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case15

ぬぉぉぉぉ頭痛がぁぁぁぁ(´・ω・`)

読者の皆様待たせて申し訳ない

5/14改稿

神原達が冒険者組合ギルドにポーションを卸した翌日



「ですからギルドとしては生産者の場所を教えることができません。そういう契約ですので」

「そこをなんとか頼む。せめて手紙だけでも」

「はぁ…わかりました。ギルドマスターに確認します」

「ありがとう…本当にありがとう」


一人の男が泣きながら冒険者組合ギルドの床で受付嬢に土下座をしている。

彼の名はグルジアフォートラス。

昨日ポーションを買いその効果を知った者の一人だ。

彼には妻と娘が一人いる。どちらも大事な家族であり護るためなら何を犠牲にしても良いと考えている程の愛妻家であり、家族愛に溢れる好青年で若いにも関わらずギルドからの評価も高い程度には腕もある。

それゆえ、愛する娘の為に今衆人環視の中土下座で助かるならいくらでもしてやる程の覚悟であった。




「…なんか嫌な予感する。引きこもろう」

「りんさんりんさん。ひきこもっても良いですけどポーション追加してくださいね」

「…一応聞くけどなしてよ?」

「ギルドから矢の催促です♪」


笑顔でそんな事をのたまうイリアと目からハイライトを消した神原。

そしてそれを見ながら掃除をしているピナカ。


「わけがわからないよ」

「あ、これが必要な数です」

「…こんなのってあんまりだよ…。ちなみにいつまで?」

「そうですねぇ…後3日って所ですね」

「…」


もはや無言で地下へと降りていく彼の背には地獄から召喚された死神が、大鎌を研いで出番はまだかとスタンバイしているのが幻視できる。




「じゃあ手紙なら届けてくれるんだな?」

「もちろん内容等はこちらで確認しますが、それでもよければ」

「必ず届けてくれ」

「もちろんです。ではこちらに紙とインクを用意してあります」

「ありがとう…本当にありがとう」、


再び涙を流しながら奥へと案内されていくグルジア。




「なぁ…」

「なんでしょうか?」

「この手紙開けるべきか?」

「まぁ、ギルドからの手紙ですしあけるべきでは?」

「開けたら絶対めんどくさいからやだよ」

「じゃあ私があけます」


神原の手から手紙をとり、目を通していくイリア

一通り目を通し手紙を返すタイミングでピナカがお茶を持ってくる。


「ねぇ?」

「なんぞや?」

「子供の為に全てを出せる親ってどう思いますか?」

「無責任だな」

「そう…」

「だが、嫌いじゃない」

「え?」


彼は立ち上がると扉の方へと歩きだし、振り返ると


「なにしてんだ?行くぞ」


その言葉に座っていた二人は立ち上がり彼に続いて外へと向かっていった





ギルドに到着すると受付嬢に手紙を渡し用件と依頼人を呼ぶように伝える


「あの…その…うちに卸しているポーションを作ってくださっているのは?」

「ここにのこのこと来ると思うか?何が裏にいるかわかんねぇのに」

「し、しかし今回の要請にはポーションの制作者を連れてくるように書いてあったはずではす」

「だからどうした?たまたまここの町に店構えただけだ。なんなら今すぐ店たたんでどっかにいくが?」

「いえ、そこまでは…」


涙目になりつつある受付嬢に対しペースを崩さない神原

後ろの二人からはなにやら小声で話しているが内容は大体想像がつく

そのとき、ギルドの扉が荒々しく開くとグルジアが入ってくる


「遅くなってすまない。誰が娘を治してくれるんだ!?」


娘を抱えたまま走って来たのだろう

彼の息は荒いが、彼の腕に抱えられた娘はさらに息が荒い


「俺だが?」

「君が…か?すまないが遊びに付き合う暇は…」

「その子今なら治せるぞ」


こっそりと彼の腕の中にいる彼の娘を鑑定するとそこには現代日本では薬でコントロール可能な病名がかかれていた。

その名は「喘息」

彼自身も患っている病である


「…本当に治せるのか?」

「この病気ならな」

「…信じていいのか?」

「信じろとは言わないし言えない。だが出来る事はする」

「頼む…俺らの大事な娘なんだ。娘をたすけてやってくれ」


娘を下ろし泣きながら土下座をするグルジア

それを見た娘のスリアフォートラスは父が目の前の人《神原》に泣かされていると勘違いしたのか


「お父さんに何をするの!」


まだ年は7つにも関わらず父を守るためか足を引きずり呼吸も荒いにも関わらず神原と土下座をするグルジアの前にて腕を広げ仁王立ちをする

それを見たグルジアは


「スリア違うんだ」

「違わない!この人お父さん泣かせた!悪い人だ」

「スリア!この人は確かに悪い人かもしれない。だけどスリアの病気を治してくれるかもしれないんだ」

「そんな分けない!この人はそんなすごい人じゃない」


散々な言われようだが神原は一通り言い終わるのを黙って待っていた


