3.企画会議3
「それでは戦隊側の諸々の設定について説明致します」
パワポを切り替え、説明は後半戦に移る。
「まずは鉱物生命体『ロック』です。
敵の宇宙人の地球侵略を知らせに来て、5人に戦隊の装備を提供した存在です。
鉱物ですので言葉を発しません。戦隊メンバーとのコミュニケーションはテレパシーで行います。
『ロック』が何故敵の宇宙人が出現した直後に現れたのか?
どうして地球人にフィットする装備が準備されていたのか?
これらの謎・疑念については、番組後半になって明らかになっていきます」
「おいおい、地球に戦隊の装備を持って来るのは、正義の存在ではないのかね?」
「それはわかりません。しかし、『善意の第三者』的存在ではないことは明らかです」
「次に戦隊のコスチュームについて説明します。デザインに関しては、アニメのキャラクターデザインで著名な〇〇氏に担当していただきます。騎士がモチーフである為、甲冑をイメージしたデザインになります。
また、戦隊シリーズのアイコンとしてゴーグルを取り入れます。また、各キャラクターの色についてですが、従来のスーツの表面積の大半を単一色が占めるデザインではなく、グラデーションで濃淡を付けたいと思います。更に要所要所に別の色の部分を設けます」
ざわざわ。またも会場が湧き出した。まあこれも想定内。
「戦隊シリーズ50年の歴史によって、メンバーカラーによるキャラクターの性格・特徴が強調されて来ました。しかし、それが各人の深堀りがなされず、単純化されてしまったのも事実です。その時の心の持ち様により、濃い部分の多い赤とか、薄いピンクといった感じになります」
「ブラックやホワイトはどうする?」
「ブラックについては、グレーに近くなる感じです。白についても、某タレントの言う通り、バリエーションは豊富ですし、問題はないかと思います。次に、各人が使用する武器について、説明します」
1.ホワイト ピストル(長身)状の銃。
2.ブラック ライフル状の銃
3.レッド なし
4.ピンク ステッキ
5.ブルー 銃剣
「それぞれの武器については、メカ設定の△△氏に依頼します。玩具展開を視野に入れた際、男の子が遊ぶ玩具に、相手を叩く様な使い方をして欲しくはないです。だから、男性戦士については、飛び道具(銃)に致します。番組としては弾丸の実装、弾倉の入れ替えといった動作は魅力的なのですが、弾丸発射のギミックを入れた玩具はいじめに使われる恐れが強いので、光線銃とします。女性戦士についてはキャラクターに寄り添ったものにします。レッドは感情のまま拳で戦いますので武器は携行致しません。ピンクについてはステッキの先端から魔法の様に放射状の光線を照射します。ブルーについては、後方支援等がメインとなる為、武器を使用するのは自分の身を守る時が多くなります。それが、どんな場合かは想定が難しい為に、近接戦闘や長距離での戦闘でも使える銃剣と致します。・・・次は変身アイテムです。変身アイテムについては、ケータイ端末に似たものとします。また、5人は同じアイテムで変身可能と致します。これも玩具展開を考えた際に、子供一人に5人分の変身アイテムを買い与える親御さんはほぼいないと思われます。玩具の製作コストを削減する為にも有効だと思います」
一呼吸の間をおいた後、パワポを切り替え、説明を続ける。
「玩具展開の主力商品となるメインメカ、ロボットについて説明致します。メカニックデザインにつきましては、武器と同じくアニメ番組のメカニックデザインで有名な△△氏に依頼します。これまでのデザインとは異なるテイストで、インパクトを生むでしょう。各人が乗るメカは専用のもので、戦闘機形態からロボット形態に変形します。戦闘機形態の時はコクピットに乗り込み操縦しますが、ロボット形態時には外部よりモーションキャプチャーで操縦します」
「モーションキャプチャー?戦闘機と同じく、内部コクピットで操縦すればいいじゃないか」
「戦闘機とロボットのプロポーションを両立させようとすると、ロボット時におけるコクピットのスペースを確保するのが難しいからです。それから、敵と格闘戦をするにあたり、モーションキャプチャーで操縦する方が素早い動作をさせる事が可能となります。そもそも二足歩行ロボットを登場させるのは敵と格闘戦をさせる為です。レバーやボタン操作で、敵の怪獣に勝てると思いますか?それではリアリティに欠けると思います。ロボットの大きさとしては全高35mを想定しております」
