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【02】 感想戦

【02】 感想戦


〈カケル視点〉


「う〜ん……やっぱりあの4ターン目が、失敗だったよなあ……」


「……そう、ですね。私もあそこが、分水嶺だったと、思います」


 2本先取制の、3本勝負において。


 堂々たるストレート負けを、喫した僕は。


 試合ゲームのあとも、勝者であるアリスと。


 長机テーブルを挟んで、感想戦を行なっていた。


 ワイワイ。


 ガヤガヤ、と。


 他の長机でも、試合ゲームを終えた遊戯者プレイヤーたちが。


 規定時間に、至るまでの間。


 各々に、雑談を交えながら。


 有意義な時間を、消化している。


「デュフフ。やっぱり今回の覇権は、補充デッキで決まりですなあ! 安定感がレベチでござる!」


「クソーっ! このようなものがけっきょく、今シーズンのラストまで禁止されないとは、運営はアタオカですぞ! 完全に金の亡者ですぞ!」


「……おいおい、それでヒカは、そのままぶっ飛ばされたのかよ。なっさけねえなあ!」


「……う、うるさい、なあ。今日はまだ調整が、う、上手くいって、なかったんだ……やっぱり土地を、ひ、引き過ぎだったし……だったら前の枚数に、戻してでも……そのぶんサーチを、増やした方が……ブツブツ」


「う〜ん……そんな、1枚や2枚の微調整でいちいち悩むくらいなら、いっそ僕みたいな火力バーンにしたほうが、ラクでいいと思うけどなあ」


「いや、リュウはゲームじゃなくて、リアルで燃やされてんじゃねえか。また彼女と別れたんだろ? 学校の裏アカで悪口拡散されるぞー」


「あははは! 大丈夫大丈夫、僕は全然気にしてないから!」


「いや、ちょっとは気にしろって……」


「……ぐはあ! か、斯様な盤外戦術は、拙者たちに効き過ぎでござる……っ!」


「陽キャ、滅ぶべしですぞ……っ!」


 帰宅前に寄り道している、会社員や。


 この後に出勤予定の、契約社員。


 頭にバンダナを巻いた、中年オタクどもや。


 近隣中学校の制服を着た、学生たちなど。


 職種も年齢も性別も。


 様々に幅広い客層の、常連たちが。


 カードショップ『ヲタク堂』で毎週金曜日の夜に催されているMTG公式試合『フライデーマナライト』に参加して、談笑に花を咲かせていた。


 そんな光景の、一角に。


 大会に参加者である、僕やアリスの姿もあって。


「で、ぶっちゃけアリスはあのとき手札、事故ってたの?」


「……実際に、並べてみたほうが、説明しやすいですね」


 今日の敗北を。


 明日の勝利に繋げるため。


 感想戦に、快く応じてくれたアリスが。


 無表情のまま、山札を弄って。


 件の戦場を、机上に再現してくれた。


「……これが、あのときの、私の手札です」


 やはり、というか。


 すでにあの4ターン目の開始時点で、アリスは手札に【対抗否認】と【眩暈】を握っていた。


 なんならもう一枚、別の否認呪文カウンターも確保している。


 それなのに、わざわざ。


 余分なマナを消費してまで。


 あのタイミングで手札補充ドローを、使用してみせた理由とは……


「……やっぱり、バレてた?」


「……ええ」


 僕が伏せていた、切り札の存在を。


 アリスが察知していたからに、他ならない。


 だからこそ、否認呪文カウンターを警戒する、僕を油断させるために。


 あえての、隙を晒したのだ。


 それに、したり顔でまんまと食いついた、あの時の自分を。


 全力助走パンチで、ぶん殴ってやりたい……っ!


