cace24
今回から◇で時間飛ばします。
お待たせして申し訳ない。
無人島生活一日目
「マスター。まもなく目標の島に到着します」
「わかった。だがなピナカ、今何時だ?」
神原の自室には時計が3つ置いてありすべてが午前4時を示している。まさか3つ同時に誤作動を起こすはずがない。しかし、万が一があるためピナカに確認をとる。するとピナカはあきれ顔をしながら神原を可哀想な物を見る目で見る。
「マスター。何のために時計があるんですか?それを3つも用意してまだ聞くと?」
「その3つが誤作動を起こしていないか確認のためにだよ」
「まぁいいでしょう。現在時刻午前4時8分です。時計はなんの問題もありませんね」
「ふむ。ではピナカよ。今日俺が床に就いた時間は?」
「午前2時27分でしたね。遅くまで乙女の秘密の特訓を覗いたからです」
「うっ、ばれてたか」
「当たり前です。元とは言え私はこの船です。船の中で知らない事などありません。」
「まぁいい。んじゃ、適当な所でアンカー降ろしといて」
「それはいいのですが、上陸はどうなさるおつもりで?」
「掃除してもらっただろ。ついでにボート1隻おいて貰っといたから後で先行して回収してくる」
寝間着から普段着に着替えつつピナカの疑問に答える。
ピナカとしてはその手際の良さに素直に感心してはいるが、普段からそれぐらい手際がよければいいのにと思わずにはいられない。
「マスター。昔みたいに海岸付近に浮上すればいいですか?」
「任せる。遠浅の海だしあんまり無茶するなよ」
「もちろんです。後3時間程で干潮の時間になりますし、干潮になれば泳ぐより楽に上陸出来るでしょう。帰りはボートですしね」
「干潮っても下手に溺れる心配が無い程度だからな。足が底につくだけましか…」
「そうと決まれば、着替えなければいけませんね。用意しておきます」
「助かる。朝食には間に合わせる」
「お気をつけて。マスター」
◇
「ピナカ。ボートどこに係留すればいい?」
「船体に揚げといてください。もうすぐ朝御飯ですよ」
「了解した。すぐ食堂に行く」
ボートを船体に揚げると船内に入り着替えを済ませて食堂へと向かう。
食堂にはすでにルシアとシエスタが席に着いておりお茶を飲んでいた。
「すまない。待たせてしまったようだ」
「いえ、私達も今来たところです」
「姫様の言う通りです。それに、この匂いに待ちきれなくなってしまいまして先に食堂で待とうと言う事になりまして」
「そうでしたか。うちのピナカの飯は絶品ですよ」
「皆さんお待たせ致しました。マスター。誉めてもなにもでないですよ」
食事を乗せた盆を持って厨房の方からピナカが現れる。
「ま、食ってみりゃわかるさ。手伝うぞピナカ」
「ありがとうございますマスター。しかし、私から仕事を奪わないでください。朝一から仕事をしていたマスターは座っていてください」
「そう言うことならお言葉に甘えるぜ」
ピナカを手伝おうと腰をあげるもそう言われ再び腰をおろす。
全員に朝食が行き渡ったのを見届けると神原は日本人としての習慣を行う。
「んじゃ。頂きます」
「前から思っていたのですが、それは何ですか?」
「ん?あぁ、頂きますか?」
「はい。毎食欠かさずにやっていらっしゃるので気になりまして」
「俺の故郷の習慣だ。食材、料理人全てに感謝するって意味を込めてな。」
「そうだったのですか。シエスタ」
「はい。姫様」
食堂に二人分の頂きますが小さく響く。
「さて、食ったら上陸だ。っても今日はテント張るだけだけどな」
「わかりました。では後程」
それから各々準備をした後、甲板に集合。すぐにボートで島へと向かう。
「姫様!姫様!海ですよ!海!」
「シエスタ。あまり揺らさないで…その…、気分が…」
「す、すみません。つい興奮してしまって…」
