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2.企画会議2

次年度の戦隊シリーズの企画会議。

総設定・脚本を担当する俺、山田洋輔は説明を続ける。

「それでは、主人公5名のプロフィールについて説明いたします」

パワポのシートを換える。スクリーンに文字が移される。


1.ホワイトナイト ジョージ上原

   23歳 男 身長180㎝台 陸上自衛隊所属 三曹

   父アメリカ海兵隊員(黒人)、母飲食店店員(日本人)の間に生まれ、母子家庭で育つ。

   父親譲りの肌の色にコンプレックスを持っている

   正義感溢れる青年

   最強戦隊のリーダー(ムードメーカー)


さわついているなあ。まあ当然か。

「まずは、ホワイトナイト ジョージ上原について説明させていただきます。彼はアメリカ海兵隊員の父と沖縄のクラブで働いていた母の間で生まれた日米のハーフです。父親は任期が終わると母国に帰ったので、彼は父親と会った事はありません。また、認知もされなかったので、父親からの援助もなく、シングルマザーの母の手一つで育てられました。父親譲りの褐色の肌でいじめを受けておりました。母親の負担を少しでも軽くする為に、高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。三曹に昇進したばかりです。

正義感に溢れ、全員を盛り立てる戦隊のリーダー。

自衛隊の業務と、戦隊での使命の板挟みに悩み、退職し、フリーターとなる。しかし、頻繁に仕事をすっぽかす事になり、長続きしない。

巽磨意に好意を持つ」

「褐色の肌で、ホワイトというのはどういう事だ?」

「これは心の持ち様と外見は無関係であることを示しています。戦隊シリーズでの色は、人物の性格・個性を表すものです。ヒーローである事・人助けに純粋である彼のキャラクターはホワイトにふさわしいものです」

「ヒーローであり続ける為に、仕事をやめる事になる、というのは問題ではないか?子供達がヒーローに憧れを持たなくなるのではないか?」

「ヒーローは見返りを求めるものではありません。彼のヒーローとしての生き方・矜持というものは、子供達の憧れとなるでしょう」

「戦隊内での恋愛はまずいのではないか?」

「過去のシリーズにも前例はあるので、問題ないと思っております。彼の性格から、戦いが終わるまで告白もしない様に思います。ですから、ドロドロの恋愛模様を描くものではありません。作劇上のスパイスみたいなもの、という認識です」


質問が出尽くしたところで、俺は次の人物の説明に移る。


2.ブラックナイト 矢島健次郎

   29歳 男 身長170㎝台 陸上自衛隊所属 一尉 

   大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。ジョージ上原の直属の上官

   眼鏡をかけたイケメン。自分がモテることを自覚している

   戦隊内では戦略・諜報といった活動を担当する。長距離射撃も得意

   新兵器開発の為にとある大学院の研究室に出向留学


「次にブラックナイト 矢島健次郎について説明致します。彼は大学卒業後に陸上自衛隊に入隊したいわゆるエリートです。現在の階級は一尉で、前述したホワイトナイト ジョージ上原の上官です。中肉中背で眼鏡をかけたイケメンで、本人もその事を自覚しております。戦隊内の役割と、業務上の階級においてジョージと逆転している事が不満で、何かにつけて対立します。戦隊内での役割としてはサブリーダーであり、作戦立案・情報収集等を担当しており、戦闘時には長距離からの射撃・砲撃を担当します。

自衛隊の業務と戦隊での使命の両立が困難になった時、彼は上官に願い出て、新兵器開発の為の大学院の研究室への出向留学という立場を得て、収入と時間の柔軟性を確保します」

「プロフィールを見ると、鼻持ちならない人間の様な気がするな。こんな設定の人間で、本当に大丈夫なのか?」

「ええ、大丈夫です。その為のイケメンですので。それに・・・」

「それに、何だ?」

「それに土壇場の場面で、自らを犠牲にして誰かを助けるシーンがあれば、最終的な人気はどかーんと上がりますので」

「おいおい、主人公の一人を最終回で殺すのかね?」

「いいえ、最終回ではありません。その3話か4話前です。彼の死を通じて、初めて最強戦隊は一体化され、最終決戦に挑む、という展開になります」

「ドラマとしては盛り上がるのだろうが・・・大丈夫なのか?主人公の一人が死んで、ロボットを出せない、というのは困るよ」

「その点については、何か対策を考えますよ」

「・・・宜しく頼む」


さあ、ここからがより混沌とする女性戦士だ。気合いを入れて説明することにしよう。

「次からが女性戦士です。まず レッドナイト 巽磨意です」


3.レッドナイト 巽磨意

   16歳 女 身長160㎝台後半 高校生だが、登校していない。

   ショートカットでボーイッシュでキュートな容姿だが、まるきり関心がない。

   嬉しい時には号泣し、悲しい時にはギャン泣きする。言わば「体の大きなコドモ」

   戦闘時には格闘戦のリーダーとして、拳のみで敵と対峙する。


「彼女は、女性としては大柄で、格闘家のような体系です。容姿については、ショートカットでボーイッシュでキュートな顔立ちですが、ノーメイクでファッションにも興味を持っておりません。動きやすい服装を選んでしまいます。

行動原理は至ってシンプル、「問題が起きたら、拳で語り合う」というもの。反面、子供や動物にも心を寄せる、心優しき少女。嬉しい、と言っては泣き、悲しい、と言っては更に泣く、という感情の発露が激しい少女です。

