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説得失敗。
わからない。
彼はまたそうつぶやいて
立ち上がり、言った。
「時間が。
…君たち、次の授業は?」
もう「校長先生」の目に戻っていた。
おれは首を横に振って、
半分訴えるように言った。
「ありません。
今日はもう、ありません」
本当は星占術の授業があったけど、
おれにとっちゃそんな授業より
スティラのことの方が大事だった。
ここで食い下がらなきゃ、
スティラはもうこの話をしてくれない。
なんとかして、ここでスティラを
説得しなきゃいけない。
なにか…なにか言わなきゃ…。
「強いていうなら、実技かな。
ドラゴン倒さなきゃね」
おい、アシュメル空気読め。
大事な交渉だっていうのに!
「君たち…。三角帽通信簿に
赤点あっても知らないよ?」
三角帽子通信簿ってのは、
まあふつうの通信簿で、
授業態度メインの通信簿。
ちなみにテストの点数でつけるのは
黒猫通信簿っていうんだ。
いいよもう、どうせ赤点だらけだよ
真っ赤っかだよオレは!と
アシュメルが笑う。
…緊張感ないな、こいつ。




