告白
「先生、おれ…」
「だーめ。なにいってもだめ」
言いかけた言葉が阻まれる。
いつもはまっすぐおれを見つめるはずの
スティラの目は、まばたくまつ毛の
下に隠れてしまっている。
彼はそのまま、言葉を続けた。
「校長としてもだめって言うし、
君の父親としてなら、なおさら
だめって言う。アシュメルも。
くれぐれもこいつに
ついて行っちゃいけないよ」
「い、いや、おれ別について
行こうなんて、全然思っ、
思ってないです」
おい、どもってるぞ。
スティラはそっと金髪を耳にかけ、
純白の衣をひらりと翻しながら
出口へ向かおうとした。
ちょ、待てよ、おれの話し、
まだ終わってないから!
おれはスティラのローブを
ぐいっと引っ張った。
「さっきからずっとそうだ!
あんた、さっきからずっとなんか変だ!」
「変じゃないよ、やめてよ」
振り向いて、そんなふうに笑う
あなたはおれのしってるあなたじゃない。
「変じゃないなら、ちゃんと
いつもみたいに目を見て言ってよ!」
「…」
天井の高い食堂は、声がよく反響する。
残響の中、スティラはゆっくりと、
若くて思慮深い目をおれに向ける。
「わたしの息子はね、
ドラゴンにさらわれたんだよ」
「…はっ?」
どういうことだよ。




