表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/52

cace38

お待たせいたした(´・ω・`)

いつのまにか8000ユニークに48000PV越えていて目を疑いました(白目)

「また後日伺います。本日はお手間を取らせて申し訳ありませんでした」


新兵との押し問答を終わらせ、神原に頭を下げ今日は引き下がるがまた来る事をそれとなく伝えるアリア。

神原の面倒くさいから断りたい雰囲気を察し、小声ルシアが私も帰りますから護衛として来てくださいと伝えると渋々ながらも承諾する。


「アリア、私は1度帰ります。同行していただいても?」

「また来られるのも面倒くさいしな。ルシアの里帰りならば同行しよう」


そこで言葉を区切り、 アリアを値踏みするかの様に見据える。

その視線に目をそらさずに真っ向から見据えかえすアリア。


「で?ルシアとは別の馬車に乗れば良いのは分かるが、護衛一人と二人ほど見聞の為に連れていっても?」

「その人数なら構いません。ですが何方を?」

「うちの見習い二人と店員だ」



バリムの街を出発してから賊の襲撃など面倒事なく6日目ついにトライス王国の首都シスリに到着する。

街に入る際に兵士が確認にやって来るが、御者に2、3確認をしただけで街に入る許可がおりる。


「神様っ!お城ですよ!それに見た事もない物がたくさん!」

「お兄ちゃんお城だよ!お城!!それに色んな人がいる!」


ジュノとスリアの二人は馬車から見える城と城下町に大興奮していた。

その様子を見て微笑ましく思うと同時にもしも自分が子を持ったならばこうなるのかと考えるピナカ。

自分が親になるならこの二人みたいな子に育って欲しいと思う神原。

各々がそんな有り得るかも知れない未来に思いを馳せながら正面の城門をくぐり抜け入城をする。

神原一行はアリア先導の下城内を右へ左へ曲がり、一先ず応接室へと通された。


「ピナカ……もしもの時は即時撤退。生き残る事を最優先」

「マスター。ここは戦場ではありません」

「戦場さ。相手が人か国かの違いしかない」


それだけ言うと応接室付きのメイドから入室時に出された紅茶に口をつける。

スリアとジュノは既にお茶請けのクッキーを食い付くし、神原の分に手を伸ばす。


「ま、どうなるかはまだわからん。その時が来たらその時に為すべき事を成せばいいんだよ」


二人に自分のお茶請けが載った皿を渡しながら誰に言うともなくそう呟く。

それにどう返すか悩んでいたピナカだが、返す時間は無かった。


「お待たせいたしました。準備が整いましたのでご用意を」


アリアにそう言われ応接室から連れ出される神原一行は両脇に近衛兵が立つ重厚な扉の前に案内された。


「この先に王が居られます。私はここで1度お別れになりますが、帰りにまた案内させて頂きます」


恭しく頭を下げ、去っていくアリアを見送り扉へと向かう。

すぐに近衛兵が扉を開けるとそこには赤い絨毯が敷かれ、ステンドグラスの窓から光が射し込み神秘的な雰囲気を醸し出す。

その光景にスリアとジュノは感動し、ピナカでさえ感動していた。

神原のみ赤い絨毯の終点の玉座に座す者と視線を合わせていた。


「王の御膳である!頭が高いぞ平民よ!」

「よい、我が呼び出したのだ。その程度気にしては器が知れる」

「しかし……」


尚も食い下がる王の隣にいる白い服を纏った人物だが、それを手を上げることで制する国王。


「我がトライス王国第48代国王フジャン・トライス・ルミナである。先の防衛戦ではご苦労だった」

「降りかかる火の粉を振り払ったまでです。おきになさらず」

「そういうわけにもいかん。何か褒美をとらせよう。むろん限界はあるがな」

「では、一人一人に望む物を」

「よかろう」


その言葉を聞いて頭を下げる神原はまずピナカから要望を言うように促す。