「……大丈夫ですよ」


 梅干しを口に、放り込んだときのような。


 口先を窄めて、悶絶する僕に向かって。


 2回り以上も年下の少女が、気遣い(フォロー)を入れてきてくれる。


「……カケルさんの変化は、ごく、小さなものでした。それに気付けるのは、たぶん、私くらいの、ものです」


「そう、かなあ……」


「……ええ」


 生まれつき、表情の変化が乏しいために。


 より一層に西洋人形ビスクドールじみた、美貌のまま。


 淡々と呟く、女子中学生に。


「……そっか。うん、ありがとアリス。じゃあもっとポーカーフェイスを磨いて、アリスにも、本心を隠せるようにならないとね!」


「……無理、ですよ」


「お? 言ったね? でも流石にそれは、言い過ぎじゃないかな? アリスに全部見透かされちゃうほど、僕は、浅い大人じゃないつもりだよ?」


「……」


「……いや、そこは否定しておくれよ!?」


 大丈夫だよね?


 僕、二十歳近く年下の中学生に、みくびられてたりしてないよね?


「……それよりも」


 そんな僕の不安を、ガン無視して。


 アリスは、彼女独特な。


 囁くような、喋り方で。


 不思議と耳に染みる、艶やかな美声を。


 花弁のような唇から、紡ぎ出していく。


「……問題なのは、プレイングの方だったと、私は解釈しています」


 ただし、その言葉は。


 心を抉る猛毒を、湛えていた。


「……とくに、致命的だったのは、第一メインフェイズです。あのターン、カケルさんは、土地を出していなかったのに【ラノエルドのエルフ】を攻撃に、参加させました。これにより私は、カケルさんが土地を『置けなかった』のではく、あえて『置かなかった』のだと、推察できたのです」


 普通に、考えて。


 土地が戦場に溢れ返った、ゲームの終盤でもない限り。


 自分のターンに一枚だけ配置できる土地は、可能な限り並べていくのが、MTGの定石セオリーだ。


 もしそれが、手札事故により不可能だった場合。


 せめて、足りない土地の代用として。


 マナ生成ができる【ラノエルドのエルフ】は、使用不可タップ状態にしてまで攻撃に参加させず、使用可能アンタップ状態のまま保持キープしておくことが、合理的なプレイングである。


 だが直前に、【怨嗟】が通った際の。


 アリスが講じた、引っ掛け(ブラフ)によって。


 勝負所を急いてしまった僕は。


 その時点で残って(アンタップして)いたアリスの【島】2枚を警戒して、そこから繰り出される否認呪文カウンターを無駄打ちさせてやろうと、こちらの使用可能なマナを限界まで少なく見積らせるために、意気揚々と【ラノエルドのエルフ】を攻撃に参加させてしまったのだ。


 逆に、その不自然さに。


 アリスは罠を、確信したらしい。


 その結果があの【眩暈】に繋がることを。


 理路整然と、説明されてしまえば。


「……ぐう」


 以外に言えることなんて、ないよね?


 読み合いで、見事に完敗している。


 中学生?


 成人男性?


 そんなの、地頭の良さには関係ないって、はっきりわかんだよね。


「じゃあ正解は、あのとき【ラノエ】を残してのダブルアタックかー」


「……ですがそれですと、2体の攻撃で、合計6点しか削れません。9点のライフが残るのならば、私はおそらく、あの【巨大化】を通していました。それでもライフは6点。どのみち次のターンで、【不徳】を、使用できるのですから……きっとそのまま、【対抗呪文】を構えていたと思います」


