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cace36

お待たせして申し訳ないorz

私が信じていた神様はこの世にいないらしい。

私の目の前で両親は殺された。

そいつは火魔法で私を庇ってくれた父と母を燃やし尽くした。

なのに神様は私がどんなに祈っても父と母を助けてくれなかった。

父と母は最後に私に向けて何か言ったようだが私にはわからなかった。

私は目の前のこいつに復讐だけしたい。

父と母の仇をとるために。


「私に……力を貸してください」


その為なら悪魔にだって魂を売ろう。



「ようピナカ。ずいぶん汚れちまったな……さっさと帰って風呂入れ」


っとその前にとの言葉と共に神原の腰のケースから出されたポーションがピナカに向け放物線を描く。

それを受けとり迷うことなく飲み干すピナカ。


「…ずいぶん味が良いポーションですね」

「だろ。ほれ、回復したらさっさと後ろに行きんしゃい」

「ではお言葉に甘えて……。お気をつけて」

「そう言われちゃ怪我1つできんね。あぁそいつも連れてってくれ、邪魔だから」


それだけ言うと相棒である白銀の銃「レクイエム」を腰から抜く。

そのまま数歩歩くと、足を止めコルフィの方に向き直る。


「口だけの奴は捨てる程いるが実際に動く奴は限られている……良くやった」


それだけ言うと再び敵の方へ歩いていく神原の背をコルフィはピナカに促されるまで見つめていた。



そこには地獄絵図と呼ぶに相応しい景色が広がっていた。

空から魔法と矢が降り注ぎ地にある家屋や逃げ惑う人々を等しくモノに変える。

コルフィの護衛の者も例外なく一人、また一人と地にその身体を横たえる。

多くの人々が今日この場所で死ぬと諦めを含んだ感情を抱いた時それはやって来た。


「次はあの女だ!ゆっくり燃やしてやるぜぇ!!」


低空飛行から火の魔法を放ち少女を逃がすため犠牲になった女性を燃やし尽くし、その矛先が少女に向かった時……


空から光の槍が舞い降りグリフォンに突き刺さる。

すぐさま光の槍は自らに内包された力を解放する。


「え……?」


少女の目の前でグリフォンが爆発し、その血飛沫がかかるという唐突な出来事でその後の行動に遅れが生じる。


「やろぅ!何したか知らねぇが良くも俺の足を!!」


先程グリフォンに乗っていた魔導師が足を庇いながら少女の方へと魔法を放つため杖を構える。

しかし、轟音と共に男の腕が吹き飛ぶ。


「無事か?少女よ」


私の後ろには何時のまにか蒼いローブを着た……


神様がいた。



彼女の母親らしき女性が炎に包まれた瞬間を目撃し、神原は自身に課した枷を全て外す。


「……やれ」


神原の装着している骨伝導ヘッドセットを通じ全部隊へと通達される。

命令を受け取り、最も早く行動に移ったのはミドガルズ空軍だった。

彼らはそれぞれ目標に向け各武装をもって目標を撃破する。

少女を狙っていたグリフォンの腹にミサイルが根本まで突き刺さり、グリフォンの身体を爆発させる。

少女は見たところ大きな怪我はおっていなかったが、怒鳴り声が神原に届き声のする方を見ると魔導師の杖が少女の方に向いている。


「っ……」


咄嗟にレクイエムで魔導師の腕ごと撃ち抜いた神原は少女が怪我をしてないか確認する。


「無事か?少女よ」


声をかけられた少女は振り替えると頷き、魔導師の方を肩越しに見ると神原に歩み寄ってくる。


「私の父と母はあいつに殺されました……」

「そうか……この辺りはまだ危険だ。安全な場所まで送らせよう」


そう言って何人か此方に呼ぼうとした所で少女から制止の声が掛かる。


「待って!待ってください!私にはまだやるべき事が残っています」

「どうした?」

