守るべき者
リリアが俺の家に来てから3日目
相変わらず、俺の家は騒がしい
「流くーん
朝ですよ早く起きるのです」
「後5分」
俺はそう答える
リリアは朝ごはんを作っている途中なのかポニーテールにエプロン姿だった
前までは7時25分ごろに起きてたがリリアが来た今は6時に起きるようになった
「まったく。
女の子が朝に起こしてくれるのは嬉しいはずでしょう」
「それはそうだが眠い」
「なら、後3分です
3分経ったら朝ごはんができるので3分以内に起きてください」
「了解」
3分後にできるなら2分30秒後に起きよう
そうしよう
俺はタイマーをかけ目を閉じる
いつのまにか、眠ってしまっていたそうだ
またリリアが起こしに来た
「早く起きてください!!」
そう強く言いながら俺を力一杯叩く
だが、その威力があまりにも弱すぎる
本気の猫パンチの方が強いぞ
そろそろ起きるか
俺は起き上がると時計を確認する
すると時間は6時ちょうどだった
「なんという、完璧な起こし方
俺の習性を完全にわかってやがる」
「まぁ、2回目だから慣れたのです」
なんという、慣れの速さ
「それより早く起きるのです
朝ごはんができてますよ」
「おう
どんなメニューだ?」
「カルガリルの卵焼きと
ラリオス麦のパンです
あと、ココアも作りました」
「もしかして、それはリリアの世界の食べ物じゃないよな?」
俺は恐る恐る聞く
「私の故郷の郷土料理なのです」
そうリリアが満面の笑みで答える
俺は、その返答で絶望した
だがしかし、いずれも人が作ってくれた物
頂かない選択はない
俺はリビングに移動する
そこには、見た目は普通の少し大きな卵焼きと少し焦げているパンがあった
俺は椅子に座り箸を持ち卵焼きを食べる
「どうですか?
私の手作り」
そう嬉しそうに聞くリリアに俺は正論を言う
「めっちゃうまい!!
この世界の卵とは味が違うけどこっちも美味い」
俺はパンも食べる
パンは外はカリカリ中はふわふわのパーフェクトに近いパンだ
このパンもこっちの世界とは味が違うもののこのパンも美味い
「このパンもめっちゃうまい」
「そうですか
頑張って仕入れた甲斐がありました」
「あれ、でもこっちの世界には空間移動できたんだよな?
なら、なんであっちの世界の食材があるんだ?」
「それは、手だけを空間移動し卵とパンを取ってきたのです
簡単に言えばフーパのリングみたいな感じなのです」
「なんで、お前がフーパを知ってるんだ?」
「昨日流君が学校にいない時に暇だったのでテレビで見たのです」
「そうなのか
そういえば、リリアもパソコンとかスマホいるか?」
「私としてはインターネットなどでこの世界の文化やアニメなどを見たいのです」
「なら、パソコン使っても良いぞ
スマホはすぐには用意できない」
「やったのです
これで私の情強に」
「良かったな」
俺はそのあと支度も済ませ時間になったので学校に行った
だが、学年が上がってすぐなので昼帰りだ
昼帰りが続けば良いのに
あっという間に学校は終わり帰路に着く
今日は昼終わりだから帰ったらリリアと遊びに行くか
カラオケかゲーセンだな
そう考えてるうちに家に着いた
「ただいま」
返事が返ってこないのでパソコンか自分の部屋に居るのか?
俺は靴を脱ぎパソコンのある自分の部屋に行く
俺のパソコンはノートパソコンではなくデスクトップなので持ち運べないのだ
俺は自分の部屋に入るとリリアが居なかった
それでリリアの部屋に行ってみるとまたしても居なかった
家中くまなく探しても居なかった
どこか出掛けてるのか?
まぁ、そのうち帰ってくるだろ
俺は、遊べる場所を探す為にパソコンを立ち上げる
すると、何故かメモが開かれていてこう書かれていた
「私は魔獣に捕えられて魔獣結界に拐われたのです
前に説明した通り私は最弱の属性擬人化
なので助けを求めたいのです
魔獣結界は多分この家の中にあるのです
探して入ってくれませんか?
