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俺、ちょっくら異世界でサバイバルしてきます。  作者: あんぱん極
第二章 開戦の灯火
5/5

5話 ゲーム・スタート

ルビ振っていませんが付与はエンチャントと読みますのん。

ピュュン……ピュュン……ピュュユユユユユユ


『うるせぇぞぉぉぉおお!!!!!!』

朝の目覚めがだいたい悪い侑哉はアラームをセットした端末を投げようとした。


『って……そういえば後1時間後にはゲーム開始か……。』

そうだ……俺は今、異世界召喚され訳もわからずサバイバルゲームすることになっていきなり仮想領域だとかいうところに転移させられてゲーム開始時刻である午前7時になるのを待っていた。


なぜ1時間も前の6時に起きたかと言えば答えは簡単だ。

異世界きてんだから観光しないとって使命感があるからだ。

サバイバルゲームが始まればもしかしたら観光をする時間がなくなったりする恐れがあるから念には念を押すかのように1時間余裕を持って起床したって訳だ。


『よし、街を徘徊じゃぁぁあ』




[エリアB アラウレイク商店街 大通り]


転移させられた宿から出たらあたり一面が異世界の大通りと言わんばかりの感じを出している商店街だった。

外国とかの大通り的な雰囲気もあるが異世界ならではのモンスターを使役しての商売などがあるところが一番の違いだろう。

三本足の胴体が大鳥で顔がゴリラの不気味なモンスターに荷物を乗せている者や広場の中央で大道芸をやっている顔が狼で身体が骨だけのモンスターなんかがいたりする。


『これだよ……これだよこれこれ!!!こういうのを待っていたんだよ!!こう…なんっていうの?THE 異世界って感じの雰囲気?これが最高だなぁ!!』


テンションが上がらずにはいれない。

だって昔から絶対に無いと思っていた異世界をゲームや漫画、ラノベでなく自分の目で見れているということに興奮と感動がこみ上げてこないわけが無いだろ?


『いやぁ~これが10日間続くのか。他のところにも行ってみたいぞ』

マップを見る限りこの仮想領域はエリアがAからFまであって今俺はBにいるから近いうちにAかCに行ってみたいし、できれば制覇してみたい感はあるんだよな。


とりあえずエリアAに行ってみたいな。とりあえずどのぐらいの距離があるかそのへんの人に聞いてみるか。

確か人型のゴーレムって言ってたけど質問に答えるとかはできるよな?できるよね?




『あっ、あのー、エリアAってここからどのぐらいの距離かわかります?』


たまたま近くにいた自分より3,4歳は歳上であろう青年に声をかけたが……


『えっ…?エリアA?ごめん、僕もここに来たのも今日の早朝だからちょっとあっち側の距離はわからないんだよ。』


侑哉の質問に答えながら振り向いた青年は……


とても優しそうな微笑みの中に質問に答えられなくて申し訳ないという気持ちが伝わる言い方をした。

そして、めちゃくちゃイケメンだった。


『……あぁ、問題ないですよ。なんかすみませんでした。』

『いやいや、大丈夫だよ。君も最近この辺に来た感じだよね?』


しかも、話を続けようとしてきたじゃありませんか。さすがイケメンだわ。


『俺は昨日からここにいるんですけど――――』


デュゥン……デュゥンンンンンン…デュゥンンンンンン


「「なっ、なんだ……!!??」」


ん?今ハモったな……


〈サバイバルゲーム開始時刻の午前7時となりました。〉

〈10名のプレイヤーは殺し合ったり仲良く異世界を楽しむかは自由です。存分に楽しんでくださいね。〉


『は、始まった……のか?』

『あ、あの……君?』


待てよ、話しかけるな。今はそれどころじゃない。

サバイバルゲームが始まったのにここまで緊張感がないのは近くにプレイヤーがいないからなのかそれとも皆、殺し合いをしないで楽しむつもりだからなのか……?


