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龍の翡翠玉   作者: 遊兎
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スティラ・クロレクス


その日の昼、全ての生徒は

食堂に集められた。

理由を知っているのは俺たちみたいに

外に出ていた連中だけのようだ。

すれ違いざまに他のクラスの奴らが

なにがあったんだろう?と

話す声が聞こえた。


食堂のあいている席に適当に座った。

よく話を聞きたかったから前の方の席。

まったく、いつもの授業中の態度とは

大違いだぜ、俺たち。

先生方を近くで見てみると、

あの先生って、そんな顔してたのか

なんて思う人もいる。


まもなくして、校長先生がぱんぱんと

手を叩き、唐突に言った。


「みなさん、午前の授業中、

ラシュテルゲン創立以来の

とんでもない出来事が起こりました」


校長先生は、拡声魔法を

使っているようだ。

校長先生、スティラ・クロレクス。

名前からして爽やかな人、

というのは見当がつくね。


そういえば校長先生の

紹介がまだだった。

俺にとって彼はアシュメルと

並ぶくらい大事な人だってのに。


魔法学校の先生というと

冴えない色のローブまとって、

白い髭に顔の半分くらい隠れてて、

そこから発せられる声はしゃがれてて、

杖をつきつき歩いてるっていう

イメージがあるだろうけど、

我がラシュテルゲンの

校長先生は一味違う。


一味というか、180°違う。


ローブの色がくすんでる日は絶対ない。

灰色とかありえない、といつか彼は

真顔でいったっけ。

ちなみに今日は純白ね。

髭も全くないし、目立ったしわもない。

つまり老齢の影もがない。

肌はいつも病的に白く見える。

まるで幽霊だぜ、白い衣装は

着ない方がいい。

艶やかな金髪は肩につくか

つかないかくらいで、

禿げそうな兆しもない。

そして常にどこを見ているのか

わからないくらい遠くを見ている瞳は

真っ青で全く濁りがない。まるで少年。


じゃあいったい何歳なのって話だけど、

これはまったくもって謎。

ラシュテルゲンにまつわる

七不思議の第一項目だ。


まあ確かに魔法使いなんだから、

自分の容姿帰ることくらい

朝飯前なんだろうけど。


で、そんなスティラ校長。

実をいうと、彼は俺の育ての親。

ふふ、びっくりした?

アシュメルと並ぶくらい大事な人

ってのはつまりこのこと。


これについて話すには、ちょっとだけ

俺の生い立ちを話す必要がありそうだ。

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