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いつもお読みいただきありがとうございますorz
見渡す限り白で統一された空間に二つの人影があった。
「急に呼び出したかと思ったら一体何の用よ?」
「質問は1つだけだ。何をしようとしている?」
1人は青い髪を腰まで伸ばした少女。
1人は金の髪を短く刈り込んだ壮年の男。
二人の間には重苦しい空気が漂っていあ。
「私の目的は1つだけ」
「ほぅ……?」
壮年の男から目を背けず、逆に見つめ返す青い髪の少女。
彼はテーブルを挟んで目の前に座る少女が何を言い出すのか予測がつかなかった故に……
「あの世界を治療する」
その答えを聞いた時は呆気にとられたが、すぐに笑みを浮かべ笑い出す。
その様子を眺めながらも彼の笑いが収まるのを待ってから理由を話しだす少女。
「いい?あの世界は現状、歪な世界になっているのよ。原因は分からないけど今にも世界という器から溢れそうな程魔力が溢れていた」
「だから彼を呼び召喚という方法によりガス抜きをしたと?」
「そう言うこと。だけど本題はそれじゃないわ」
「……どういう事だ?」
それを聞いて壮年の男が纏う空気がカミソリの刃の様に鋭利になる。
「もし……もしよ。私の仮定が正しいならばあの人の封印が解かれかかったのかもしれない……。若しくは、既に解かれているか……」
「しかし、彼女を封印したのは3500年前だ。我々と当時の獣人の巫女が文字通り身命を懸して封印したのだぞ。現にかの巫女と我々の1柱が命を落としている」
「そう……だからこそ有り得ないはず。結果を見なければの話だけどね」
「我の方でも対策が必要か……」
そう言って腕を組み黙りこむ彼にお茶を差し出す少女。
彼女自身も認めたくはなかった。
3500年前、この世界に邪神と呼ばれる者が産まれた。
その者は最初から邪神として産まれた訳ではなく、人を幸せにする願いを叶える為に産まれた。
ただただ、人を幸せにする願いを叶える為に……。
しかし、ある時彼女は気付いた。
自分は確かに人を幸せにしている……だが、幸せは誰かの不幸の上に成り立っていると。
そして彼女は少しずつ蝕まれていた。
少女達が気が付いた時には彼女はすでにどうしようもない程、蝕まれていた。
自らが産み出した幸せによる不幸を一身に受け彼女は何時しか邪神と呼ばれる様になっていた。
「私の幸せは誰がくれるの……?」
そうして彼女は何時しか呪いを振り撒くようになり、封印される事になった。
それが3500年前に起きた事。
「そう……姉さんは純粋で、優しくて、私よりよっぽど皆から愛される神様だったわ」
「……彼女は実によい女性だった」
お互い黙り込み沈黙が二人の間に重くのし掛かる。
先程カミソリの刃の様な空気を纏っていた彼もどこか気まずそうにしていた。
「そうだ……」
「む?」
耐えきれなくなった沈黙を破るかの様に少女はテーブルの上にそれを出す。
「それは私が呼び出した彼が教えてくれた物よ」
コトリと軽い音を立て、湯気の昇るそれは木目の美しい木の器に入れられていた。
「ほぅ……良い香りだ」
「彼に色々教えてもらったからね」
壮年の男は一口それを飲むと、鰹節特有の薫りが鼻を抜け、甘口白味噌の柔らかな味が口内に広がるのを感じる。
「うむ……良い味だ」
「世界にはもう少し食に対する期待があってもいいとおもう。だから手始めにこの料理を広める」
「なるほど……世界でどう進化するのか見物だな。期待させて貰おう」
「……材料いる?」
「貰えるだけ貰いたい」
また一人味噌汁の深淵を覗きこむ者が増えたようだ。
しかし、魔力は今なお世界に溢れ、世界という器から溢れそうになっていた。
まだ不定期更新が続きます(´・ω・`)
長さが安定しないorz
誤字脱字等ありましたらご指摘いただければ幸いです