「私が望むのは平穏な生活です。故に余り我々に干渉しないことを望みます」

「あいわかった。下の者にも伝達しておこう」


次にスリアが1歩前に出て願いを口にする。


「えっと、シエスタ姉がそばにいて欲しいです」

「うむ。しかと聞き入れたぞ幼子よ。それと茶請けの菓子が気に入ったようだな。用意してある故食べに行くがよい。大人の話は詰まらんだろう」

「ありがとう!」


きちんとお礼を言いピナカに抱きつくスリアはピナカ共々メイドに連れられ別室へと連れていかれる。


続いて神原が要求を出す。


「要求は3つ。我々ミドガルズを国家として認める事、それとバリムの街で続けて商売をさせて欲しい。そしてここで何が起きても無かった事にしていただきたい」

「商売の件は許可する。国家の件については大使館の設立とお互い不可侵条約を結びたい。それを認めて貰えば許可しよう。しかし、最後のは一体どういう意味だ?」

「言葉通りだ、すぐにわかる」


それだけ言うとジュノを見る。

それに応えたのかタイミングを謀ったのか質問を投げ掛ける。


「そこに要るのが宰相ですか?」

「そうだ平民よ」


ジュノは一直線に先ほど神原達を平民呼ばわりした人物を見詰める。

その人物はなぜジュノに見詰められてるのか解らなかった。

しかし、続く言葉でその場の空気は凍る。


「私が望むのは……貴方の命」


その空気の中1歩歩を進めるジュノ。

その中で近衛兵達は動こうとしなかった。

否、動けなかったのである。


「3か月前に1つの町がセラリアに襲撃された」

「そ、そんな事は知っている」


さらに1歩踏み出すジュノを前に近衛兵達はその後ろに立つ圧倒的な殺気で自分達を抑える者を見る。

仮に今1歩でも動けば命はないと確信出来るほどに濃密な殺気を放つ者を前に近衛兵達はその場に留まざるをえなかった。

近衛兵ですらこの様なのだから他の多くの者は身動ぎ1つ出来ない有り様である。

1歩、また1歩と踏み出すジュノに宰相は後ずさる。


「その時に大切な人を失った人数は?」

「…」

「平民だからどうでもいいって顔ね」

「……街の2割とだけ聞いている」

「正解は半数よ。2割は貴族とかお偉方。残りは数には入らないとるに足らない存在かしらね。ちなみにその中の一人が私よ。ねぇ…」


大切な人を失う気持ちは貴方にわかる?と問いかけの言葉と共にジュノと宰相の距離は手を伸ばせば届く距離になる。

その近さとほの暗いジュノの雰囲気に飲まれたのか尻餅を着く。


「へ、平民が幾ら死のうが関係ない。我々が生きてこその国だ!第一なぜ私が命を狙われねばならない!!」

「へぇ…」


ジュノはその言葉にうっすらと笑みを浮かべると1度神原の方を向く。


「神様、あれをお願いいたします」

「ん?あぁあれか」


何やらコートの内側をまさぐる神原だったが目的の物を見つけたのかコートの中からそれを出す。


「セラリア側に情報の提供と亡命の際に手助け及び亡命後の地位を契約した文書がある。署名欄にはトライス王国宰相と署名があるが……見に覚えしかないよな?」


その契約書は魔術がかかっており、商人等が国相手に踏み倒されない様に不履行になった場合、その相手を殺す呪術が込められていた。

すぐに一人の老魔導師が確認をする。


「王よ、これは……本物です」


その場にいた者達に動揺しなかった者は王を除きいなかった。

敵は外だけでなく内にも居たのだ。


「私は貴方を殺す。せっかく神様がくれた唯一の機会。ただし貴方は苦しみ抜いて殺してくれと懇願してから死ぬべきだ」


ジュノが馬乗りになり宰相の右腕に隠し持っていた短剣を突き刺す。

宰相の絶叫が響く中、彼女の復讐は終わらない。

近衛兵に助けを求めるが、彼等はただ冷たく宰相だった男を見るだけだ。


「私は神様から貴方の事を聞いた時に後悔した。私の両親を殺した奴はただの駒に過ぎなかったからだ」