「ん? だとするとその時点でもう、僕、ほぼほぼ詰んでない?」


「……いえ、流石に、次のカケルさんのドローまでは、読めないので、それ次第では……」


「……つまりあそこで〈呪絶〉や〈速攻〉持ちの一発逆転を引いとかなきゃ、やっぱりジリ貧だったわけかー。キッツー」


 っていうか、もうさあ。


 そこまで右手の力(リアルラック)に頼らざる得ない状況に、陥っちゃってる時点で。


 プレイヤーとしては、敗北も同然なんだよね。


 ましてや……アリスや。


 ここにいる、大半の常連客のように。


 MTGを趣味の範疇で、楽しんでいる人たちならともかく。


 日常生活に、専用の時間を設けるほどに、真剣にのめり込んで。


 なんなら『プロ』さえ、目指している身としては。


 反省点が多すぎる、一戦であった。


(今の環境トップは『補充リフレッシュ』で、それに次ぐのが『否認カウンター』だ。やっぱ現状の『速攻アグロ』だと理想的な初動スタートを決められない限り、相手が動き始めると、すぐに詰んじゃうなあ)


 少なくとも。


 実際にそれを体感して。


 予想を確信に昇華できただけでも。


 今回の敗北には、価値があったと思おう。


(この感じじゃあ、メインから対策メタカードを数枚積んだところで、焼石に水だろうし……環境トップ勢の陰に隠れてるとはいえ、『対立オポジッション』や『循環サイクル』なんかのコンボ、『隠者ハーミット』や『火力バーン』みたいなゴリ押しに、『変異群獣スリヴァリン』みたいな連鎖生物シナジークリーチャーなんかも無視できないし……ホント今季は、仮想敵が散らばり過ぎてて、対策が立てづらいよ)

 

 それでも、じきに執り行われる。


 今シーズン最後となる、一般参加が可能な、大規模のMTG公式大会には。


 MTGの参加ポイントを稼いで、やがてはプロリーグへの参加を目指す、身としては。


 目標としては、優勝を。


 最低でも、それに準ずる成績を。


 残さなければ、ならない。


 そのためのデッキ選定が、佳境に入っていた。


(これだけのデッキタイプが乱立しているなかで、どれを相手にしても安定した勝率を叩き出せるからこそ、『補充』や『否認』が、環境トップに居座っているんだし、だったら僕もそれに倣うのが賢い選択なんだろうけど……う〜ん……そうやってみんなと同じことやって、果たしてその中から、頭ひとつ抜けられるのかなあ……)


 MTGという、カードゲームが。


 商業的な側面を、抱えている以上。


 ゲーム環境には、それをコントロールしたい運営の意図が、どうしても滲んできてしまう。


 一定の期間サイクルで、使用できるカードが単位ブロックごと入れ替わる構築戦スタンダードには、ブロックごとに運営が用意した『強いカード』や、それを用いた『強いシナジー』というものが、確実に存在しており。


 身も蓋もなく、言ってしまえば。


 より多くそれを詰め込んだデッキこそが、『強いデッキ』なのだ。


 だから、資金力にものを言わせて。


 そうした環境デッキを、構築して。


 定石に沿ったプレイングさえ、身につければ。


 勝率が高くなっていくのは、必然。


 そうして環境の上位が、同じようなデッキばかりで煮詰まれば。


 あとは当日の右手の輝き(リアルラック)と、相手の事故り具合が、勝敗を決してくれる。


 ある意味、予定調和。


 運営の意図する『管理された環境』である。


 でも……


(……一流プロ二流アマの差は、限定された環境に、どれだけ独創性オリジナリティーを詰め込めるかだ)


 基本から外れたことをしていては、強くなれない。


 けれど皆と同じことをしていては、そこから抜け出せない。


 ならば基本を押さえたうえで、皆とは違うことをしなければいけないという、矛盾。


 突き抜けた発想力。


 飛び抜けた着眼点。


 破綻のギリギリを攻める、バランス感覚。


 そういった能力こそが、プロとアマを分ける境界線ボーダーなのだと、僕は解釈している。


 よって。


(どうにか……環境トップじゃないデッキを使って、戦果を挙げたいんだけど……少なくとも今回の緑単『速攻アグロ』は、僕の肌感には、合わなかったなあ)


 デッキそのものが有する、潜在能力パワーも。


 もちろん重要では、あるのだが。

 