「私に……それを貸してください」


神原の腰に下げられた大きめのナイフを指しながら言った少女の目は決意に満ちていた。


「……何の為だ?」

「復讐の為に……父と母の仇をうつために私に……力を貸してください」

「……良いだろう」


そう言ってナイフを鞘ごと渡す神原。

そのナイフは少女にとっては大きく、重く、命を奪い取る事の出来る物故の妖しい雰囲気を纏っていた。

魔導師の近くに行く前に少女は魔導師に何個かの石を投げ付け生きている事を確認すると腰に巻いた鞘からナイフを抜き放ち両手で握る。


「私の父と母はお前の火で苦しみの中焼かれ、骨すら残すことを許されなかった……だから」


そう言いながらナイフを魔導師の腹部に降り下ろす。


「私はお前を苦しみの中殺す!」


腹部に降り下ろしたナイフを横に滑らせ切り放ち、左手で臓物を引きずり出す。


「これが今私が出来るお前に対して最大の苦しみだ」


ナイフを魔導師の服で拭き鞘に戻すと一部始終見ていた神原に返す。


「気はすんだか?」

「……はい」

「そうか……」


少女を回収に来た部隊に預ける時神原は少女に1つだけ質問をする。


「俺達の仲間にならないか?」


その問に少女は少し考え、頷きを返した。

少女を部隊に預けた後、おもむろに無線を開く。


「紳士淑女の諸君、今日我々は軍からこの街の民衆を助ける為にやって来たのか?」


無線を通じて全部隊に届けられた神原の問に誰も答えず続きを促す無音の返答。


「我々はなんだ?性別、年齢、宗教、種族すら違う我々は何で結ばれている?」

セラリアの弓兵が放った矢に肩を貫かれ後方に運ばれていく仲間を横目に制圧射撃をする若い兵。


「諸君等は皆違法奴隷や孤児だった。この世界を独りで生きていかねば為らなかった」


幼心を保護しようと駆け寄った目の前の新兵が扉に隠れていた敵から斬りかかられて崩れ落ちた。


「我々は仲間だ。たとえ偽りの贖罪ととられようともこの場で助けを求める仲間を誰ひとり見捨てたりしない!」


その言葉に返答するかのようにあちこちから鬨の声があがる。


「さぁダンスの開始だ!!」

「私の友人に手を出した報いを受ける時間です!」


ミドガルズの総力を持ってセラリアの排除にあたるその様は戦争と言うよりもただの虐殺だった。

グリフォンはMPADSに喰われ臓物を撒き散らし、風の魔法で銃撃を防いでいた魔導師は上空からの爆撃で吹き飛ばされる。

しかし、今最も危険なのは友人に手を出された一人の女性だった。


「ダーインスレイブ全武装ロック解除。目標選定開始並びに浮上開始」


海断ち自らの姿を波間に横たえ鋼鉄の鯨は世界にその姿を表す。


「フルバースト!!」


鋼鉄の鯨から死を運ぶ全ての武装が解放された。

セラリアは空から絶え間なく降る光の槍に逃げ惑い、命を散らしていく。

それから2時間程度で戦闘はミドガルズの勝利という形で幕を下ろした。

この戦闘の後にセラリアとトライスの間で平和条約が結ばれる事になり、調印式の場所がバリムの街になるのはまた別の話。



私にとってこの戦争で父と母を失った。

でも二人には負けるけどたくさんの大事な人と家族が出来た。

それと……ちゃんと触れ合える神様にも出会えた。


「ジュノ早く着替えて朝飯喰わねぇとルシアに食われちまうぞ」

「私はそんな事しません!」


ケラケラと笑いながら扉越しに言う神様とルシア姉の騒ぐ声が聞こえてくる。

あの神様は人間と同じ喜怒哀楽を持ってる。


ただ少しだけ人よりいたずら好きだ。

次回更新は活動報告をお待ちください

少々忙しくなってきたため遅くなるかと(´・ω・`)

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