仕掛け。
からくり部屋だと?
聞いたことない話だ!
「やられたぜ、秘密の抜け道を
三つ見つけたおれたちでさえ
見つけられなかった!」
アシュメルが冗談っぽく笑う。
「一年生の頃に予想外なところまで
捜索し尽くした気がしたんだけどな…」
石像に話しかけたり、
それなりの魔法円を書いたりして。
あー、それにしても、
図書室かぁ〜…穴場だったな…。
まさかこんな静かな場所に仕
掛けがあるなんて。
「ふふ、でしょでしょ?」
ルゥはひらりと地面に降り立った。
「じゃあ、部屋の鍵を開けるよ」
ルゥ曰く、この部屋にはちょっと
変わった鍵がかかっているらしい。
うーん、なんてったって、
からくり部屋なんだから当然だよな。
図書室の本棚が誤作動を
起こしたらまずいし…。
「まず、この棚の周りを時計回りに
三回あるいて」
「オーケー」
ルゥに言われたとおり
この棚の周りを3周すると、
床の底でなにか鈍く動く音がした。
でもそれは注意深く聞いていないと
全然聞こえないような目立たない音だった。
床が開くのかとドキドキして
待っていたらルゥがくすくすと
笑って言った。
「まだ、開かないよ。
超厳重にかけてあるんだもの。
…次は…本に魔法をかけなきゃ」
「魔法?どんな…?」
「うん…魔法円を書く必要があるんだ、
この本棚に、杖で」
ルゥが俺の握っている杖を
指差して言った。
本に魔法円って…いいのか?
さっきの図書室前の甲冑模型どもも
本は神聖なもんだーとかなんとか言ってたし…。
「いいの、いいの。っていうかあれ、
ボクが魔法で適当なこと
喋らせてただけだし。
あ、でも、この本の順番じゃだめだ…
並び替えないと」
「どんふうに?」
「これ、みて」