さらに左足の太股に短剣が突き刺さり、宰相の白い服が紅に染まる。


「だけど、私は今こうして貴方を前に、手の届く範囲にいる」


さらに短剣を腹部に刺したまま、宰相の上から立ち退くジュノの顔は返り血が付いており、ほの暗い色を称える翠の瞳と金髪を強調する。


「お父さん、お母さん……ごめんね……」


目を伏せそう呟くと国王に向かい頭を1度下げてから神原の所へと戻るが戻ってきた途端に気絶してしまう。


「その者に死なない程度に治療を施し、牢にて厳重に監視せよ」


その命令に従いすぐに近衛兵により運び出される宰相。

その様子を横目に最後に要求を言うため前に出る神原。


「国王よ、私の要求した事はきちんと履行していただきたい」

「この事に目を瞑れと?」

「国家に仇為す逆賊を討ったまで。それだけの話だ」

「……有事の際に援助するならばそうしよう」

「復興ならば人手は貸そう。援軍はお断りだ」


神原を見る目の多くは先程と違い、睨み付ける様になっていた。

しかし、誰一人口を挟まない辺りまだ先程の恐怖が残っているのだろう。


「ミドガルズは我々と戦争をする気か……」

「何か勘違いしているようだな」

「なに?……」

「戦争は対等な力を持つものがする物だ。我々とトライス王国ではそもそも戦争にならない」


あるのはただの虐殺だ……との言葉に辺りは再び静まりかえる。

しかし、静寂の中に小さな笑い声が響く。


「くっくっく。涼しい顔をしてとんでもない事をのたまうものだ。よかろう、その要求を飲もうではないか」

「あんた途中から楽しんでただろ。こっちはひやひやしたもんだぜ」

「そういわれても楽しみが少なくてな。宰相の件は証拠が無かったから此方としても助かった。礼を言う」

「……まぁいい。こっちの目的も果たせたからな」


ピナカを含めこの場にいる者は何故二人が急に砕けた口調になったか理解できなかった。

まるで久しく会っていなかった友人と会ったかの様な雰囲気すらある。


「マスター。国王とお知り合いで?」

「あぁ。ちょっとな」

「何がちょっとな物か。貴様が持ってくる異国の物や話、さらには味噌等と言う万能食材を持ってきたではないか」

「だからって露店で異国の話をきく王が何処にいる」

「身分が分からないからこそ民の真の姿は見えてくるものだ」


この国王、以前露店にて神原にロザンと名乗り異国の話や物と商品であるジュースを交換していた。

その際に神原から味噌も貰っており、今では密かに味噌の量産方法が王命で模索されている。


「その辺りはまた今度話すが今は今後どうするかだ」

「我からは何もない。宰相の件はみなかった事にし、ここにいる近衛兵の手柄とする。皆よいな」


ハッと辺りから返事が帰ってくるのを確認すると、神原達は今日は泊まり明日バリムの街に帰る手配をしておくと言われ今日は王城に泊まる事になった。


その日の深夜

神原達にあてがわれた寝室にジュノとスリアの寝息が聞こえる中


「マスター。こうなると予想していましたか?」


椅子に座り窓の外を眺める神原にベッドに横たわりながら問い掛けるピナカ。


「大まかに予想してはいた。だが、ここから先どうなるか分からんさ」

「……私達はどうあるべきですか?」

「どうもこうもない。俺らは俺ららしく生きる。それだけだ」


これから先何があるか分からない。

だけどこの人が間違いを犯そうとした時に止めるのは私の役目だと思い、ピナカは一言、お休みなさいとだけ言って目を閉じる。


明日が今日よりもよい日になるよう願って……

今後の予定としては誤字脱字を直しつつ次話をちまちま書いて参ります

誤字脱字等ありましたらご指摘お願いいたしますorz

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