4、対人
?「結局連れてきちゃったけど…これ大丈夫なの?」
?「分かんない…けどそのままにするのはもっとダメだし…一応助けてくれた恩人でもあるじゃん。」
(…遠くで誰かの話し声がする。)
?「というか今は子供の見た目だけどあの時大人じゃなかった?」
?「うん。何なんだろうね。スキル…とか思ったりしたけど流石に傷を舐めて治して大人になるスキルはないでしょ。」
(…ここどこだ?)
ゆっくりと上体を起こし、まぶたを擦る。綺麗で豪華な部屋だ。女性っぽさがある。自らの身体を確認する。
「…?力がなくなってる。一時的なパワーアップだったのか。」
そう独り言をこぼしながら服を正し、声の方向へ向かう。扉を開け2人の女性と対面する。
「…だれ?」
?「ん?あ、起きたんだね。まずはここに座って座って!暖かい飲み物入れてくるね。」
急かされるままにソファに座る。想像したことが無いほどに豪勢な部屋でどこか落ち着かない。ついキョロキョロと辺りを見渡してしまう。
?「落ち着かない?そうだよね無駄におっきいからね。」
「…こんな凄い綺麗な部屋は初めてなのでびっくりしてます。」
恐らく相手は元の世界でいう貴族に当たる人たちだと推測する。当たり障りのない言葉でなるべく敬語で話すことを心がける。
?「ねぇねぇ、君…貴族の子供じゃないよね…?」
急にそんなことを聞かれた。素直に答える。
「え?違います。庶民ですよ。普通の親で普通の子供です。」
(少し言い方が怪しくなったが嘘は言っていない。少なくとも前世は普通の人間だった。今が吸血鬼なだけで。)
?「あ〜…良かった。貴族の子だったら私たち拉致とかで逮捕されちゃうとこだったよ。」
「は、はぁ…物騒な世界ですね。」
?「そうなんだよ。特に今は貴族間のいざこざが多くてね。皆粗探しに夢中なんだよ。」
「そうなんですか。大変なんですね。」
そんな話をしているともう1人の女性が飲み物を持って帰ってくる。そして対面のソファに腰をかけ話し始める。
「ありがとうございます。いただきます。」
?「自己紹介しようか。まず私から。冒険者をやってるアンナよ。」
?「私はノア。同じく冒険者ね。」
「僕はシュウと言います。森より前の記憶がなくて…色々教えて貰えると助かります。」
「「え?」」
記憶喪失ということにしてこの世界の常識を教えて貰うのが1番楽だと思ったのだが、反応が芳しくない。
「勇者様だぁーー!!!!!!」
(へ?)




