いでドアを開けると、果物屋の旦那が汗を滴らせ立っていた。

 そのおじさんはエリックの姿をみとめると一瞬不快な表情を浮かべたが、それどころではないと、すぐにペルシャへと視線を戻す。


「妻が……妻が急に倒れたんだ。医者に見せたが原因が分からない。もしかしたら夢魔かもしれない! すぐに来てくれ!」

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