cace40
色々ありまして急遽切り上げて投稿しました
近いうちにceae0と1を統合、新しくceae0を投稿します。
「その話は後のようだな」
そうタリタニアに告げると、お止め下さいと言う声と共に此方に近づきつつある足音がするドアに目を向ける神原。
つられてタリタニアもドアへと目を向けると同時に扉が開く。
「動かないで頂きたい!我々はギルド本部の者である!!」
荒々しく扉を開け放ち、そう言うや否や神原とタリタニアの周囲を囲む様に部屋の中へと入ってくるギルド本部の者達。
「ギルド本部の者と言えども来客中の応接室にノックも無しに踏み込むのは如何なものかと思うのだが?」
「申し訳ないが緊急事態ですのでどうか平にご容赦の程を」
「ギルドの上層部はその緊急事態とやらで国益が損なわれると考えなかったのか?」
「後日正式な謝罪をさせていただきますので、今はお静かに願いたい」
タリタニアとギルド本部の者のやり取りを横目に神原はジュノに自分のお茶受けを渡していた。
「りん兄。どうするの?」
「少し予定外だが、お前は先に帰ってもらう」
「わかった。ピナ姉に言えばいいの?」
「そうだ。なるべく大至急でって伝えてくれ」
わかったと頷くジュノの頭を撫でると心地よさから目を閉じるジュノ。
その間も押し問答を続ける二人に神原は話しかける。
「お取り込み中の所申し訳ないが、うちの者は返して構わないか?」
「……いいだろう」
立ち上がりタリタニアに礼を言い、退室するジュノとその背中にまた何時でもおいでと声をかけて見送るタリタニア。
その間だけは何処か穏やかな空気が流れていた。
だがその空気は神原の問い掛けで緊迫した空気へと変わる。
「ギルドは何を探している?」
「どういう意味だ?」
「質問を変えよう。何をした者を追っている?」
「クールランテギルド長殺害の疑いのある者……つまりお前だ」
鋭い目付きで神原を睨み付けるが、当の本人は全く意に介していない。
その様子に違和感を感じながらも更に神原を追い詰める為にギルド上層部の考えを口にする。
「我々にあのポーションの製法を教えれば全てはなかった事にできるとの事だが、どうする?」
「そうか……ふむ」
しばしの間応接間に重苦しい空気が満ちる。
腕を組み沈黙する神原に対し、睨み付けたまま一言も発言しないギルド本部の者達とそれをどこか楽しげに眺めるタリタニア。
◇
「ピナ姉いる?」
グロッティの扉に付けられた鈴の音と共にジュノの声が人気の無い店内に響く。
すぐに奥からピナカが顔を出してジュノに近づく。
「マスターはどうして欲しいって言ってた?」
「なるべく大至急来てほしいって」
「わかった。奥でスリアちゃんと待っててね」
「うん。気を付けてね」
片手を挙げてそれに答えると風の如くドアから飛び出していくピナカ。
その後にはクローズと書かれた板の吊るされたドアが残っていた。
◇
「そろそろ結論を出していただきたい」
「まぁそう急かすな。ゆっくりと考える時間すらギルドは与えないほどケチではないだろう?」
「……早めに結論を出して頂きたい」
「まぁもうしばらくしたら結論が出る。それまでゆっくりしたらどうだ?」
「お気遣いなく」
ジュノがピナカを呼びに行ってから30分が経過し、時間稼ぎも厳しくなってきた。
先程からギルドの者達からそろそろ結論を出すべきやら今ならまだレシピの提出で済むやら何やらと口々に神原に対して結論を出すように急かす。
神原としても結論を出すのを先伸ばしにするのも限界だと感じていた。
「そろそろ結論を出して頂かないと我々も手荒な手段を取らざるを得ないのですが……」
「手荒な手段……といいますと?」
「とても口では説明出来ません」
「そうですか……」
此方はカードを切ったがどう出る?と挑発的な目線に対し、神原が切ったカードは
「失礼致します。私の主人をお迎えにあがりました」
持ちうるなかでもトップクラスに強力なカードだった。
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