リリアより」
と書かれている
「たくっ
結界ってどこだよそもそもどれくらいのデカさなんだ?」
俺はいろんな所を探す風呂場やトイレや色々キッチンのコンロの下の戸棚を開けると空間の裂け目があった
青白く光っており人が入れなさそうな裂け目
俺は恐る恐るその裂け目に手を伸ばす
手が触れた瞬間裂け目がパキパキっと割れ人がかろうじて入れるデカさになり吸い込まれた
その中は空が紫色でいろんなデカさの地面が浮いていた
ものすご〜くファンタジーな世界だ
とりあえずリリアを探さなければ
俺は浮いている地面を渡ってリリアを探した
15分ほどだろう
そのぐらい探してたら空から鎖で吊らされてる檻の中でしょんぼりしているリリアが居た
今にも泣き出しそうな表情をしている
この地面は草原のようにものすごく広かった
俺はすぐリリアの元に行くとリリアはぱぁと笑顔になった
「来てやったぞリリア
とりあえず檻から出すから待っててくれ」
「来てくれたのですね
本当にありがとうございます」
俺は檻を確認したら鍵が入るみたいだ
「鍵は魔獣が持ってるのか?」
「それがわからないのです」
そんなことを話してるとリリアを攫った魔獣が来た
「なんでこんな時に来るんだよ」
その魔獣は俺よりも一回り上のデカさの熊だった
今の俺とリリアにアイツは倒せないはず
ならどうするか
檻を持ちながら逃げたい所だがそれは出来なさそうだ
「とりあえず俺はアイツを翻弄して逃げとくからそのうちに脱出策を考えといてくれ」
「わかったのです」
翻弄すると言ってもアイツを殴って追いかけさせるか?
殴ったら数秒後にあの世行き
それなら何か引き寄せる策は無いのか?
そうだこれなら行ける
「おいリリア俺の手から氷を出して俺があの熊に攻撃したみたいに出来るか?」
「やります!」
リリアは指示通り俺の手から氷を出してるようにして熊に攻撃した
するとクマは猛スピードで俺を追いかけてきた
俺は必死に逃げ翻弄する
「足を止めれば死ぬ足を止めれば死ぬ足を止めれば死ぬ」
俺は詠唱のようにそう唱え続けながら走り続ける
そして、俺が熊を振り返ってみた瞬間だった
クマの爪が一本飛んできて俺の左目に突き刺さった
確実に潰れているだろう
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
痛すぎて俺は叫ぶ
人生で感じたことのない痛みだった
俺は地面に倒れ爪を顔から引き抜く
足音で熊が近づいてくるのがわかる
その時リリアが熊を攻撃して足止めしてくれた
それとリリアは熊の下半身と地面を氷で固めてくれた
だがそれもすぐ壊されるだろう
その次に俺の顔に氷魔法をかけて出血しないようにしてくれた
「とりあえず凍らせて血が出ないようにします」
顔左上半分が氷に覆われたが貧血になるよりはマシだ
それよりまずは熊だ
アイツをなんとかして倒さないと
何か方法を探して...
あ、そうだその手があった
何故気づかなかった
俺は勢いよくこう叫ぶ
「リリアッ今すぐ俺と契約しろッ」
「でもそれは」
「モタモタするなッ
早くしねぇと2人とも殺されるぞッ」
「わかりました」
そう言うとリリアは数秒かけて掌1.5個分程のデカさの魔導石を作り出し俺に投げた
「受け取ってください!
使い方は感覚で!」
俺は魔導石を受け取る
「わかった」
とは言ったもののどう使えば良いかわからん
感覚か
俺は目を閉じこう想像する
魔導石から魔力を取り出し手に集め開放する感じだ
イメージし目を開けると目の前に伸ばした腕の先に丸い水が浮かんでいた
それを物凄く速い速度で熊に飛ばしてぶつけてみるとものすごく痛がっていた
さすが水属性
強いな
次に俺は属性変化で氷を生み出し物凄くデカくして熊に降らせる
どのぐらいのデカさかと言うと25階建マンションぐらいか
それを受け熊は討伐できたと思ったがボロボロになっても立っていた
「どんだけ耐久力があるんだよ」
熊はこう口を開き言う
「質問だ
お前がそこまで擬人化を庇う理由はなんだ?」
「俺がリリアを救う理由?
そんなの一つしかねぇよ」
俺は息を溜めこう叫ぶ
「俺がリリアを守らなきゃ誰が守るってんだよ!!」
俺はそう叫び氷の刃を作り出しそれで熊の頭を完全に切る
技名は...そうだな...
「アイスブレード」
安直だが我ながら良い出来だ
熊は細かな光となり俺の魔導石に光が吸収される
「これでひと段落ついたか」
俺はほっとため息を吐き檻の中のリリアの元に行く
氷が作れるようになったから鍵穴に指を入れ氷を作り鍵状にしてから指を回し檻を開ける
「やっと出てたのです
流君本当にありがとうございます」
「別に良いよ」
「それよりその目」
「もう血は止まってるはずだ
氷を溶かしてくれ」
「わかりました」
氷が溶けるとそこにあったのは
本物の目
「あれ?治ってる
治らないはずの目が」
「今日の朝ごはんの卵に傷を治す効果があったのかもしれないですね」
「そうか
別に良いか治ったんだし
それより、ここからどう出る?」
「魔力を使ってゲートを作ってそこから出るのです」
リリアはゲートを作って入った
「そうか」
俺も見よう見まねでゲートを作った
そしてそのゲートに入ると俺の家のキッチンに出た
これでほんとの一件落着だ
「あ、そういえば」
「なんだ?」
リリアはとびきりの笑顔でこう言った
「あの言葉、嬉しかったですよ」
これで属性少女の遭遇譚は終わりです
まぁ、続編あるのですけどね(笑)
お楽しみに