後日談!?
王都エンヴィレア。
今日は朝から、街じゅうがソワソワしていた。
「……あの魔王様と、勇者様が……?」
「うん、あの陸って青年と……両方と、ね」
「どっちかじゃないの!?」
「両方らしいよ。しかも本人たちがそれで納得してるって」
「まじかよ。あの女神様……やりおった……」
ざわめく街を背に、王城の大広間には、まばゆい光と白い花の装飾が広がっていた。
俺、陸。
今日は――結婚式である。
しかも相手は、魔王リリスと勇者アリア。
……異世界、なんでもアリすぎるだろ!!
「いい? 最初に指輪を渡すのは私だからね!」
「は? あんた何言って――私が先にペット契約したんだから私が先に決まってるでしょ?」
「契約とか言うな!! 結婚だよ!? これ、愛の儀式だよ!?」
「じゃあ私の愛の深さを証明してから言いなさいよ!」
「よーし、じゃあ陸にキスしてみてよ!」
「なんでそうなるのーッ!?(俺の心がもたねえ!)」
神殿の祭壇前、新郎をはさんで言い争う新婦ふたり。
会場全体が「尊い……」「推せる……」と謎の一体感で包まれていた。
そこへ、フワッと空気が揺れる。
「おまたせしました〜〜〜〜〜♡」
登場したのは――もちろんこの人。
「女神、アステリナ様、ご光臨!」
ゆるふわドレスにくるくる巻き髪。
ご機嫌な笑顔で、女神様は俺たちの元に歩いてきた。
「ふふふ……よかった〜。ちゃんと幸せになってくれて♡
この職業分配、わたし的に“神回”だったわ!」
「いや、マジで奇跡だよな……」
「奇跡じゃなくて、神託です!」
アリアとリリスが同時にぴしっと敬礼する。
このふたり、なんだかんだ仲がいい。
「でもほんと、女神様、ありがとうね。おかげで私たち、ちゃんと繋がれたし」
「そうそう。ペットとか言ってごめんね……いや、まあ今もペットっちゃペットだけど」
「やめて!? 今は旦那だから!」
俺が抗議するたびに、ふたりは楽しそうに笑ってくれる。
女神様も、うれしそうに目を細めた。
「よかった……本当に、よかった……」
そして、うっすら涙を浮かべながら小声で呟く。
「……これでまた、職業ガチャの責任追及から逃れられるわね……」
「聞こえてるからな?」
「えへへ~~~♡」
ほっぺを真っ赤に染めて照れる女神様。
――が。
「ただし、メガネは禁止な」
「えっ!? なんで!?」
「むしろ最大の原因そこだったから!!」
「そんな~~~~~!!」
そして――
指輪交換では揉めに揉めたが、最終的には三人で順番に指輪を渡し合い、
笑いと祝福に包まれて式は進んだ。
みんなが笑顔で、
俺も、リリスも、アリアも、そして女神様まで。
魔王のペットになった俺。
世界の理不尽に巻き込まれて、転んで、転がって、でも――
今は、この場所が一番幸せだって言える。
勇者と魔王、ふたりの嫁に囲まれながら、俺の明日も未来も、きっとずっと――
幸せ全開!!
\完/
こちらで最終話となります
星評価よろしくお願いします