「スリアといったか?」

「…なに?お父さんをこれ以上は虐めさせないよ!」

「まぁまて、ひざ擦りむいてるだろ?」

「擦りむいてない!」

「いいや擦りむいてるな。俺はこれ以上は近づかないからこの薬少し塗ってみろ」


神原は腰のポーチから原液を10倍希釈したポーションの瓶を足元に置きその場から数歩後ろに下がる

恐る恐るそれに近づきながら神原からは目を離さない


「…どうすればいいの?」

「中身を少しかけてみろ」


言われた通りに少しだけかけるとすぐに効果は現れた


「…痛くない」

「だろ?んじゃ次は…っとその前に。ピナカ」

「なんでしょうか?。マスター」

「オルジガンのジュース買ってきてくれない?ここの前にあったからさ」

「すぐに買ってきます」


オルジガンとは地球で言うオレンジの味のする果物である

見た目が真っ青でエレファントガーリックのような形ではあるが…


「人数分で良かったんですよね?マスター」

「せや。ありがとうなピナカ」


ピナカから渡された1つを膝を折って目線をスリアに合わせて手渡す神原


「…ありがとう」

「それはまだ早いぞ。君の症状が治らなきゃな」

「…これ飲んだら治る?もう苦しくなったりゴホゴホしたりしない?」

「しないしない。もしそれでもゴホゴホしたり苦しくなったらおいで。すぐに治るお薬出してあげるよ」


その言葉に意を決したのか瓶の中身を一気に飲み干すスリア



「苦ぁい」

「お薬だからね。ごめんね」


再び鑑定すると喘息の文字は消えていた

ファンタジーってほんとすげぇと神原は思っていたが口にも顔にも出さなかった


「調子はどう?」

「苦しく…ない!?息がすごく楽に出来る!お父さーん!」


父のもとまで走りよりスリア


「す、スリア?苦しくないのかい?平気なのかい?」

「うん!もう走っても苦しくならないよ!」

「スリア…」


そこまで聞いてグルジアは抑えきれなくなったのか人目も憚らず泣き出してしまう


「お父さんどうしたの?どっか痛いの?」

「違うんだスリア。これは嬉しくて泣いてるんだよスリア」


スリアの頭を撫でながらぎこちない笑みを浮かべるグルジア

一通り撫で神原に向き直ると


「この度は娘を治して下さり感謝の言葉もございません。しかしこれほどの効果…さぞかし高いかと思いますが自分の身を売ってでもお支払いたします」

「ありがとうー」


めでたしめでたしで終われば良かったが今回はまだ終わらないようだ


「今なんつった?身を売ってでも支払うって?」

「それしか私には支払う方法がっ」


言い切らぬうちに鈍い音が響く

後には膝をついたグルジアと拳を振り抜いた神原


「お父さん!」

「スリア!離れていなさい!」

「お父さんに何をするの!何も悪いことしてないのになんでぶつの!!」


余りの事態に誰もが動けない中スリアだけが神原に向かっていく

神原は膝をおりスリアと目線を合わせると穏やかな口調で問う


「スリア、もし苦しくならない代わりにお父さんが居なくなってしまうとしたらどうする?」

「お父さんが居なく…なる?なら苦しいままでいい!お父さんが居なきゃやだ!」

「そうだよな。だけどな、今スリアのお父さんはスリアの前から居なくなっても薬代を払おうとしているんだよ」

「そんなのだめ!お父さんは渡さない!お金はちゃんと払うからお父さんをつれてかないで!!!」


そこまで聞いた所でスリアの頭を優しく撫でると立ち上がりグルジアの方を向く


「聞いたか?スリアの言葉を」

「ああ…」

「子供には親がいてやんなきゃだめだろうが!バカが!勝手に自分を殺すな!!!」

「しかし、それでは薬代が…」

「うちで雇う、後しばらくは定期的にスリアを連れてきてくれ。それでいい」

「…本当にいいのか?」

「待遇改善は働いてからだ。帰るぞ」


ピナカはギルドの職員に騒がせた迷惑料として金貨1枚握らせイリアはスリアの泣き顔から涙の跡を優しくふいている


入り口で待つ神原に合流するといつのまにかイリアが手配してくれていた馬車で帰る


「これから賑やかになりますね。マスター」

「楽しくなりそうですねリンさん」

「全くだ。明日からは地獄だろうな」


誰しもが笑顔を浮かべながら馬車は彼らの家へと向かう



「それにしてもスリアちゃん凄かったですね。マスター」

「リンさんに喧嘩売るってなかなかですよ。将来が楽しみですね」

「あいつは大物になるぞ間違いなく」


後に伝説の女ギルドマスターと呼ばれるまでにまで登り詰めるとはだれも思ってなかった

重度の喘息だと走るだけってのも辛いらしいですね(´・ω・`)

子の心親知らず親の心子知らず

至言ですなぁ

次回の更新はリアルが忙しくなってきたため来週の月曜日辺りにになりそうです(´・ω・`)スイマセン

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