「この5台は合体するのか?」
「ええ、勿論合体します。合体して全高50m超のロボットになります。ただ、合体してハイパワーを発揮する為には、動力系を結合し5台の合計以上のパワーを発揮できるようにします。また、合体ロボットのオリジナル武器はこの動力を利用したものにします。一つは胸から出るビーム系の武器で、もう一つはライトサーベルの様なもので、柄の部分からパイプを動力炉に接続しエネルギーを供給します」
「合体ロボットもモーションキャプチャーで操縦するのかね?」
「ええ。但し、合体によりスペースが生まれるので、ロボットの内部で操縦します。パイロットは1人でロボットの操縦及びオリジナル武器の操作を行います。残る4人は別の場所でサポートに当たります」
「サポートとはどんな内容かね?」
「動力源の制御、ダメージを受けた箇所への動力カット、個別ロボット時の武器の使用、パイロットへの指示等です」
「パイロットとして誰が搭乗するんだ」
「その時の5人の精神状態によりAIが判定します。結果として、巽磨意が選ばれる事が多いです。・・・合体ロボットについては第1クールの後半に登場し、・・・数話に一度の割合で登場し、プレミアム感を醸成します。そもそも、合体ロボが登場する意味は何でしょうか? 別の5人乗りの大型ロボットの方が、戦闘の面では優位でしょう。何しろ5台が傷一つ無く、同じ場所にいなければならない訳ですし、合体後も無駄な箇所やユニットもあるでしょう。その様な不具合を凌駕するだけの、理由が必要です。一案としてあるのは、ロックは大型ロボットを準備しており緒戦に投入したものの敗北し、爆散します。そこで既存の5台のロボットを緊急改修し、合体機能を設けたというものです。これならば、多少強引な合体も許容されますし、元々合体させる予定でなかったロボットですので関節部等の強度の問題で短時間の運用しか出来ない、という条件を付与できます。最強の武器に、運用上の制限を設ける事は、ドラマを盛り上げる上での利点となります」
「ロボットの名前はどうなるのかね?」
「名称についてはシンプルに、個人のロボットを、ナイトブロンα(アルファ)、ナイトノワールβ(ベータ)、ナイトルージュγ(ガンマ)、ナイトローズδ(デルタ)、ナイトブルーε(イプシロン)、合体ロボットをナイトクルールVと致します」
「玩具展開についてはどうするのか」
「玩具展開ち致しましては、ダイカストモデルで、改修後の5台のロボットとナイトクルールVを発売すると同時に、ネット店舗にてプラモデルで、改修前の5台のロボットを戦闘機への変形機構付きで、5台のロボットから合体するナイトクルールVを発売します」
他に質問は出なかったので、俺は説明を続ける。
「最後に、ピンクナイト道脇小百合のもう一つの形態である魔法少女について説明させていただきます。
魔法少女はこの世界に害を為す『妖魔』と戦う謎の存在で、その姿を見た者はおらず、都市伝説だと言われております。コスチュームデザインについては、美少女イラストで著名な××氏に依頼します。カラーリングとしては白とピンクを基調としたもので、背中から小さな一対の羽根が付いております。・・・変身方法と致しましては、彼女が変身を決意すると、掛けていたペンダントがふわふわと浮き出して、金色の光を照射し彼女を包み込みます。そして『マジカルフォーメーションチェンジ』の掛け声と共に変身します。使用するアイテムとしては、こちらもステッキですが、戦隊のものと比べるとデコレーションが多めです」
「魔法少女に仲間はいるのかね?」
「現時点では決めておりませんが、におわせはします」
「普段のコスチュームからしか、魔法少女に変身しないのか?」
「いいね。視聴者サービスとして、戦隊から魔法少女、魔法少女から戦隊への変身シーンを用意します。また戦隊への就任後は魔法少女のコスチュームもマイナーチェンジを行い、戦隊への変身アイテムを収納するポシェットを追加します。番組内で説明は致しませんが」
「彼女が魔法少女である事は、メンバーに発覚するのかね?」
「ええ。その問題はテーマに直結する内容ですので。1話から2話を使って、丹念に描きます」
こうして俺は、戦隊シリーズの地球側の設定説明を終えた。残るは敵組織の設定である。




