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おれとアシュメルが空いている席に
適当に座ると、その周りにいた
女の子たちがきゃあとさわいだ。
「さっすが王子様〜!」
「やめろよ」
笑ってごまかしても、
アシュメルはいじるのをやめない。
「今日は髪結いちゃってる」
おれに言わせれば、アシュメルも充分
整った顔立ちしてるし、おれなんかより
ずっと愛嬌ある奴だと思うんだけどな。
「だからやめろって」
「満更でもないような顔しちゃって」
まあね。
返答の代わりに微笑むと、
バイキングの皿で頭を叩かれた。
「今日の授業なんだろ?」
アシュメルがおれに訊いてきたけど
知らない、と首を振った。
「オレらの組、週明けはけっこう
派手な授業だよな?だって、オレ
この日の授業だけは寝た覚えねーもん」
けたけたとアシュメルが笑う。
全く…授業中寝るなんて
とんだ悪ガキですね。
「んぁ、確か実技だったかな」
金ぴかのお皿にとりあえず
野菜をどっさり盛りながら
おれが答えると、それだぁ!と
アシュメルの目が輝いた。
彼の皿にはいろんな食べ物が
スプーン一杯ずつくらいの量で
盛り付けられていて、なんだか
美味しそうに見えた。
バイキングっていうのは
性格が出るのかな。
「…そうだなあ、実習なら
なにしようか。ねえ、アシュメル?」
魔法の実技といわれて、
おれの杖が黙ってるわけないでしょ。
アシュメルも、それを察したように
にやりと笑った。




