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第3話 巨大化、そして変形1

「ねえロック、星間連合の敵はどうして私達と同じ様な大きさなの?」

『恵味、どうしてそういう事を聞くんだい?』

「星間連合は人類の絶滅を画策しているんでしょ。だったら、体格が大きい方が有利じゃないの。それこそ30メートルとか、50メートルとか」

『君達が進化の果てに獲得した形状だと考えれば、理解できると思う。君達の体格がこの惑星で最も適応した体格と言えるだろう。だから、君達と体格が違うという事は何等かの負荷がかかるという事だ』

「じゃあ、敵の体格差については大きな差は無い、無視出来るレベルという事なの?」

『この惑星よりも過酷な環境の星は宇宙にはたくさんあるんだ。だから、他の星の環境に適した生物が、この惑星でも活動できる事例は存在する、と思った方がいい』

「という事は、巨大生物と戦う事もある、と覚悟した方がいいのね?」

『その通りだ』

「じゃあ、そんな敵に対抗できる準備は出来ているの?」

『勿論、ある・・・』

「そう。どうせ、あなたの事だから、その瞬間まで隠しているんでしょう。せいぜい期待して待っているわ。・・・ねえ、テレビのカラーナイツみたいに、巨大化する敵はいるの?」

『身長とか全長といった数値なら可能で、使える種族も存在する。しかし、質量に関しては無理だ。質量保存の法則を無視する事は出来ない。しかし、大気等を取り込んで質量を増大させる能力を持つ種族は存在する。そして、この二つの能力を同時に保有している種族もいる』

「要するに巨大化する敵もいるという事だな」

身も蓋も無い健次郎の言葉に、一同納得した。


浅草、浅草寺周辺。

平日の昼下がりにも関わらず、観光客でごったがえしていた。

そんな日常を一変させる事件が発生した。

空気を切り裂く様な音が響いた。街を歩いていた観光客の一人は、ドンという軽い衝撃を右肩に感じた。何歩か歩いたところで、激痛が襲った。右肩を見ると、右腕が消失しており、血が噴き出していた。

「うわあ・・・」

事態に驚き、思わず彼はその場にしゃがみ込んだ。しかし、彼の身を案じて、駆け寄る者は誰もいなかった。何故なら、被害を受けたのが彼だけではなかったからだ。ある者は右腕欠損、ある者は左腕欠損、頭部欠損、上半身欠損と被害部位は様々だった。どうやら被害者は屋外にいる者に限られている事を、本能的に察知したのか、人々は我先に左右のビルの中へと避難していく。

歩行者の避難が完了した頃、レッドナイトが現場に到着した。

レッドナイトは周囲の異様さに気付く。路上には頭部の無い者、上半身がすっかりない者等の死体が数体転がっている。道路の左右では右腕や左腕の欠損した者が、痛みに耐えながら左右のビルに逃げ込もうと這っていた。そして、左右のビルの中からの無数の視線がレッドナイトを冷ややかな目で見ていた。

何が起きているんだ・・・磨意はまだ事態を理解出来ていなかった。

突然、空気を切り裂く音がした。思わず磨意は上を見た。黒い影が迫って来ていた。

咄嗟に身体をひねって、黒い影を交わした。

再び音が鳴った。今度は逃がさない。磨意は右手で黒い影を掴むと、そのままアスファルトに叩き付けた。

黒い影はその正体を白日の下に晒し、生命活動を終えた。

大型の猛禽類によく似た生物だった。

レッドナイトを敵として認識したのか、今度は3羽同時に急降下して来た。

「磨意さん、伏せて!」

磨意は言葉に従って伏せるのと、ピンクナイトが放った光線が3羽を薙ぎ払っていた。

「磨意さん、大丈夫?」

「ああ、ありがとう。・・・気を付けろ。あいつらは空から襲って来る!」

空には空で対抗する!道脇小百合は決意したが、スーツ内に収納されているペンダントは反応しなかった。そうなのね、このスーツを着た時には魔法少女の能力は使えないのね・・・。

