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龍の翡翠玉   作者: 遊兎
31/38

洞窟にて。②



だいぶ、暗闇に目が慣れてきた。

ルビィがどんな顔をしているのか、

だいたいわかった。

兄貴って呼びたくなるような、

しっかりした目をしていた。

がたいも、そこそこいい。


「魔力をとられる……。

そうだ、他のみんなはどこ?」


「ここは、広い洞窟になってる

みたいなんだ。もう少しまっすぐ行くと、

少し広いところがある。みんなそこにいる」


「いまのところ無事なのは、

何人くらいいるの?」


「ざっと20人くらいだ。

ほんとはもっと他に、

連れて来られてるはずなんだけど…

収容されてる場所が違うんだと思う」


「そっか…わかった。

とりあえず、みんなと合流したい。

みんなの顔が見たいな…」


「立てるのか?」


「だいじょぶだよ」


立ち上がると、ずきんと脇腹が痛んだ。

うまく足に力が入らなくて、立てない。

ルビィが、やっぱり無理じゃんか、と、

つぶやきながら、軽々とルゥ(おれ)の

身体を持ち上げた。


「ごめん…ありがとう」


「俺たちが目を覚ましたのは、

10分くらい前だ。今はそれぞれ、

休んだり、洞窟の中を調べたりしている。


幸い、食べ物を持ってる奴がいた。

カドローさ。」


「カドロー…。

くいしんぼうなだけなやつかと思ってた。

たまにはいいこと、するね」


かすかに、頬に笑みが浮かんだ。


「だが、それがなくなるのも

時間の問題だ。」


ルビィの声は相変わらず厳しい。


おれとルビィはお互い一言も話さず、

闇の中を進んだ。


大魔女はおれたちをどうするのか?

ここから脱出する方法はあるのか?


そんなことばかりが思考を支配して

何かを話すのが、逆に怖かった。

いまおれたちが置かれている状況は

あまりにも絶望的だった。

どうしようもない気がした。


おれはルゥの身体をのっとって

この状況を体験しているだけのはずなのに、


しめっぽい洞窟の匂いや、

どきどきと鳴る心臓の音は、

全部おれのものみたいにリアルだった。




だいぶ、歩いた気がした。


遠くにぽっと、光がともって

いるのが見えた。

ろうそくか?

…いや、そんなのは持ってるはずない。

じゃああれは、魔法か。



「ルビィ?」


「ルビィ!」


「ルビィだ!」


光の中に浮かんだ影たちが、

口々にルビィの名前を呼んで立ち上がり、

こちらへ駆けてきた。


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