火龍と少女
『お題』
・剣と魔法のファンタジー世界で、緊迫のバトルシーン。
・限られた文字数の中で独自のファンタジー世界観を伝える。
・500文字以内。
「姉は血を吐く、妹は火吐く、可愛いトミノは宝玉を吐く……」
玲瓏たる少女の声が響きわたる。
大気を震わせ、水面に広がる波紋のような旋律。
その瞳にはもう何も映ってはいない。
「もう、やめよう。終わりに、終わら、せよ……う」
少女が召喚した火龍の息は野を焼き、腐敗の瘴気を撒き散らす。火炎を吐かずとも、それを間近で吸い込んだ俺の肺を焼く。
良く笑う奴だった、誰かのために泣くような奴だった――記憶の中の彼女はいつも強く優しい眼差しだった。
今、絶望で壊れてしまった彼女の瞳には、俺すら見えていない。
――――ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
唇の動きはそう語っていた。
今のお前に見えているのは地獄か?
問いかける事はせず、ただ火龍の吐く瘴気を薙ぎ払う。
痛々しい彼女の姿を正視出来ずに、俺は一瞬瞼を閉じた。
握った剣の柄に意識を集中すると、俺の周りに光り輝く魔法陣が展開していく。
渦巻く風は火龍を切り裂くだろう。
俺の制御出来ない魔力は、彼女をも切り裂くだろう。
そして破壊された亡骸をかき抱き、俺は涙を流すだろう。
回避出来ない未来の映像に、唇を噛み締める。
後は高めた魔力を解き放つだけだった。
緊迫感溢れるバトルシーンの表現……が出来ていませんでしたorz
クリア出来てないです。