ボートの端で元から白い顔がさらに白くなっているルシア。それに対しはしゃぎ過ぎていつもの落ち着いた雰囲気は何処にいったのかと聞きたくなるシエスタ。
対照的な二人を見てどうしてこうなったと言いたい顔の神原と涼しい顔をしてはいるが、肩が震えているピナカ。
(この面子でこうなるなんて予想してなかった。あ、ルシアついに吐いたか。)
「おいピナカ。ルシアついに…」
「見なかった事にしてあげてくださいマスター」
その後、無事に島へと上陸した神原一行。
「マスター。さっさとベースキャンプを作りますよ」
「へいへい。積み荷下ろすの手伝ってくれよ」
「もちろんです。あ、ルシアさん達はその辺りでゆっくりしててください。今ビーチベッド出しますから」
テント設営をビーチベッドに腰掛けながら観察するルシアとシエスタ。
二人は初めてみる物ばかりの神原との生活に慣れたと思っていたが、次は何が来るのかと新しい玩具を与えられた子供のような顔で神原がせっせと設営するテントに釘付けである。
そこに肩にクーラーボックスを下げ、白いワンピースと麦藁帽子という出で立ちでピナカが現れる。
「頂きます」
「私も頂きます」
「はい、どうぞ。よく冷えてますよ」
二人に瓶入りの飲料を渡すピナカ。
早速喉を潤すために口をつけるルシア。だが、すぐに吹き出す。とても良い処のお嬢さんがしてはいけない顔をしている。
「ぴ!ピナカさん!何ですか!これ!」
「ひ、姫様!まず顔を拭いてください!色々と王族以前に女性としてかなり際どいです!」
シエスタからタオルを渡され顔を拭いている間、堪えきれず顔を背けているピナカ。
聞かなかった事にして、さっさとテントを設営する神原。
ピナカが渡した物は日本の縁日でお馴染みラムネである。
そのラムネを一気に流し込んだら、しかも初めて飲むのなら未知の感覚と相まって大変な事になるだろう。
「ふぅ…。ピナカさん。さっきのは何でしたの?」
「あれはラムネといってしゅわしゅわする飲料です。マスターの故郷では一般的な飲み物ですよ」
「店長さんの故郷は凄いですね。私も1度行ってみたいです」
その台詞に今度聞いておきますねと答えるピナカの顔は心なしか困っていた。
「設営終わったぞ。ってなにしてんだ?」
「いえ、特には。後は自由で良いですか?。マスター」
「ピナカの目の届く範囲でな」
「と言うわけで満喫しましょう!いきますよ!ルシアさん、シエスタさん!」
聞くや否やルシアとシエスタを連れて、ビーチを走り出す。
ちなみに、暑さと疲れから15分程度でルシアがダウンした為すぐに帰ってきた。
「お帰り。早かったな」
「思いの外ルシアさんが体力が無かったので。休ませに来ました」
「…そうか。テント内で休ませてやれ」
テントの中へ担ぎ込まれるルシアを横目に神原は一人彼女らに見えない場所へ行く。
そして取り出した無線機に向かい交信を始める。
「報告をきこう」
「やはりあの国はかなり危険です。あの国だけでなく周辺各国もキナ臭くなって来ております」
「ふむ。撤退すべきか?」
「いえ、あの国はむしろ被害者と言えるでしょう。最も王道通りと言っては何ですが宰相が腐ってます」
「やはりか。カードを切るべきか?」
「必要ならば」
その返答に思わずため息を漏らす神原。
「処で、この役じゃなきゃダメなのか?アイリス」
「最近会ってないから暇潰し。宰相の情報は本当」
「これ以上ない確かな情報源だよまったく」
「まだ2、3日はそっちで過ごしても大丈夫」
「わかった。ま、なったらなったで何とかするさ」
「その為の力。有効に使って」
「あいあい」
「交信終了。おーばー」
まったく厄介事すぎる。
そう呟く彼の声は何処までもすみわたる青空に消えていった。
頑張った。
更新ペースは14日に一回あげれたらいいな(レイプ目)