「サユリ、何している。危ないから隠れていろ。奴等の死角から援護してくれ」

「そ、そうね」

ピンクナイトは物影に隠れ、囮となったレッドナイトを襲う敵を迎撃していった。

二人で10羽程始末したところで、敵は去っていった・・・。


「・・・それで、雑魚を10匹ばかり始末しただけなのか」

健次郎が磨意と小百合の報告に対し、非難めいた口調で言った。

「すまない。親玉の正体も見逃した」

「御前は何をしに出動してんだ。それで正義のヒーローだと言えるのか!」

磨意は何も答えない。健次郎の叱責を受け止めていた。

「・・・それで御前はどうするんだ?」

「次は必ず倒す。・・・サユリと一緒に」

磨意の言葉を聞いて、小百合には胸に明かりが灯った様な温もりを感じた。磨意さんが仲間と認めてくれたのだ、絶対にあいつを倒す、磨意さんと一緒に!

「敵は高所からターゲットを狙って、急降下して襲って来る。一羽なら掴まえて倒す事は可能だけど、二、三羽同時に襲われたら対応出来ない。今回はあたしが囮となって、サユリの光線技で倒したけど、敵はこちらの戦法を学習したみたいで、恐らく対策を立ててくる。あたし達も別の戦法で挑む必要がある」

「ねえ、ロック、私達は空を飛べないの?空中戦であいつ等を倒したい」

『君達専用の飛行兵器を準備したので、お見せしたい。エレベータに乗ってB4フロアに向かってくれ』

5人揃ってエレベータに乗り、B4のボタンを押した。

「ちょっと時間がかかり過ぎていない?」

恵味の言葉にジョージが同意する。

「確かに。・・・一体どこまで下りるんだろう」

降下し始めて1分後にエレベータは停止し、ドアが開いた。

広大な空間が広がり、そこに5台の戦闘機が置かれていた。

「これが、俺達の戦闘機なのか・・・」

『塗色については君達のイメージカラーに合わせているから、どの機体に載ればいいのかはわかる筈だ』

「ロック、機体名は何ていうんだ?」

『ジョージの機体名は ナイトブロンα(アルファ)、健次郎のがナイトノワールβ(ベータ)、磨意はナイトルージュγ(ガンマ)、小百合がナイトローズδ(デルタ)、恵味の機体がナイトブルーε(イプシロン)だ』

「へえ、ロックにしてはカッコイイ名前じゃん」

「それでこの戦闘機の操縦方法はどうなっているの?」

『操縦方法については、各人用のシミュレーターを準備しているので、それを用いて習熟訓練を受講して欲しい。心配はいらない。人工頭脳がサポートするので、この星のどんな乗り物よりも操作は簡単だ』

「やれやれ、この歳になって、今更訓練かよ」

「仕方無いでしょ、強くなる為には」

「勝つ為には、やるしかないか・・・」

エレベータに乗り、B1フロアに戻った。先程までは無かったシミュレーターが5人分準備されていた。5人は無言でそれぞれのシミュレータに乗り込み、時間の許す限り習熟訓練を繰り返した。


5人はそれぞれ時間を捻出して習熟訓練を行った。

訓練を始めて三日目、久しぶりに全員が揃った。この時点での習熟度合については、時間は短いもののセンスでカバーしているジョージと健次郎、ひたすら時間でカバーしている磨意、センス・訓練時間共に不足している小百合と恵味といった状況であった。

小百合は泣きながら訓練を続けていた。もっと上手くならないと!磨意さんの足を引っ張ってちゃいけない、私はまだまだ頑張れる!

『訓練の途中、誠に申し訳無いが、星間連合が出現した。出現場所は巣鴨上空。全員、至急戦闘機に搭乗してくれ。搭乗を確認し次第、巣鴨上空にテレポートさせる』

「了解!」

5人はエレベータに向かって走り始めた。

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