 同じくらいに、プレイヤーとデッキの相性も、重要なファクターだと思っている。


 流石にそれは、オカルトだと。


 笑う人もいるだろうが。


 少なくとも。


 せっかちな人に、一手二手先を見据えた、深慮深謀を求める否認デッキや。


 慎重気質な人に、臨機応変な決断力を求める、速攻デッキは。


 根本的に、噛み合わない。


 世界クラスの身体能力を持つ選手を、電子対戦ゲームで競わせたり。


 将棋の達人を、フルマラソンに参加させるようなものだ。


 適材適所。


 自分の能力を、十全に発揮するためには。


 まずは自分の能力を、十分に理解しなければならない。


 その点で言えば……


「……どうか、しましたか?」


 コテン、と。


 僕の視線を、訝しんだのか


 わずかに首を、傾げたアリス。


「……もしかして……差し出がましいことを、口にして、しまったのでしょうか?」


 その、氷の妖精じみた美貌に。


 ほとんど変化は、見受けられないものの。


 試合ゲーム中の集中力を解いた、今のアリスであれば。


 付き合いの長い、僕などは。


 140センチ程度の身長の比率に対しては、やけに大きく膨らんでいる、彼女の胸中を。


 過不足なく、汲み取ることができる。


「あ、いやいやごめんね、アリス。誤解させちゃって。アリスの指摘は、とっても有難いと思っているよ。それにいつもこうして、感想戦まで付き合ってくれるから、ホント感謝してる」


「……そう、ですか」


「うんうん。っていうか、そういえば僕って、週末大会フライデーじゃほとんどアリスと対戦してる気がするね」


「……そう、ですね」


「いや、アリスはホントに、強いなあ」


 つまり、お互いに欠かさず週末大会に参加して。


 勝ち抜き形式の試合で、対戦するまで。


 ずっと、勝ち続けているということ。


 たまに、どちらかが敗北してしまって、対戦が叶わないこともあるけれど。


 そういう場合は大抵、僕が先にミスって。


 負けちゃってる気がする。


 まあ、それはさておき。


 重要なのは……


「……きっとアリスは、自分のことを、よく理解わかっているんだね」


 今の自分に、できること。


 できないこと。


 自分がやりたいこと。


 やりたくないこと。


 自分がやるべきこと。


 やってはいけないこと。


 そういったものを、主観的に。


 判定して。


 判別して。


 判断することで。


 合理的に、取捨選択できているのだ。


 だから、無駄がない。


 そのぶん、迷わない。


 だからこそ、強く在り続けられる。


 成人した大人でも難しい、自己管理を。


 この年齢で、すでにこなしてしまっているのだから。


 アリスがこのまま、成長していったとき……


 果たして、どんな人間に至るのか。


 想像すると、楽しみであり。


 空恐ろしくもある。


「……私は、嘉神乃原の人間なので、たぶん、普通の人たちよりも、そういった教育を、早くから、受けてきただけです」


 アリスの着用する、お嬢様学校の制服は。


 生徒の身分証であると同時に、その家柄バックボーンも示唆している。


 学校に通う、他の令嬢たちに漏れず。


 アリスもまた、世間的には『富裕層』と呼ばれる家柄の、出自であり。


 彼女の父親は、上場企業の一代目社長。


 いわゆる起業家だ。


 しかも代々が、そういった家柄であるらしく。


 アリスは、名家の令嬢として。


 相応しい教育を、幼い頃から受けてきた。


 だからその一挙一動には、庶民にはない『華』があって。


 賞賛に対する受け答えにも、そつがない。


 恵まれた家柄と。


 見目と。


 才能によって。


 きっとアリスの人生には、賞賛や賛美など。


 飽きるほどに、溢れかえっているのだろう。


 だとしても。


「いやいや。アリスが凄いことに、変わりはないから」


 僕が彼女を、褒めない理由はない。


 彼女の努力を、認めない理由がない。


「凄いって言うか……凄く、頑張ってる的な? ほら、今日だってさあ、忙しい習い事の合間を縫って、こうして大会に参加してくれてるんでしょ? そして見事なプレイングで、結果まで出してる。これで頑張っていないとか言われちゃうと、そっちの方が、僕の立つ瀬が無いって!」