彼女の家庭環境や居住地、不登校の理由等については、仲間内でも不明です」

「ふうん、何か男性戦士のレッド、リーダーの様な設定だな」

「それを女性が担うから面白いんじゃないですか。それに彼女の純粋な感情は視聴者の共感を呼ぶ事でしょう」

「家庭環境とか不登校の理由とか、もっと設定を作り込んだいいのではないか?」

「彼女は言わば『風来坊』です。風と共にやって来て、風と共に去ってゆく、そんな存在です。謎が多い程、魅力的だとは思われませんか・」

「ジョージ上原は彼女の事を好きなんだろ?彼女の方はどう思っているんだ?」

「御安心下さい。男女間の恋愛感情がわかる程、成熟しておりません。彼の秘めたる恋心など、彼女には全く届いておりません」

「次に移ります」


4.ピンクナイト 道脇小百合

   17歳 女 150cm半ば 高校生

   黒髪ロングのストレートヘア。可憐なイメージ

   大人しい性格で自己主張をあまりしないが、世の中の不条理を許さない秘めたる激しさを持つ

   両親は共働きで、一人っ子

   人知れず別の敵と戦う魔法少女


「4番目の戦士 ピンクナイト 道脇小百合です。

彼女はごく普通の家庭で生まれ育った女子高校生です。容姿についても、特段目立ったところはありません。視聴者からも、こんな女の子が戦って大丈夫なのか、と不安がられるぐらいです。

しかしながら、世の中の不条理に対し、諦める事無く立ち向かっていきます。彼女のヒーローとしての特性は、戦隊メンバー中最強なのですが、本人も含めてまだ誰もわかっておりません。

彼女は、戦隊の仲間にも告げずに、魔法少女として別の敵とも戦っております。どちらの戦場に行くべきか、しばしば彼女は悩む事になります」

「おいおい、戦隊と魔法少女の兼任なんて、禁じ手じゃないのか?」

「前例がないだけで、やってはいけないという訳ではありません。地球は2種類の敵に襲われており、片方を魔法少女が、残る一方を戦隊が対峙する、という世界なのです」

「兼任させるなら、さっきの巽磨意の方がフィットするのではないか?」

「巽磨意の子供の様な性格で、兼任は負担が大き過ぎます。そんな事をすれば、必ず彼女の精神は二つに切り裂かれるでしょう。彼女では無理なのです。私は、道脇小百合を通じて日本女性の芯の強さ、不正や不条理を許さない心を表現したいのです」

「そもそも魔法少女を登場させる事のメリットは何だ?」

「幾つかありますが、まず視聴率対策です。戦隊シリーズはそもそも女子小学生へのアピールが弱いのです。今回は女子小学生が可愛いと思ってくれるコスチュームを導入したい、と思っております。同時に兼任ヒロインの存在は新たな特撮ファン・ヒーローファンの掘り起こしに役立つ事でしょう。次に、スポンサーに対するサービスして、商品化出来るアイテムを増やす意味があります。それに、魔法少女の彼女を可愛らしく、愛らしく撮影する事はカメラマン・照明・メイク等々スタッフの能力向上につながります。・・・以上で宜しいでしょうか?」

追加質問も無かったので、俺は説明を続けた。

「最後にブルーナイト 大城恵味についてです」


5.ブルーナイト 大城恵味

   21歳と150ヶ月 女 160㎝前後 町工場経営

   シングルマザー。4歳の長男・凛と2歳の次男・心を育てている

   6年前に父親から事業継承し、売上は右肩上がりに伸びており、経済界から注目されている 

   戦隊メンバーの中で物事を最も俯瞰して観察出来、冷静な判断を下せる。


「彼女は33歳、現戦隊における最年長です。また女性戦士で恐らく初のシングルマザーです。また、父親から受け継いだ町工場を経営すると共に、祖父母の介護もこなすスーパーレディです。子供の付き合いで見ているお母さん方、イケメン目当てのお母さん方の共感を呼ぶでしょう。

また彼女の日常からもわかる通り、マルチタスク処理に長けており、物事を俯瞰して観察し、冷静な判断で解決を図ってゆきます。

戦隊としての役割は、バトルフィールドの設定、避難計画の実施等多岐に渡ります。主に民間人の避難保護、後方支援を担当します」

「30代でシングルマザー、人気は出るのか?」

「先程申しました通り、女性人気は高くなります。男性人気についてはキャスティングによるものが大きいと思っております。例えば、30代の人気グラビアアイドルを採用するとか・・・」

「どうしてシングルマザーに?」

「これについては単なる性格の不一致という奴です。死別したと設定すると、事業継承や介護が夫側の家系かどうかという問題を生じます。それは子供番組で説明するのは困難です。また、性の不一致や浮気・不倫となると、説明出来なくなります。・・・ジョージ上原もそうでしたが、シングルペアレントによる育児の課題をクローズアップします。この番組では、シングルペアレントの子供達にエールを送る番組でありたいと思っております。以上です」

俺は5人のプロフィールの説明を終え、周囲を見回した。


「・・・ふうん。一見バラバラだけど、5人を並べてみると何となくまとまりがあるな。まあ、この5人の設定でスタートしてみようじゃないか。不都合があれば修正対応すればいいし、最悪の場合は交代させればいい事だし」

「ありがとうございます。この5人で頑張りたい、と思います。それでは、戦隊側の各種設定について説明致します」


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