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case41

「失礼致します。私の主人をお迎えにあがりました」


応接室の扉を開け放ち、正面奥のタリタニアに向かい頭を下げる。

タリタニアも軽く会釈を返し、すぐにお茶を用意するようにピナカを連れてきた者に言おうとするがピナカに制される。


「マスター。至急指示を仰ぎたい事がありますので今すぐのご帰宅を」

「待ちたまえ。今は大事な取引の最中なのだ。後にしていただきたい」


そう言って神原を迎えに来たピナカに付いて行こうとする神原に制止の声がかかる。


「待ち構え。まだこちらの話は終わっていない」

「ならば結論は後日にしたい。こちらは急を要するようなのでな」


席に戻るように促すギルド側の言葉をそう言って斬り捨てる神原。


「期日は今日までだ。延期は認められない」

「ならば結論はノーだ。話は終わりだな」

「そうか……残念だ。実に残念だ」


陳腐な脅しにも気にかける事無く部屋を去っていく神原を睨みつけるしかギルド側には出来なかった。




タリタニアの館を出てからの帰り道にて。


「助かったよピナカ」

「その言葉はジュノに言ってあげて下さい」

「ジュノにも言っておくが、ピナカにも助けられたから……では駄目か?」

「ならば今度2人で街を散策して下さい」


ピナカに助けられた事の対価に街の散策ぐらい付き合ってやるかと了承する。

しかし、その約束が果たされるのは暫くの間は無さそうだと考えていた。


「マスター。ジュノに何か買わ無くても良いのですか?」


今後の予定の為思考に耽る神原はピナカの問いかけにより意識を思考の海より戻される。


「そうだな……。あのクッキーとかどうだ?」


偶々目についた露店に並んでいる菓子を提案すると、それに乗って来たピナカと共に物色する。


「これにしましょうか」

「うむ。いいじゃないか」


平棚に並ぶ数ある菓子の中からピナカが選びとった物は、サイコロ状の果物が練り込まれたクッキーだった。


「では、改めて帰りましょうか」

「そうしよう」


代金を支払い道に並ぶ露店を眺めながら帰り道をのんびりと歩いてグロッティへと帰る。


「ただいま帰りました」

「おかえりピナ姉。りん兄も」


店内に足を踏み入れると駆け寄ってくるジュノの頭を撫でるピナカ。

その様子を見ながら奥に向かう神原は、店番を頼んだグルジアに問いかける。


「店番お疲れさまです。何か変わった事とかありましたか?」

「いえ、いつもと変わりなく」

「それはいい。平凡で退屈な位が丁度良いのです」



そういって自らの定位置であるカウンター最奥に陣取ると、ピナカが入れた紅茶を飲みながら店内を眺める。


「……ピナカ」

「何でしょうか?マスター」

「少し出掛ける。何かあったらいつも通りに」

「かしこまりました」


それだけ言うといつものコート片手にピナカの言葉を背に受けながら目的地へと向かう。

彼が向かった先は寂れた港兼ダーインスレイブ停泊地。

そこで久しく口にしていない言葉を口にする。



「帰りたい」



港から彼の姿は消え、波の音のみが変わらずにそこに在り続けた。

Q.なんで短いのでしょうか?

A.一昨日まで大会でした(´・ω・`)

Q.次話いつ?

A.ネタが天より舞い降りてきて書けたら割烹に予告します

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