case10
体調悪いけど実は昨日上げるはずだったけどあげられませんでした
2015/6/11訂正
イリアに連れられ屋敷の中を進んでいく神原
やがて1つの扉の前で止まると
「こちらで少々お待ち下さい」
丁寧なお辞儀と共に扉を三度ノックする。
「お客様をお連れ致しました」
「入ってくれ」
「失礼致します。さ、どうぞ」
扉を開け中に入ることを促すイリア
中には長机が置いてあり最も上座にその人物はいた。
「ようこそ我が屋敷へ、私が当主のファンブルクタリタニアだ。
よろしく頼む、蒼の行商人殿」
「こちらこそ、たかが行商人に対してこのようなもてなし。恐悦至極です」
彼女は領主にも関わらず行商人としての神原に両手で握手を求めてきた事に彼は驚きを隠せなかった。
普通領主といえば傲慢貴族と思い付くが、聞けば彼女の領では浮浪児が他の領と比べて圧倒的に少ない。
それは彼女が領民にきちんと還元していることの証である。
たしかに彼女の領は通行税や商売税など多々あるが、全てを合わせても銀貨1枚である。
これがただ買い物をするだけならば銅貨5枚程度である。
領の税としては少ない方だろうが利用する数が数が桁違いなのである。
また、この街には温泉があり公衆浴場なども格安で使用出来るようになっている。
最近では領主自ら浴場と食事付きの宿、平たくいえば旅館的なものを建て新たな産業になりより多くの人がこの街に金を落としその金で更に設備が充実するという街の経済にとって最高のサイクルになっている。
「私の運営している孤児院の子供を雇っていただいているようで…ありがとうございます」
そう言って深々と頭を下げるタリタニア
それに対し神原は
「彼らもよく働いてくれています。それに対して正当な報酬を払っただけです」
「彼らには正当に支払ってすら貰えなかったのです。貴方のような方がいることで世界はまだ少し見捨てたものではないと考えを改めさせられました。」
そう神原の目を真っ直ぐ見ながら言うタリタニア
彼にしては珍しくたじろぐ程真っ直ぐな目だった
「貴方は…真っ直ぐで強い人だ」
「私は卑怯ものですよ」
「私がそう思ったのです。して、何故たかだか行商人を呼ばれたのですかな?」
「では簡潔に、私と契約をしていただきたい」
ここで神原は警戒レベルを引き上げる。今まで契約と聞いて失敗した奴の話ししか聞いたことが無いのだ。
所詮騙される方が悪いのが世の常である。
「内容によりますな」
「簡単です。行商の際に私にも異国の物を売って欲しいのです」
「ならば喜んで…と言いたいですが正直な所何でしょうか?」
「やはりうまく行きませんね」
苦笑しつつ、イタズラがバレた子供のような雰囲気から一転、領主の風格を纏う
「最近人さらいの船が多数この街の港に入ってきています」
「…それを撃沈もしくは人々の安全な地を確保しろと?」
「そうです。貴方にならその力があるでしょう、5年前と同じように」
この言葉に神原の空気が変わる
「どこでその話を?」
「私しか知りません。偶々この街外れにある岬から見えたのですから」
この街と神原が騒動を起こした町は間に海を挟んでいる。
視力がよい人間ならば対岸の街をみることが出きるだろうがその日は霧が立ち込めていたため何が起きたか把握しているのは神原とピナカだけのはずだった。
「お話はわかりました。が私がここごと貴女を殺すとは思わなかったのですか?」
「たしかにその方が安全でしょう。しかし、私がそれを考えないとでも?」
「たしかに…失礼致しました」
ここでお互い同じタイミングでお茶を口に運ぶ
「…いいでしょう。しかし報酬はキッチリ頂きます」
「もちろんです。して、報酬はいかがいたしましょうか?」
「報酬は簡単です。小さくてかまいませんので店舗を一軒お願いしたい。」
「わかりました。小さいほうが手におえるからでしょうか?」
「そのとおりです。ポーションなども置きたいので」
「イリア、手配をお願い」
「かしこまりました」
これまた丁寧なお辞儀をし、退席していくアイリス
神原とタリタニアは立ち上がりお互いに握手をして退席する
その日の夜
「アイリス、これから忙しくなるぞ」
「人間が新たなる味噌汁を作り上げるのを期待」
どうやら駄女神様は味噌汁のが重要らしい
海いきたいっすねー(震え)