『君もサバイバルゲームのプレイヤーの一人なんだよね!!?』

『あぁぁぁ???はっ?えっ?な、なんでそれを……?まさか…』


確か、さっき端末からアラームがなったとき隣から同じ音が聞こえたような気がしたのと声がハモったのも……


『あ、アンタもプレイヤーって訳か……』

『…………じゃあ、君もってことか。』


互いに警戒し、いつ攻撃を仕掛けれても対処できるように後ずさりしつつ睨み合う。


そして――――


『ぼっ、僕は殺し合いをするつもりは無い……異世界を楽しむと決めたからね……き、君はどうなんだい?』


『……あっ?えっ?殺し合いをしない……?あぁ、俺もハナからそんな事をするつもりもないし、どうせなら異世界を楽しみたい!!』


そうだ。必ずしもプレイヤーが殺し合いを望む"敵"だとは限らない。

そもそも殺し合いをしようと思う奴なんていないだろ……?


『なら、話が早い。どうだい?これから僕と全エリアを観光するっていうのは?』

『あぁ、俺も全エリア行けたら良いなと思ってたからちょうどよかった。』


2人は握手を交わし笑みを浮かべ合った。


『申し遅れたけど、僕の名前は坂本 竜児だ。よろしくね……えっと』

『侑哉、成瀬 侑哉だ。これからよろしく。』


こうして異世界召喚されて初めて仲間ができた。

そんな安心感に浸ろうとしたつかの間、辺りの人々の体に20cm程の刃があるナイフが無数に突き刺さったのを目撃してしまった。


そして、辺り一体が一瞬で血の海となった。


『ぁ……ぁっ………お、おい……!!!』

『今は逃げよう。楽しもうってのに死んだら意味がないからね。』


幸いにも大きな商店街のためいくつも道があるため相手から逃げるという行為は可能と判断し2人は同時に走り出した。





『ッァ……ハァ、ハァ……ゥァッ……』

無我夢中に走り続けた。

ただ、目の前の死という恐怖から逃れるためだけに。

気がつけばさっきの場所から結構離れた筈なのに未だに商店街の中。


『……この商店街広いなぁぁ!!?……ところで坂本さんはどこ行ったんだよ……。』

何度か爆弾みたいな物を敵に投げられ辺りが爆破されている時に煙で互いがどこにいるのかわからない状態で走り続けていたからかいつの間にか別々になってしまったらしい。


侑哉は端末の昨日にあった探知を使えばなんとかなるのではと思ったがすぐにやめた。

理由は簡単、探知が何を探知するのかわからない上に逆探知だとかされる危険性があるかもしれないからである。


『相手はどうやら諦めてくれたみたいだしそろそろ大通りに出てみるか……?』


だが、その気の緩みが命取りになるってのも十分承知しているわけだが坂本さんを探さないことには始まらないだろう。


新たな決断をしたその時、上空から聞き覚えのある奇声が聞こえた。


ドァァァオッグワァァオォンッ!!!!!!!!!


『うっ、嘘だろ……?マジかよ……。』


そこにいたのは半分骨で半分肉がついている黒き竜。

黒竜は侑哉の視界に入った瞬間に黒い炎の弾を無数に放った。


だが、侑哉は慣れているかのように黒炎を避けた。


『まさか、ここで音ゲーで培った反射神経が利用できるとは思ってなかったわ。ゲームやっといて良かっ……た、ぜっ!!!!』


このまま黒炎を避け続けては辺り一帯が焼け野原になるだけで自分の逃げ場を減らすことに繋がることになりかねない……。


それならやっぱり細い道を使って竜に見つからないよう行動すれば問題ないだろ!!!


降り注ぐ黒炎を避けながら侑哉細い道をかけ巡った。

だが、このまま逃げていてもなんの意味が無いということは理解しているつもりではあったが上空の竜を倒す力は無い……


『何か決め手になるものが必要だ。やっぱり坂本さんと合流するのが手っ取り早いよな……!!!!』


自分の好きなゲームや漫画のような展開に戸惑い、パニックになるものの自然と笑みが溢れてしまう。

もしかしたら今のこの状況を心のどこかで楽しんでいるのかもしれない。

遊びではないというのに。


ドッドッドドドドドトド!!!!!


いきなり後ろから異様な音が聞こえ侑哉は走りながら振り返った。


『はっ???……意味わからん……!!!?』


後ろにいたのは見たところ5体ほどいる竜と人が合体したようなモンスター、リザードマンが追いかけてきていた……


侑哉は辺りを見渡し曲がり角を見つけそこに逃げ込んだ。


が、その先には――――


『…………ついてない……なんだよこれ。わけわからん。』


目の前には大きな壁。

人間では飛び越えることのできないほどの壁が侑哉の前を立ち塞ぐかのようにそこには壁があった。


そして、まるでそこが侑哉の墓場だと言わんばかりに追い詰めてくるリザードマン5体。


『どうする……この状況を切り抜く決め手は……』


ある。確かにある。だが、成功するかどうかはまた別の話である。

でも、ここでやらずに殺されるよりか賭けてみても良いぐらいだ。

だったらそれを実行に移せば良いだけなのではないか……?