「……申し訳、ありません。……失言でした」


「いやいや、それこそ本気にしないでよ! 軽口だから! そりゃ負けちゃうことは悔しいけど、それ以上に、同じ趣味の人間と本気で競えるのは、楽しいことなんだからさ! トータルで楽しい方が余裕で勝ってるから、気にしないでよ!」


「……カケルさんは」


 そこで、ふと。


 澄んだ青瞳が、僕を捉えて。


「……私と遊ぶのは、楽しい、ですか?」


「うん? そりゃ楽しいよ?」


「……そう……ですか……ふふっ」


 気まぐれな陽光で溶けた、積雪のように。


 ほんのわずかだけど、表情を。


 綻ばせたのだった。


「……?」


 一体何が、ツボったのか。


 箸が転んだだけでも笑ってしまう、多感なお年頃な反応を。


 理解しきれずに。


 疑問を抱いていると。


「でも……私が、こうして、ここにいられるのは、全部カケルさんの、おかげですよ?」


 少しだけ、照れたように。


 色素の薄い頬を、わずかに染めて。


 迷いのない声音で、アリスが呟く。


「いやいやだから、それこそもう、言わない約束じゃないか」


「……でも……事実、ですので」


「うん、だとしても、そのぶんの対価は、アリスのお父さんたちから十分すぎるほどに頂いちゃっているから。だからもう、そういった貸し借り云々の話はナシ。いいね?」


「……」


 僕の、至極真っ当な正論に。


 珍しく、アリスは。


 可憐な口先を、小さく、尖らせてしまった。


 先ほどのまでの、上機嫌から一転。


 相当に、ご不満らしい。


(やっぱりこの年頃の女の子の機嫌って、コロコロ変わるから、わっかんないなあ……)


 とはいえ。


 そういった、年相応の。


 幼い反応を、目にすると。


 やっぱりアリスも14歳の女の子なんだなあと、安心してしまう僕である。


「ふふっ」


「……なにを、笑っているのですか?」


「いいや? アリスは可愛いなあと思って」


「……っ!」


 僕の軽口に。


 今度こそ、機嫌を損ねてしまったアリスは。


「……」


 無言のまま。


 僕から表情を隠すように、俯いて。


 テキパキと、机上に広げていたカードを、回収してしまった。


 拗ねた態度も、可愛カワよ。


(うんうん。アリスには悪いけど、妹がいるお兄ちゃんって、こんな気持ちなんだろうなあ……)


 生憎と、三人兄弟の次男坊である僕に。


 実妹なんて、いないのだけれど。


 きっとアリスが本当の妹だったら、滅茶苦茶に、可愛がっていた自信がある。


 そして、構い過ぎて。


 ウザがられるところまで見えてしまった。


 実家の猫がそうだったもん。


「……」


「……? どうし、ましたか? カケルさん、難しい顔を、していますよ?」


「いや、ね……色々と、難しいなあって……」


「……?」


 再び、コテンと。


 アリスが小首を傾げた、直後。


「は〜い、それではあ、全部の試合が終わったので、結果を発表しちゃいまあ〜すっ!」


 ヲタク堂の、遊戯空間フリースペースに。


 間延びした、女性の声が響き渡った。


「……っ!」


 反射的に、僕などは。


 シャキーンと、背筋を伸ばしてしまうのだが。


「……」


 あからさまな反応に、呆れているのか。


 アリスはその青眼を、物言いたげに。


 ジト……っと。


 細めてしまうのだった。


 私たちを閉じ込める、壁であり。

 私たちを守ってくれる、檻でもある。


 ――厳かな監獄――

 

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