cace21
お待たせいたした(´・ω・`)
この次の更新は年内にできたらしますが、出来なかった場合新年の3月辺りまでリアルが一番忙しくなるので更新は止まるかと(´・ω・`)
ご迷惑おかけいたします
この世界にも四季は呼び名は違うが存在している
風竜の月、火竜の月、土竜の月、氷竜の月
それぞれが春夏秋冬を表している。今日は火竜の月の逆鱗とも呼ばれる最も暑い日である。
「そうだ、街に行こう」
「なにが街にいこうですか。そんな事より判断してもらわなきゃならないことあるんですよ」
定位置であるカウンターにうつ伏せになり、暑さにやられながらも何とか声を絞り出す神原に出納帳と格闘していたイリアから声がかかる
「貴族関係なら全部断っていいよ」
「貴族様じゃないです。全て丁寧にお断りしております。」
「国の上層部の奴等もお断り。閉店がらがら~」
「なに訳のわからない事いってるんですか。それよりも今日は早く帰ってきて頂けますよね?」
しばし、考え込むとイリアの顔を見て
「王室クラスじゃなければ早く帰ってこよう。後イリアが俺を萌えさせたら考える」
「言いましたね?私だってだてにメイドをしていません」
コホンと1つ咳払いをするとおもむろにどこからか猫耳を取り出すと
「早く帰ってきてください御主人様。じゃないと寂しくて泣いてしまいます」
「65点」
「…思ったより低いですね」
「俺は狼耳とか狐耳のが好きだ。後イリアにそのキャラは似合わない。いつも通りなら85点は固い」
「…さりげなく褒めるとか罪な人ですね」
「誰彼構わずじゃないだけましだろ」
「クスッはいはい、そうですね。出来るだけお早いご帰宅をお願いいたしますね。御主人様」
その声を背に受けつつ、扉を開け外へと出る
ドアに付いている鈴が涼しげな音を鳴らす
「外あっちぃ」
外に出たは良いものの、余りの暑さに市場の出店にて冷えたジュースを買う神原
この暑い中、ローブを着ている神原に出店の若い店主が声をかける
「兄ちゃんこの暑いのになんだってローブなんか来てるんだい」
「なに、旅の者でな。こいつが手放せないのさ」
「おや、旅してるんか兄ちゃん。どっから?」
「ここより遥かに遠い場所さ」
「そうかいそうかい。もう1杯サービスすっから暫く話てくれねぇか?」
「構わないが…店は良いのか?」
彼は神原に辺りを見回すように言うとその理由がわかる
今はちょうど昼少し前、ここに来るのならば普通に店に入った方が安く量もある。そういった事から辺りにはこの店のような飲み物の出店よりも、食い物の方に列が出来るのも致し方ない。
それでも、時々ここにも買いに来る客はいる。
「どうやら、会話してても良いようだな」
「この時間はこんなもんさ。っと、兄ちゃん光の槍って聞いたことあるかい?」
「いや、ないが…。なんだそれ?」
「まぁ、聞いてくれよ」
領民に対しかなり酷いことをしてきたフェルマ伯
あるものは妻を、娘を、恋人を奪われ帰ってきてももはや死んでるも同然だった
だが、ついこの間空の果てより光の槍が現れる。
その光の槍はフェルマ伯の舘の方向に真っ直ぐに突き進み、やがて爆音をならした。
フェルマ伯の中でも良識あるものや、領民の為に色々と危険を犯しながらも手を回してくれた者は皆、郊外の老婆が営む孤児院にいたため彼らは難を逃れた。
だが、舘に残っていたフェルマ伯以下少数の者は遺体で見つかった。遺体で見つかった者は例外なくフェルマ伯と共に領民を弄び、自らの私腹を肥やす事に熱心な者達だった為領民はむしろ喜んでいた。
光の槍はフェルマ伯の舘だけでなく、近隣の領民の家にも牙をむく
あるものは足を倒壊した家に挟まれ、あるものは下敷きに、彼方此方から助けを求める声が聞こえ、助けようとする者の怒号が飛び交う。
その時、空から聞きなれぬ音が聞こえた。
方舟のような形に上には風車のような部品が地面と平行についている。
3つのうち1つが頭上で止まると中から神の使いが表れ、救助を次々と終わらせ、聞いたことも見たこともない薬でみるみるうちに傷を治す薬、もはや手遅れだろうと判断された人々を生き返らせる魔法。
神の使いは去り際に「巻き込んですまない」とだけ伝えると再び方舟にのり、空の彼方へと去っていった。
「っていう話だ。いやぁ神の使いもだけど神ってやつぁ居たんだな」
「そのようだな。神の使いか…会えるものなら会ってみたいものだ」
「だよなぁ兄ちゃんもそう思うよな!やっぱ男はロマンがなきゃ男じゃねぇ」
店主の発言に愛想笑いを浮かべつつ、その仮面の下で彼は爆笑していた。
(か、神の使いブフォッまじ無理フッ腹いてぇ。帰ったら神の使いって言って育毛用の薬渡して髪の使いとかフフフ)
「兄ちゃんいつまでここにいるんだい?」
「暫くはいるさ。具体的には分からんがな」
「んじゃ、気が向いたらまた来てくれ。サービスすっからよ」
「代価は各地の珍しいもんでいいな?」
「いいぜ!俺ぁロザンだ」
「神原だ。まぁまた近々連れを連れてくる」
「おう!」
出店の若い店主改めロザンと別れた神原は再び市場の出店の方をぶらつく。
「恋愛小説ならなにかプレゼントを買うべきだろうが…」
各地の珍しい食材を売っている店を見つけると迷わず向かう
そして一通り品定めすると店主に向かい
「全部貰おう」
「…本気か?」
「量に制限があるならば制限一杯まで頂きたい」
「いや、量に制限はないんだが…結構量あるぞ?」
「かまわん。だが、足を確保するのに少し時間が欲しい。」
「わかっている。だが、商売を続ける量も必要だから店仕舞いの時にもう一度来てくれ。その時なら全て売ろう」
「わかった。では後程」
「代金はちゃんと用意しといてくれよ」
「そっちこそちょろまかしたりしたら海に沈めるからな」
店主と軽口を交わしつつ商談を纏めさっさと家へと向かう
チリンと「グロッティ」のドアを鳴らし店内に入った瞬間、神原は猛烈に他人のふりをしたくなった。
だが、そうする訳にも行かない。
問題の人物はカウンターに陣取りイリアに茶を入れさせていた。
「あら?客人のようねイリア」
「ええ、いらっしゃいませお客様。本日はどのような者をご所望ですか?」
「傷に効く塗り薬を」
「はい。可哀想な頭に良く効く塗り薬ですね。店長」
「店長?…そうですか。この人が」
「お嬢さん何を言っているのですか?私はただの一般人ですよ?」
そこまで言うとイリアは此方に顔を寄せると耳打ちをする。
相変わらず綺麗な顔してんなぁと思いつつ聞くと思わずため息を吐く
「とてつもなくめんどくさい匂いしかしないんだけど?」
「まぁ、ここは私の顔を立てて頂けたら…サービスしますよ」
「言ったな?」
「お約束致しましょう」
「わかった。契約成立だ」
ここで密着状態から離れるとようやく本題に入る
「で?どちらさん?」
「この国の第4皇女、ルシア・トライス・ルミナです。よろしくお願いいたしますね」
今度もなかなかめんどくさい事案のようだ
誤字脱字があればご指摘頂ければ幸いです
お読みいただきありがとうございます