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case32

短いですが…(´・ω・`)

「とりあえず双方共に武器を仕舞え。話ができやしねぇ」


現場に近づくとそう言い、まずはイリアに詳しい事情を聞く。


「で? 覗きってあっちがやったんだよな?」

「はい。あちらの王国騎士団の方が女性用浴場のテントを裏から強襲し、その悲鳴で発覚しました」

「強襲ってまさかテントに剣ふって突入じゃあるまいし……したのか?」

「正確にはテントの布地を切り裂いて侵入しました。裏手から」


思わず頭を抱える神原を放置し、ピナカとイリアはそれぞれミドガルズと騎士団から事情を聞く。


「で? どういうわけよ?」

「ミドガルズ側としては中から悲鳴が聞こえた為、女性士官を内部に突入させた所、抜き身の剣をもつ王国騎士団を捕縛しました」

「騎士団側からの報告だと捕縛された隊長救出の為、相応の対応をしたまでだと」


二人からそれぞれの陣営の事情を聞くとひとまずミドガルズ側に武器をおろさせる。


「此方側に戦闘の意思はない。武器を下ろして頂こう」


その言葉に武器を下ろす王国騎士団員達。


「貴様等は何者だ!」

「我々は独立国家ミドガルズ所属救援部隊だ。バリムの街復興の為派遣された」

「そんな国の名なぞしらん! まず我々の仲間を解放しろ!」

「だろうな。解放については協議しよう。代表者はいるか?」


なおも騒ぐ団員を押し退け、一人の人物が騎士団員達の奥から出てくる。


「私がこの部隊の副隊長だ。貴殿等は何を求めている?」

「覗き魔の処罰の方法についてだ」

「……うちの隊長が大変迷惑をかけた。申し訳ない。それと、覗き魔についての処罰は特にない」

「ならば後程解放しよう。どうやら、浴場を何やら勘違いしたようだし今回我々は見逃す。被害者の女性陣についてはそちらで対処していただきたい」

「寛大な処置に感謝する」


騎士団側からまた隊長がやらかしただけかなどの声が聞こえ、騎士団側に気まずい空気が流れる。


「とりあえず、宿を確保したらどうだ?」

「そうさせて頂く」


副隊長に隊長を引き渡すと騎士団は宿を確保しに引き上げるのを見送り、ミドガルズは再び元の持ち場へと戻る。



グロッティ内でピナカと神原が上げられた報告書を片手に今後について相談する。


「明日には本隊が来るか。ピナカ、現状の復興具合は?」

「一先ず、増設分の仮設テント設営地の瓦礫等は排除完了。仮設テントは行き渡りつつありますが、未だに全員分とは行きません。何よりも食料がかなり切迫しつつあります」

「やはり食料が足りないか…」

「今はまだ大丈夫ですが、そう遠くない内にスヴァディール運搬分は尽きます」

「…街の猟師等には食料確保をお願いしておいてくれ」

「了解しました」


そこまで言うと神原はふとドアの方を見て呟く。


「明日はさらに面倒事が起きそうだな…」



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