俺のクラスは付与魔術師だ。

付与ってのは力をアップさせたり追加能力を仲間に与えるとかそのようなの能力だ。

魔術師というのだからなんでも付け与えることができるはず

それなら――――


『脚力・サード付与!!!!!』


脚力を通常の3倍の上げる力を付与した。

そして、侑哉はリザードマンへ直進しリザードマンの頭の上まで飛び上がった。

リザードマンの頭に着地し、そのまま踏み台にして更に飛び上がった。

そこから自力で壁に足を伸ばし壁と壁を交互に飛んで壁の天辺に立った。


『せ、成功した……良かった。マジで良かった。』

成功しなかった場合はリザードマンに直進してぶつかって殺されてたかもしれないから尚更、安堵した。


『でも、おかしいよな。竜といいリザードマンといい都合が良すぎる。もしかすると操っている奴がいるのかもしれない……』


侑哉は壁の天辺から隣の家の屋上へ飛び上がりその隣の家へ飛び移った。


屋上から屋上へ飛び移りながら操っている誰かを探しつつ坂本も捜した。


『あれは……なんだ?やけにこの辺ではデカい建物だけど……まぁ、良いやとりあえずあそこへ飛び移って一休みするか』






[エリアB アラウレイク商店街 本部 屋上]


『うわっ……高いな……この街で一番高い場所なのかもしれないな。』

侑哉は屋上から下の商店街を見て呟きながら操っている誰かを探してはみたが見つからず。


いつの間にか竜も居なくなっていた為、休憩するために腰をおろそうとしたその時――――


ドァァァオッグワァァオォンッ!!!!!!!!!


さっき聞いた竜の奇声がまた聞こえた。

だが、今までと違う感じがした。

それもそうだろう。なぜなら侑哉の後ろに竜がいるのだから……。


『……き、来たかヘンテコな竜ッ!!!』

勢い良くかましてはみたものの内心、めっちゃ怖かったです。

それでもこの竜をどうにかしなければいけないという事はわかっている。

コイツをどうにかしなければ先には進めない。

だったら話は早い。

ここで相手を狩る――――


そこからの行動は簡単。

人間の攻撃で倒せそうもない竜を相手にどう立ち向かうのか?

人間で無理なら人間の器を超えれば良いだけの話。

その器を超えることができる能力を俺は持っている。


『腕力・ファイブ付与ッ!!!!!』


腕力を人間の通常の5倍の力を拳に集中させて、竜の下に走り額に拳を放った――――


『痛てぇぇぇえ!!!!いくら人間の5倍とはいえ手に負担がかかりすぎるな……5倍はやりすぎか……でも、竜には効いたみたいだからノーカンだなぁあ!?』


竜は結構なダメージをくらったもののまだ死ぬほどの域には達していなく今にでも侑哉に襲いかかりそうな目つきで見下ろしている


『来いよ……今の俺ならアンタぐらい余裕な気がしてきたわ』

侑哉は挑発するように人差し指をクイックイと動かし笑みを浮かべた。


竜もそれを見た直後によほど腹立たしかったのか黒炎をあたりにまき散らした。

それも侑哉を確実に仕留める為だけに力を出した。

人はどんなに足掻いても竜には勝てないということを知らしめるために……


だが、そんな黒炎をいともたやすく避け、徐々に侑哉も近づいていく。


そして――――


『止せハーフスカル・ドラゴン。ここからは僕が直接潰すよ……』


いきなり竜と侑哉の前に現れたのは……青年だった。

しかも侑哉の知っている顔だった。


『あ、アンタ……坂本さ…ん?な、なんで……しかも直接潰すって……まさか……ッ!!!!』


信じられない。殺し合いをするつもりはないとさっき言っていたじゃないか。

それなのになんで……。


『坂本 竜児 【竜騎士】クラス。僕の全てをもってして君をここで消させてもらうよ…ッ!!!!!』




その直後、エリアBで一つの激突が始まった――――


リザードマン(笑)

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