第2話 最強戦隊カラーナイツ4
恵味は駆け足で舞台に上がった。劇中で怪人や戦隊メンバーが舞台から降りてくる演出があったのだろう、舞台と客席の間にステップが設けられていたので、舞台に上がる事は容易だった。
煙幕が広がる中、恵味は変身した。ほぼ同時に4人がテレポートして舞台上に登場した。
恵味は4人に言った。
「皆、観客達はまだ舞台が続いている、と思っているわ。映画館と同じ事が発生していると悟ったらパニックになる。だから舞台を継続させる形で戦うわよ」
煙幕が消え、舞台上に5人の戦士が現れる。
観客のちびっ子達の大歓声の中、5人は口上を述べる。
「正義の騎士、ホワイトナイト」
「公正の騎士、ブラックナイト」
「勇気の騎士、レッドナイト」
「希望の騎士、ピンクナイト」
「慈愛の騎士、ブルーナイト」
「「「「「最強戦隊カラーナイツ」」」」
再び大歓声。同時に爆発音が鳴り響く。舞台のスタッフがアドリブで入れたものらしい。彼等も、観客に被害を出さない為に戦っているのだ。
「あたしがこのデカブツを倒す!」
いきなりレッドナイトが怪人に対峙する。
「ちょっと、磨意ちゃん」
「しょうがねえ、あいつは言い出したら、誰の意う事も聞かねえ」
「俺達は、このザコ共を退治するんだ」
「わかったわ」
4人は自分達よりも小さい戦闘員達を掃討する。各自武器を携行しているので、それほど困難な作業では無かった。
残るは怪人のみ。
レッドナイトとの睨み合っている状態だ。
お互いの能力がわからない為に様子見の状態が続いた。
相手の能力を見定める、ってあたしらしくないな。わからないなら、当たってみるだけだ!
レッドナイトが先に動く。一気に距離を縮めると、敵に向かってパンチを打つ。
右の拳が当たったら、次に左の拳を放つ。
更に右、左、右・・・と連続してパンチを繰り出す。
怪人も時折パンチを放つ。
手数のレッドナイト、破壊力の怪人の殴り合いとなった。
当初は互角と思われた攻防も、時間の経過と共にレッドナイトが優勢になっていた。
怪人がじりじりと押される。
怪人の乾坤一擲のパンチがレッドナイトの頭部を捉える。
レッドナイトのヘルメットの一部が欠けて、巽磨意の右目が露わになる。
しかし、レッドナイトはひるまない。
渾身の力を込めた右ストレートを怪人に放つ。
レッドナイトの右拳が怪人にめり込む。
レッドマスクはさらに力を入れると、右手は怪人の中に潜り込んでいく。
怪人は悲鳴をあげ、抵抗を試みるが、レッドナイトの右手は止まらなかった。
怪人の悲鳴が止まったのと、レッドナイトの右腕が怪人を貫くのはほぼ同時だった。
怪人が停止したのを確認し、レッドナイトは右腕を引き抜いた。
怪人はゆらゆらと動いたあと、ゆっくりと前のめりに倒れた。
レッドナイトは背後にいる仲間のところへ行こうと反転した。
その時、怪人は立ち上がり、拳ではなく、爪でレッドナイトを切り裂こうとしていた。
レッドナイトは全く気付いてなかった。
怪人がレッドナイトの右肩から袈裟懸けに切り裂こうとした瞬間、ホワイトナイトの銃から発射されたビームが怪人の頭部を貫いた。
怪人は今度こそ本当に生命活動を停止し、後ろ向きに倒れた。
「あ、ありがと」
「命のやり取りをしているんだ。最後まで油断するな」
ジョージの指摘は尤もだ、と磨意は理解した。
ピンクナイトがステッキを振ると、怪人及び戦闘員の死体が消失した。
あくまでも、舞台上の演技として進める為に、五人は整列して一礼した。
そこで、もう一度煙幕が張られ、煙がおさまると五人の姿はどこにもいなかった。
観客の拍手と共に、幕が下りる。
最後部のドアから客席へ入った恵味は息子達の元へ戻った。
「凛、心、大丈夫だった?」
「うん、カラーナイツが戦って、守ってくれたよ」
「カラーナイツ、強かったよ!」
「ねえ、ママは誰に変身していたの?」
長男の質問に対し、恵味は厳しい表情で言った。
「誰にも言わないと、約束できる?」
凛はしばらく考えた後、ゆっくりと頷いた。
「じゃあ、教えてあげる。ブルーナイトよ」




